【RIZIN50】伊藤裕樹と対戦、トニー・ララミー「最もハードな局面で簡単に勝利を手にしたい」
【写真】現在26歳のララミー。前回は試合内容に納得いかず――だが強い(C)MMAPLANET
30日(日)に香川県高松市のあなぶきアリーナ香川で開催されるRIZIN50で、トニー・ララミーが伊藤裕樹と対戦する。
Text by Manabu Takashima
昨年11月のRIZIN初戦でララミーが村元友太郎に判定勝ちを収めた試合内容は、同フライ級にとって大きな脅威となった。極真空手をルーツに持つMMAファイターは、村元を相手にパワフルで多彩な打撃を披露し、かつテイクダウンの攻防でもその強さを見せている。まさに自身の言うオールラウンダーぶりを示したララミーの次戦の相手は、こちらもRIZINで連勝中の伊藤裕樹だ。ストライカーである伊藤との戦い、そしてRIZINフライ級戦線についてララミーに訊いた。
――今月末に伊藤裕樹選手との試合が控えています。今の心境を教えてください(※取材は6日に行われた)。
「キャンプも順調で、凄く良い感じだよ。質の高いトレーニングパートナーと、しっかりと調整できている。精度が高く動けるなかで、決めるところは決める。そんな風に仕上がってきた」
──実は2週間ほど前にナイアガラを挟んで、トニーの住むオンタリオ州の真向かいを訪れていたのですが、その寒さに驚きました。
「こっちはそれほどでもないかな。でも、まぁ大体の日は摂氏だと氷点下ではあるよ。今日は零度。全く悪くない。良い天気だ(笑)」
──そもそも基準が我々と違うようですね(笑)。
「室内でずっと練習をするわけだし。ファイトキャンプは常に対戦相手のことを頭に入れて、その対策練習をするようにしている。と同時に体重も落とし始めて、試合の時に体調をピークにもっていきたい。キャンプはさっきも言ったけど、凄く順調に消化できているよ」
──ところで昨年11月のRIZIN初戦は村元友太郎選手と戦い、ほぼ試合をコントロールしました。正直なことをいえば、期待通りではなかったです。ただ試合当日は相当に体調が悪かったと後から伺いました。
「朝を起きた瞬間から、コンディションが凄く悪いことが分かった。過去最悪の体調で試合をすることになると覚悟しなければならなかった。38度ぐらいの熱は大したことないって思われるからもしれないけど、15分間を戦うのは本当に厳しかったよ」
──それは当然です。というか、よく15分間あれだけの動きができましたね。
「とにかく練習はやってきた。同じように戦えば勝てる。そういう風に気持ちを強くもって臨んだよ。ベストバージョンの自分ではなかった。でも、できるだけのことをしようと思った。練習をしてきたことを、試合で出そうと。リングに上がれば、どんな体調だろうがベストを尽くすことには変わりない。最悪なシナリオを考えつつもね。
試合中だけでなく、減量や準備期間から何が起こるかは分からない。最低の状態でも、一方的な展開にはできた。判定になっても勝利に疑いを持つようなこともなかったし、思われることもなかったはずだ」
──減量中から体調は悪かったのですか。
「計量までは全く問題なかったんだ。過去一、二といって良いほどの仕上がりだった。それがさっきも言ったように試合当日の朝、目が覚めると……『なんてことだ』って愕然としたよ。とにかく体中の筋肉が悲鳴をあげていた。そして震えが止まらなくなったんだ。会場に行っても、体は熱を帯びたままで、口を開くこともなかった」
──欠場するという考えが、頭をよぎることは?
「ノー。絶対ないよ。とにかく、できることをやると決めていた」
──自分などは締め切りの週に微熱でもあると、全てを悪い方に考えてパニックに陥りそうになるので。トニーは本当にメンタルもタフなのですね。
「人生を賭けて戦ってきた。試合のために本当に厳しいトレーニングを課していたしね。あの試合のためだけじゃない。14歳の時から続けてきたんだ。自分が居たい場所に居続けるためだよ。仮にナーバスになって、試合をめちゃくちゃにしてしまったとしよう。それでも、僕は自分の居たい場所にいることができている。自分のやりたいことが、できる居場所にいるんだ。自分のキャリアを積むうえで、ケガのせいでアップダウンがあるなんて言いたくもない。
自分がしたいからMMAを戦い。MMAの試合会場にいるわけで。自分自身に尋ねたよ、『戦いたくないのか?』って。そんなわけがない。僕は戦う。戦い続けるという意志が僕を支えていた」
──結果、最低の体調でも結果を残しRIZINフライ級のマスターピースになるかと期待されています。そのなかで大晦日にホセ・トーレスが神龍誠選手を破り、堀口恭司選手がズールーを下してフライ級王座防衛を果たしました。あの2試合はどのようにトニーの目に映りましたか。
「2試合とも良い試合だった。いずれ、彼らと戦うことになると思って試合を視ていた。フライ級トーナメントが実現するなら、あの4人のうち誰かと戦うことが現実的に考えられる。当然のようにどのような形でも戦うけど、トーナメントならよりハッピーだ。どうせなら最初から良い相手と戦いたい。トップと戦って、自分の力を試したいんだ。そして、僕ならやれるという自信もある。
ホセ・トーレスのような名前のあるファイターが、同じ階級にいることは競争力が高まるし、大歓迎だ。ホリグチの試合はずっと見てきた。本当に優れたファイターだ。世界のフライ級でベストの1人であることは間違いない。彼がいることが、RIZINで戦う理由の一つでもある。ただしホリグチやトーレスを含め、あの4人は僕に狩られるために存在している。その準備はもうできているよ。
もちろんイージーファイトにはならないし、そんなことを期待もしていない。でもRIZINフライ級で僕がトップになる自信はある。ベストと戦うことで、トレーニングもよりハードになり成長を促してくれる。その場に足を踏み入れないと、人間は成長できない。そのために僕は誰とでも戦うつもりだ」
──伊藤選手との戦いは、そのために大切なプロセスとなるかと思われます。その伊藤選手の印象は?
「サウスポーで、真っすぐが強いファイターだ。若いけど、僕より年上で。打撃勝負になって、KOするベクトルで戦う。ファンが喜ぶ試合になるだろう。体調不良を理由にしたくないけど、前回の試合はKOできなかった。フィニッシュできなかったことは、自分の持ち味を出すことができなかったことになる。
僕はKOするか、相手に試合を諦めさせるか。そこをゴールに戦ってきた。イトーはストライカーだ。僕もそう。グラップリングやレスリングより、打撃を見せたい。ストライカー同士の試合だと、なおさらそうだ。ぶちのめしたいと思う。相手が組んで、寝技を狙ってきても立ち上がる術はある。
そして、打撃でケリをつけたい。勝つことが目標なのか。勝つ以上のことが目標なのか。僕が狙うのはイージーウィン。ファイトのなかで、最もハードな局面で簡単に勝利を手にしたい。それこそがファンが求めるエキサイティングな試合だろう」
──現状、アリベク・ガジャマトフの評価がRIZINファンの間でも高いです。ファイターの口からは「ガジャマトフは、しばらく様子を見たい。ララミーなら戦う」という声が聞かれたのも事実です。
「もう、そこはしょうがない。実際に前回、そう思われる試合をしてしまったんだ。SNSでもロシア人の方が評価され、話題になっていることも分かっている」
──と同時に体調不良で、あの試合ができた。MMAファイターとしてトニーの完成度の高さを指摘する意見もあります。
「僕の試合を見てくれたファンが、楽しんでほしいと思っている。そうさせる自信もある。これまでも、そうやって戦ってきた。ファイトタイムが50秒を切っても、距離を外すような戦いはしない。とくにユーキ・イトーのようなファイターと戦うと、危ない打ち合いもあるだろう。でも、自信をもって殴る。次の試合はジャッジが勝者を選ぶ必要はない。必ずKOするよ」
■視聴方法(予定)
3月30日(日)
午前11時30分~ABEMA、U-NEXT、RIZIN100CLUB、スカパー!、RIZIN LIVE
■視聴方法(予定)
3月30日(日)
午前11時30分~ABEMA、U-NEXT、RIZIN100CLUB、スカパー!、RIZIN LIVE
■対戦カード
<RIZINバンタム級選手権試合/5分3R>
[王者] 井上直樹(日本)
[挑戦者] 元谷友貴(日本)
<フェザー級/5分3R>
鈴木千裕(日本)
カルシャガ・ダウトベック(カザフスタン)
<ライト級/5分3R>
ルイス・グスタボ(ブラジル)
野村駿太(日本)
<ライト級/5分3R>
スパイク・カーライル(米国)
泉武志(日本)
<59キロ契約/5分3R>
伊藤裕樹(日本)
トニー・ララミー(カナダ)
<59キロ契約/5分3R>
前田吉朗(日本)
横内三旺(日本)
<フェザー級/5分3R>
横山武司(日本)
木村柊也(日本)
<ストロー級/5分3R>
越智晴雄(日本)
中務修良(日本)
<ヘビー級/5分3R>
酒井リョウ(日本)
エドポロキング(日本)
<バンタム級/5分3R>
魚井フルスイング(日本)
赤田プレイボイ功輝(日本)
<フェザー級/5分3R>
萩原京平(日本)
トビー・ミセッチ(米国)
<女子ストロー級/5分3R>
万智(日本)
パク・ソヨン(韓国)
<キックボクシング67.5キロ契約/3分3R>
稲井良弥(日本)
加古稟虎(日本)
<キックボクシング55キロ契約/3分3R>
龍生(日本)
香川刻(日本)
<フライ級/5分2R>
高岡宏気(日本)
飴山聖也(日本)
<キックボクシング63.5キロ契約/3分3R>
吉岡龍輝(日本)
切詰大貴(日本)
<キックボクシング63.0キロ契約/3分3R>
大谷翔司(日本)
足利也真登(日本)