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【Breakthrough Combat03】イ・ジュンヨン戦へ、漢・上田将年「強いヤツと戦えるなら。それだけです」

【写真】ドロドロの前のカリカリをのりこえて── (C)MMAPLANET

本日26日(水)に開催されるBreakthrough Combat03のコメインで韓国のイ・ジュンヨンと戦う上田将年。
Text by Manabu Takashima

福岡在住、パンクラス・フライ級戦線で体を張りって戦い続けてきた上田は地元に誕生した独立プロモーション=Bloom FCでメインを張り、国際戦を戦ってきた。そのつながりでBTC初出場が決まり、イ・ジュンヨンと相対する。

いつまでも強さを求め、自己肯定をするために強い相手と戦う気持ちを維持している。同時に福岡と首都圏の両独立プロモーションで戦い、強くなるという道を地元の若い選手に見せたい。頭の先から、つま先まで熱い中年──上田の想いを訊いた。


強い相手と戦わせてくれるということは、まだ自分にも需要があるんだと

──2月26日にBTC03でイ・ジュンヨンと戦います。去年の夏にはBTCは存在せず、上田選手自身は10月にBloom FCで思わぬ形で出場。そして今大会で国際戦を行うという流れになりました。

「BTCを長谷川(賢)さんが立ち上げた時にネットで知って、面白そうな大会だなって。で実際に大会を見たら、エグい外国人選手を呼んでくるなと(笑)。Bloom FCが終わって、長谷川さんと話す機会があって『チャンスがあったらBTCに出させてください。強いヤツとやらせてください』と軽い感じで伝えました。

そうしたら年末に『チェ・スングクと試合をしませんか』という話をもらって。正直、10月にBloom FCが終わって次は暖かくなるまで試合は控えようと思っていました。『一回、休むか』と。長谷川さんに『出させてください』と言った時も、2月に試合をするつもりは全くなかったです。

でも相手はRoad to UFCの準優勝者。いつもの悪い癖で『OKです』と答えてしまいました(笑)。単純に強いヤツと戦えるなら。それだけです」

──ただし、正式発表前にスングクの負傷でイ・ジュンヨンに代わりました。

「ハイ。スングクが怪我をしたと連絡をもらって、すぐに相手を見つけるということでした。そうしたら3日もしないうちに選手の写真とデータが送られてきて。戦績と戦ってきた団体を見て、『OKです』と(笑)」

──ハハハハハハ。そこも即答で。

「で2、3日前ですね(※取材は1月26日に行われた)。Black Combatの試合映像をチェックしていたら、勝ってベルトを巻いていて。『元チャンピオンやった』と知った感じです。正直、間に合わせの選手だったら『他にいないですか』と言っていたかもしれないです。

でもBlack Combatでも負けなしで、韓国で負けているのはRoad to UFCで優勝したチェ・ドンフンぐらいで。あとはONE FFで。彼が負けている相手の戦績を見ても、強い。それでOKをだしました」

──ずっとパンクラスで戦ってきたわけですが、その辺りは?

「自分も選手として着地点を探している状態です。なので、誰と戦うことができるのか。そこを大切にしたいというのがあります。こうやって団体は違っても、強い相手と戦わせてくれるということは、まだ自分にも需要があるんだと。それが凄く嬉しくて。やっぱり強い相手を用意してもらえるのは、選手として価値があると思える。そういうオファーをもらえたので。純粋に強いヤツと戦えるという話がきた。だから戦うという感じですね。

このあとにパンクラスが強いと思える相手と戦わせてもらえるなら、ぜひ出場させてほしいと思っています」

Bloom FCからBTCという流れを自分が創ることができました。なので若い選手も、この流れに沿って試合をさせてあげたい

──今回の参戦がBloom FCが始発となっていた。そこも何か精神的な作用がありましたか。

「やっぱり福岡でいろいろなジムに練習に行かせてもらって、活きの良い若い選手がたくさんいます。その子たちが3カ月に1回、4カ月に1回と試合ができるのかというとそうじゃない。僕らの頃より良くなっているけど、練習後に選手たちが『試合をしたい』って言うんですよね。そういう話を聞いてパンクラス、修斗、DEEPだけじゃなくてBloom FCに出たことでBTCにつながった。そういうことがあるんだよと、示せたかとは思います。

若い選手たちはBloomに出たあとで主戦場としているパンクラス、DEEP、修斗で戦う。その流れが一番だと思うし、そういう流れを創ってほしい。一番の理想としては……選手も賞味期限があるので試合に飢えている選手、試合をしたいという選手に、より戦える環境が整えられてほしいということなんです。

自分も今年38歳を迎えます。落ちた、昔と違うという部分は凄く感じているところがあります。だからこそ、福岡の彼らが飢えている間に戦って、関東で戦うことができるようになってほしいです。Bloomが用意してくれた強いヤツに勝つと、また主戦場にしている大会で強い相手と試合ができるかもしれない。それが地方在住の選手にとって一番の理想です。

そのなかでBTCは国際戦、強い相手と戦う機会をくれました。なかなか国際戦ができる機会はないです。Bloom FCにしてもBTCにしても海外から選手を呼んで、強いヤツと戦える。経験を積むことができます。今回、Bloom FCからBTCという流れを自分が創ることができました。なので若い選手も、この流れに沿って試合をさせてあげたいです」

──同世代の長谷川選手が、開く大会という部分は何か想うところはありますか。

「ハイ。自分は試合が決まれば、試合だけの人間なんです。でも長谷川さんは自分の試合があるのに、Bloom FCに来て外国人選手のケアをしていて、凄いなって思いました。現役だし、選手の気持ちが分かってくれる。俺にはないモノを持っています。同世代として、凄いと素直に思います」

──「地方在住選手に、首都圏在住選手とイーブンな環境で戦ってほしい」と言っていました。それも選手目線ですよね。実際にその気持ちは、計量前日の宿泊を用意するという形に表れています。

「助かります。やはり水抜き中の移動はつらいので。そこはありがたいです。東京で体重を創ることができるのが」

──とはいっても、そんなことを知らずに今回のオファーに飛びついていないですか(笑)。

「アハハハハハ。そうですね、チェ・スングクの名前に即答で。階級のことすら、聞いていないですからね」

──格闘バカなのか。バカ格闘家なのか。

「悪い癖です(笑)」

──では改めてイ・ジュンヨンの印象を教えてください。

「映像をチェクして、何か凄い武器がある選手ではないです。ただ距離を創るのが上手い。相手が痺れを切らして前に出ると、ショートを当てています。サウスポーで、左ハイもある。同時に組みと寝技は、ほとんど見ていなくて。柔道初段で柔術は紫帯ということなので、組みもしっかりとできると想定しています。

怖さはないけど、チャンピオンになる選手だし。KO勝ちもできて、フィニッシュ率も高いので強いはずで。それと身長が自分と同じなので、フィジカルは注意ですね」

──Bloom FCでモンゴル人選手、フィリピン人選手と戦った経験は生きてきそうですか。

「そうですね。荒さが目立っていた選手と戦えたことは、凄く良い経験になっているので生きると思います。ただ韓国の選手は荒さでなく、上手さ。そこは上手さに飲まれないようにしたいです。それに体は強いでしょうし。試合で実際に向き合って、どのように感じるのか。楽しみです」

『KOで勝ちます』とは正直言えないので、ドロドロにしてやります

──国際戦はグラップリングの局面が多くなっているようにも感じます。

「長い間、格闘技をやっていると刺激を求めたくなります。今年からまた伝統派空手の道場に週一で通いだしました。ボコボコにされるのですが、打撃の質が違うので凄く楽しいです。今回は早いうちに組みに行くと、若い選手なのでこっちが消耗することも考えられます。なので空手の良い部分を取り入れて、できるならチョット打撃で良い部分を出したいですね」

──それこそチェ・スングク、チョ・ジュンゴン、オトゴンバートル・ホルドバートルというフライ級外国人選手がBTCで戦っています。その辺り、これからを見ることは?

「オトゴンバートル、グラジエイターでもチャンピオンになっていますよね。彼はスゲェ強いですね。話が来たら、出てしまうでしょうね(笑)。あのレベルと戦うには、しっかりと研究も必要です。ただこの試合で勝てば、どこかで混じり合いたい。そういう気持ちはあります」

──常に強さを追い求めている?

「なんで、試合を受けたのかって聞かれます。でも『相手が強いから』って言葉しか出ないです。やっぱり、強さを追求している。それと飢えている選手、あの子たちのためにも流れを創りたい。俺が頑張ることで刺激になって、ルートができる。彼らも勝てば目立つことができて、上に行ける。地元の若い選手、福岡の若い選手が戦いたいと思える場所を創ってやりたいという気持ちでもあります」

──そのためにもケージのなかで、どのような姿を見せたいと思っていますか。

「自分のなかで配信限定というのは、不安です。ケージのなかで、どんな気持ちになるのか。当日にならないと分からない……いざ、上がってしまうと変わらないと思いますけど。

必死になって戦う中年のオッサンの姿を同世代にも、若い世代にも見てもらいたいです。今回も『KOで勝ちます』とは正直言えないので、ドロドロにしてやります。

あっ、あと直前で『POISON (〜言いたい事も言えないこんな世の中は〜)』(※上田のウォークアウトソング)が聞けないことも、不安で。もしかしたら、自分で歌いながら入場するかもしれないです(笑)。そこもLIVEを視ている人は楽しんでもらいたいです」

──本当に危ない中年が見られるということですね(笑)。「まっすぐ向き合う現実に。誇りを持つために、戦うことも必要なのさ」と自分もケージサイトで口ずさんで待たせてもらいます。

「アハハハハハ。頑張ります。色々と続けてきたので、色々な体験ができる。楽しみます。ありがとうございます」

■視聴方法(予定)
2月26日(水)
午後6時30分~THE 1 TV YouTubeチャンネル

■Breakthrough Combat03計量結果

<Progressフェザー王座決定戦/5分3R>
竹内稔:65.45キロ
須藤拓真:65.4キロ

<フライ級/5分3R>
上田将年:57.1キロ
イ・ジュンヨン:56.6キロ

<バンタム級/5分3R>
竹本啓哉:61.65キロ
トレント・ガーダム:61.5キロ

<フェザー級/5分2R>
寒天マン:66.15キロ
チェ・ハンギ:66.05キロ

<フライ級/5分3R>
山崎蒼空:57.05キロ
ベ・ジョンウ:57.1キロ

<Progress 60キロ契約/5分2R>
神龍誠:60.25キロ
エリック・メネギン:59.8キロ

<Progress 68キロ契約/5分2R>
中島太一:──キロ
大脇征吾:──キロ
※当日計量

<Progress 87.5キロ契約/5分2R>
グラント・ボクダノフ:87.7キロ
二ノ宮寛斗:87.4キロ

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