【Special】Fight&Life#107より。初黒星後の中村倫也「抱えていたことを誰にも告げずに、試合当日を」
【写真】今後を少し暗示している感じで、写真を撮らせてもらいました (C)MMAPLANET
21日(金)に発売されるFight & Life#107に1月18日のUFC311におけるムイン・ガフロフ戦で敗れた中村倫也インタビューが掲載される。
Text by Manabu Takashima
キャリア10戦目の初黒星は、打撃戦で劣勢のなかでひたすら左ハイと左ストレート狙いのファイトを続けた結果だった。
なぜ、最大の武器であるテイクダウンの圧がなく、繰り出す技が限定されてしまったのか。初黒星ですら「戦っていて楽しかった」と思えるほど、中村倫也は試合までの準備期間に、人知れず苦しんでいたことが今回の取材で分かった。
ここでは同インタビューの冒頭部分を紹介したい。
──ムイン・ガフロフ戦で、プロ初黒星。素直にこの負けをどのように捉えていますか。
「後出しジャンケンみたいで、ちょっとズルいのですが、今回は試合まで悩むことが多くて辛かったです。だから試合が終わった瞬間は、戦っているあの時間が楽しかった。凄い場所に立たせてもらっている。凄く幸せな舞台だなって。勝った試合よりも、幸せだと感じました」
──負けて、何が幸せだったのでしょうか。
「なんでしょうね……戦っている時間、ガフロフと駆け引きをしながら共有していた時間。MMAが嫌いになりそうな自分を抑えて、準備をしてきて。『アッ、やっぱり好きじゃん』って思えたんですよね」
──倫也選手が、MMAを嫌いになりそうになるというのが俄かに信じられないです。
「切羽詰まっていました。色々と抱えていたことを誰にも告げずに、試合当日を迎えてしまって。そのままオクタゴンに上がったので、ああいうダメな自分になったと思います。実は日本を発つ前にMMAPLANETのインタビューで、『あの上体の使い方で、大丈夫なの?』という話になった時に、その抱え込んでいたモノが少し出ちゃっていましたね」
――試合前に申し訳なかったです。
「順を辿ると、ATTでもう半歩踏み込みたいけど、その追い足がない。バックステップで外すことはできるけど、そのあとの距離の詰め方はどうしようと思っていて。そんなことをノートに書き綴って、練習をしていました。そこで軸の話になるのですが、(堀口)恭司さんから『倫也君はテイクダウンに行くには凄く良い構えだけど、動くときの支点が腰になっていることが多いから、動いた時に軸がない。だからフック系に弱いと思う』と指摘してもらって。
もっとヒザ下を使うとか。動いた時に意識して軸を創るようにするとか、そういうことを考えて取り組んでいけば良いのかと考えて……」
──もうガフロフ戦が決まっていたのでしょうか。
「その時ぐらいですね。ガフロフ戦のオファーがあって、誰か知らなかったけど、もちろんOKで。それで映像を見ると、フック系でした。で、今回の試合のテーマは軸があるように改善することだと」
──あぁ、ちょうどハマってしまったのですね。
「ハメてしまいました」
<中村倫也インタビュー、続きは21日発売のFight&Life Vol.107で>