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【PFL2024#10】2023年王者と対戦──ジェレミー・ケネディ「ピネドは真実を知る最初のファイターになる」

【写真】巧さの裏にどこか喧嘩の弱さが感じられたケネディだったが、敗れたとはいえパトリシオ戦ではしっかりと打撃で勝負ができていた (C)PFL

29日(金・現地時間)、サウジアラビアはリヤドのKSU(キング・サウジ大学)アリーナで開催されるPFL2024#10「Championships」。米国から始めて離れて、PFL決勝大会は中東サウジアラビアで行われることになった。
Text by Manabu Takashima

6階級の決勝戦に加えPFL MENAファイナル4試合、キャンセルされたBellator CSパリ大会からスライドされたかのようなGlobalショーケースバウトとご当地カードのMENAショーケースバウトと合計16試合のロングランイベント。その第3試合でヘスス・ピネドと戦うのが、ジェレミー・ケネディだ。

MMAが回転するウェルラウンディット・ファイターのケネディは、今年の4月に念願のパトリシオ・フレイレが持つBellator世界フェザー級王座への挑戦を実現させるも、3Rに逆転TKO負けを喫した。あれから8カ月、復活の舞台は2019年以来のPFLで、対戦相手は2023年のPFL世界フェザー級ウィナーとなった。

強烈な打撃力を持つピネドに対して、絶対の自信を持つケネディに中東の市場拡大の影響とキャリアのリストラについて尋ねた。


――ジェレミー、ドライブ中ですがインタビューは大丈夫なのでしょうか。

「全然、問題ないよ。ドバイのハイウェイは凄く渋滞しているから」

──今、ドバイなのですか。

「そうなんだ。時差の調整のために1週間前にドバイにやってきて、月曜日にリヤドに移る」

──今や中東が大きなマーケットとなり、北米在住のファイターも時差のある場所で試合をすることが多くなりましたね。

「長い間アジアのファイターが長旅をして北米で戦ってきたけど、今では君が言ったように中東市場が巨大化している。僕たちも遠征して戦う重要性を理解しないといけない。ただ僕のキャリアは旅が多かったから、特別新しいことでもないし何をどういう風に準備をすれば良いのかも分かっている。

早目に中東にやってきてトレーニング・スケジュールを考え、最後の調整をしているんだ。ファイトウィークになる前から時差ボケは解消できているから、何も問題なく試合に臨むことができるよ」

──UFC時代にブラジルや豪州、Bellaltorでは英国やアイルランドで試合をしていますが、中東で戦うのはまた違う感じなのでしょうか。

「そこは変わりないよ。ヨーロッパとは少し時差が違うぐらいで。食事やミネラルウォーターの違いで、ソディウム(塩)の取り方が違うこともあるかな。でも、BRAVE CFで戦っていた時にサウジアラビアやモロッコでも試合をしてきた。それに僕はその土地のことを事前に徹底的に調べる性格で。ちょっと周囲から病的だって思われることもあるんだ(笑)」

──アハハハハ。でも備えあれば憂いなしです。

「そうなんだ。どういうところに滞在するのか。どんな場所で、どのようなスケジュールが組まれているのか。それを把握することは、責任を持って試合をすることに通じている。だから、どの国だろうが僕は思ったようにモノゴトを進めることができるんだ。現地で色々と悩むことになるぐらいなら、事前に解決しておかないと」

──さすがの言葉です。ところで2019年以来、実に5年振りのPFLでの試合になります。そのあたりはどのように捉えていますか。

「PFLで戦った1年は、試合数も確保されていて凄く楽しめた。ただコロナになって、PFLは年間スケジュールを全てキャンセルした。試合がなくなった僕にとって、セカンド・オプションはBellatorで戦うことだった。2000年からBellatorで戦ってきた期間は、凄く幸せな時を過ごせたよ。そしてBellatorとPFLが合体した。またPFLのシーズンフォーマットで戦えるかもしれないし、そこは凄く楽しみにしている。

だからこそ、今回の試合はとても重要になってくる。なんせ去年のチャンピオンと戦うんだ。この試合はPFLに戻るためにうってつけの試合だよ」

──3月のBellator世界フェザー級王座挑戦から、8カ月を経ての再起戦でもあります。パトリシオ・フレイレとの一戦は、ジェレミーが優勢でMMAが回転していた時に打撃の猛攻を受けて敗れました。

「大きな敗北だったよ。でも、色々と勉強になった試合だ。パトリシオはこの階級でベルトを誰よりも長く巻いているチャンピオンだ。その彼を相手にして、今言ってもらったように打撃戦でも優位に立っていた。つまりは僕が誰とでも、打撃戦をやり合える能力を持っていることを証明したことになる。だからこそ、試合に必要なことは何でもできるという強い意思を持つべきだった。

前向きに捉えると、今後は誰もが僕には打撃もあるということを頭に入れて戦う必要が出てくるということ。もちろん、僕には絶対的なグラップリングという武器がある。グラップリングなくして、僕のファイトは成り立たないぐらいの。

そこに打撃があることを、僕の相手は考えないといけなくなったんだ。そういう意味で、彼にとっては残念なことだけどピネドはこの僕の真実を知る最初のファイターになる。パトリシオに挑戦という本当に重要な試合で負けてなお、そこは収穫だった。同時に、もうあんな想いは2度としたくないという気持ちだよ」

──この8カ月というインターバルは、あえて次戦まで時間を置いたのでしょうか。

「何度か試合の話はあったけど、実現しなかった。でも、それだけしっかりとトレーニングを積むことはできている。もちろん休息も必要だったし、8カ月前と比較すると凄く成長できたよ」

──先ほど言われたようにサウジアラビアで対戦するヘスス・ピネドは2023年のPFLフェザー級王者でレギュラーシーズンのブレンダン・ラウネーン戦、準決勝のバッバ・ジェンキンス戦、決勝のガブリエル・ブラガ戦の勝利によって、あの時点では確実に世界トップのフェザー級ファイターでした。

「もともとピネドがパトリシオとスーパーファイトを戦う予定だったのが欠場して、僕がパトリシオに挑戦することになった。そのピネドと僕が戦う。面白いよね。確かにピネドは2023年に素晴らしい結果を残している。ただし、まだ色々と分かっていないことが多い選手のままでもある。

彼の力が発揮される部分では、確かに危険な相手だ。でも、そうでないときにはどうなるのか。加えて僕は8カ月振りの試合だけど、ピネドはそれ以上ブランクがある」

──スタイル的にはどのように捉えていますか。

「相手に恐怖を抱かせることができるファイターだと思う。パンチ力が絶大で、無類のスタミナを誇る。何よりアグレッシブだ。ただ、彼のその良さすら僕にとっては都合が良い。彼にとって僕は本当に嫌なタイプの対戦相手だと思う。

なぜ? 彼はグラップリングに穴があるからだよ。それに打撃戦でも、下がって戦うことはできない。常に前に出て戦う。ピネドが前に出てくる時こそ、テイクダウンする恰好の機会になる。背中をつけたり、背中を譲ってのファイトはピネドにとっては嫌な時間だ。もちろん1年の間に、違う戦い方ができるようになっている可能性はある。でも、劇的にスタイルを変えることは難しいだろう」

──同時にピネドも、ジェレミーがテイクダウンを狙うことを理解している。ならば、ヒザ蹴りを準備して待っていることもあるのではないでしょうか。

「ノー。ヒザは出せないよ。そこで組まれることを絶対に避けたいから。僕の戦い方は、そういう彼の武器を無力化できるはずだ。パトリシオに敗れ、また一から頂点を目指すようなキャリアの再構築はしたくなかった。ピネドに勝てば、即タイトル戦やパトリシオとリマッチが用意されてもおかしくない。そういう相手だと思っている。

この試合は僕の将来に向けて、複数のドアを開けてくれることになる。この機会を得ることができて、とてもハッピーだよ。そして、僕はフェザー級で世界のベストの1人だと証明する」

──そのドアの向こうはBellator CSなのか、PFLなのか。今のジェレミーの気持ちはどちらにありますか。

「う~ん、難しい質問だよ。僕はいつだってタイトルを欲している。BellatorでもPFLのどちらでも。ただ、PFLのタイトルには100万ドルがついてくるよね(笑)」

──ここはケネディ夫人の意見を尊重するのが、一番ですね(笑)。

「アハハハハハ。彼女がどちらを欲するのか、もう明白だよ(笑)。ただ、今はとにかくピネドを倒さないことには何も始まらないよ」

──MMAファイターのなかでも、本当のウェルランディット・ファイターであるジェレミーの戦いは日本ではファン、ファイター、関係者の間で高く評価されています。最後に日本のファンに一言メッセージをお願いできないでしょうか。

「僕にはMMAを戦ううえで、まだ夢が残されている。それが日本で試合をすることなんだ。引退をするまでに、最低でも1試合は日本で戦いたい。Bellatorで戦っていると、そのチャンスがあるかもしれない。でも、本当に将来のことは誰にも分からない。それでも本当に日本で試合がしたいと思っている。そして、日本のファンが僕を応援してくれることに感謝している」

■視聴方法(予定)
11月29日(金)
午後11時15分~U-NEXT

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