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【DEEP JEWELS46】HIMEと対戦、彩綺が目指すMMA人生「ずっと青コーナーで戦っていきたい」

【写真】清々しいほどの確固たる意志を持っている(C)SHOJIRO KAMEIKE

8日(日)、東京都港区のニューピアホールで開催されるDEEP JEWELS46で、彩綺がHIMEと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

ブレイキングダウン出身として注目を集めていた彩綺は、今年3月に古瀬美月を36秒でKOしたことによりMMAファイターとしても今後が期待される存在に。そんな彩綺がHIME戦と、その先に思い描くMMA人生とは。


――古瀬戦ではKO勝利後、「みんな私のファンになってください!」とマイクで叫んでいました。その後、ファンは増えましたか。

「私の中では『増えたなぁ』と実感しています。たとえばXで投稿すると、今までは何も反応がなかったような内容でも誰かコメントしてくれるようになったりとか。応援のDMとかも以前に比べたら増えました。

そういえば、マイクでアピールした時に会場から『彩綺ぃ!!』と叫んでくれた人がいたんですよ。知らない人だったんですけど、大会が終わったあとに『さっき叫んだ人間です』と声を掛けてくれて。その人は次の大会、VIP席のチケットを買ってくれています」

――おぉっ、凄い! 試合内容としても手応えがあったのではないですか。

「ありましたよ! 試合前からフィジカルで負けることはないと思っていました。でも技術と経験の差はどうにもならない。だから私の中で覚悟を決めていくしかない――と。かといって練習していないと覚悟は決まらないですよね」

――古瀬戦のフィニッシュシーンは、サウスポーにスイッチした相手に左ヒザのフェイントから左のショートフックを決めました。古瀬選手がサウスポーの時、オーソドックスの時と作戦は考えていたのでしょうか。

「そんなにガッチリは決めていなかったです。前の試合は、相手がどう来ても良いように練習していました。古瀬選手は相手の構えやファイトスタイルによってスイッチすることが多いですよね。私との試合でも、36秒の間に何度もスイッチしていましたし。オールラウンダーでスイッチしてくるから、私も『コレ!』と決めるわけでもなく、とにかく全体的に。

古瀬選手はテイクダウンのために足を触りたかったのか、どんどん構えが前傾姿勢になっていて。パンチもフックが中心になって頭も下がってきていたんですよ。そこにヒザを当てようと思ったら相手がサウスポーになったので、私も左のショートを当てました。

映像を視てもらえれば分かると思いますけど、意外と私も冷静だなって(笑)。あのパンチが当たったあとに畳みかけることなく、『これで勝ったでしょ』と思えるぐらいの手応えがあったので」

――キャリアで上回る古瀬選手をKOしたことで、自信になったのではないですか。

「自信にはなりましたけど、う~ん……試合前から『ここで躓いていちゃいけない、ここで負けていちゃダメだ』と思っていました。MMAができるのも、あと4~5年ぐらいだと思うんですよね。だから勝っても『まだまだ上に行きたい』って――MMA人生を行き急いでいる感じです(苦笑)。私、まだ青コーナーでしか戦ったことがないんですよ。これからも、ずっと青コーナーで戦っていきたいと思っていて」

――青コーナー、つまりずっと挑戦者として戦っていくということですか。

「私、本当に失うものがないんですよ。だから青コーナーで戦いつづけて、最短で伊澤星花と試合がしたいです」

――おぉっ!!

「伊澤さんとはMMAを始める時に一度練習させてもらったことがあるんですよ。その時はスパーが始まってすぐギロチンを極められましたけど(笑)。その時に『この人と最短で試合するためには、どうすればいいんだろう?』と考えていました。

今、女子の49キロ(スーパーアトム級)が変わりつつあるじゃないですか。いろんな選手を発表していて……。でも、そこに伊澤さんが残っている。その伊澤さんと最短で戦うために、私も負けている場合じゃないんですよ」

――ただ、自分も予想していないスピードで駆け上がっていくと、そのスピードに戸惑いを覚える選手もいます。彩綺選手の場合は……。

「あぁ、そういうことがあるんですね。私の場合は、そもそも自分が期待されていると思っていなくて。期待されていないって考えると結構楽ですよ(笑)」

――とはいえブレイキングダウンに出たあと、プロでも古瀬戦のようなKO勝ちでファンも増えた。結果、失うものが出来てしまうこともあります。

「どうなんでしょうね? ちょっと違う話かもしれないけど、やっぱり自分がブレイキングダウンに出ていたことで、いろんなイメージを持たれていたんですよ。さらに私が何かSNSに書くとネットニュースになって、アンチのコメントも増えるし。イラッとはしますけど、それはそれで仕方ないとは思っています。自分自身で選んだ道だから。だけどMMAで勝つと回収できていることもあって」

――勝っていくと評価も高まりますが、ぶつかる壁も高くなることもあるとは思います。それこそ「ここで負けられない」という気持ちは、「失うものがない」こととは相反するものではないですか。

「それは『越えなきゃいけない』と思い込んでしまうから、ですよ。一つひとつ壁のことを考えるから難しいのであって。言ってみれば全て壁ですもん。どれだけ壁があったとしても、まずは自分が普段から何をしているか――じゃないですか」

――そう考えると、最も楽しみなのは彩綺選手が赤コーナーで試合をする時ですね。

「あぁ、そうか。考えたこともなかったです(笑)。確かに、チャンピオンになったら赤コーナーですもんね。そうなったらまた青コーナーで試合することを考えるかもしれないけど」

――ベルトを巻いても挑戦し続けるということですね。まずは目前に青コーナーの試合が控えています。HIME戦はストライカー対決と言われていますが、ストライカーとしても違うタイプではあります。

「とにかく手足が長い相手ですよね。リーチは男子選手と同じぐらいなので、男子選手との練習で『これぐらいの距離なんだろうな』と考えながらやっています。ただ、やりづらさはあるけど、こちらがやることはシンプルだと思うんですよ」

――シンプル……というのは、打ちますか。それとも組みますか。

「自分が組んで面白い試合ができるかどうか、ですよね。たとえばHIME選手と同じジムの摩嶋一整選手は組んだら強いし、倒した後の展開が面白いじゃないですか。『こうなるのか。おぉっ! 次はこうなった』みたいな。今のDEEPジュエルスの中では、私はそこで魅せられる選手じゃなくて。でも打撃のイメージがあるのに、速攻で極めることができたらインパクトも大きいですかね(笑)」

――アハハハ、それはインパクトが大きいと思います。

「でも私はストライカーでいたいです。オールラウンダーを目指したいけど、その中でもストライカーにこだわりたい。もちろん打撃としてパウンドで倒すことも想定はしていて。あと今回は3R制で、ヒジありだし楽しみですよ」

――前回の試合ではファン獲得だけでなく、ヒジありの試合もアピールしていました。それだけヒジ打ちに自信を持っているということですか。

「自信もあるし、やってみたいんですよ。やっぱりヒジありの試合は迫力があるじゃないですか。タイでは全然ヒジの練習はしていなかったけど、HEARTSでは皆さん、ヒジ打ちをガンガン練習していて、しかもレベルも高いから『やっぱりヒジありをやりたい!』と思いました(笑)。今回は3Rだけど、1秒も相手に与えるつもりはないので。ずっと私のターンで、勝たせていただきます」

■DEEP JEWELS視聴方法(予定)
9月8日(日)
午後5時10分~U-NEXT、YouTube DEEP/DEEP JEWELSメンバーシップ

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