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【Special】河名マスト&中村倫也、2/16 GCS01&2/17 UFC298を振り返る─01─「あっ、ヤバい」(倫也)

【写真】遠近法です(C)MMAPLANET

2月16日、会場非公開で開催されたGLADIATOR CHALLENGER SERIES01でパン・ジェヒョクを破ってGLADIATORフェザー級のベルトを巻いた河名マスト。同17日(土・現地時間)、カリフォルニア州アナハイムのホンダ・センターで行われたUFC298でオクタゴン2戦目=カルロス・ヴェラを下した中村倫也。
Text by Manabu Takashima

それぞれのレスリング人生を歩み、それぞれのMMA道を生きる両者。専修大学同期レスラーコンビが互いの──そして自身の試合を振り返った。


──個人的に倫也選手とマスト選手を同時に取材というのは、2022年1月のFight&Lifeの対談以来になります。

中村 あぁEXFIGHTでやったインタビューですよね。

──そのEXFIGHTという固有名詞を倫也選手の記事で使うことが許されるようになり感無量です(笑)。

河名 アハハハハハ。

中村 本当に皆さんのご理解があって。ご迷惑をお掛けしてばかりなのに、本当にありがとうございます。

──ハハハハ。今回は日本時間で2月16日にマスト選手の試合があり、18日に倫也選手の試合がカリフォルニアであった。計量前日だったと思いますが、倫也選手はマスト選手の試合の方はチェックされたのでしょうか。

中村 夜中にライブで視ていました。結構、時差ボケが酷くて……午前1時半ぐらいから「今日も眠れねぇな」っていう風になっていて。そのまま3時ぐらいになって、あと3時間もすれば水抜きが始まるかっていう時だったんですけど、「もう寝れないんだからしょうがない」っていう気持ちでYouTubeの配信を視ることにしました(笑)。

──本来はしっかりと睡眠をとっている時間だったと。

倫也 ハイ。起きて水抜きをしながら、ディレイでチェックしようと思っていました。で3時ぐらいになっても眠れないのと同時に、『マスト、これから試合か』ってなるとソワソワしてしまって(笑)。なら、もう良いやと思って起きてチェックしました。そうしたらヘンリー(三上大智)の急所蹴りがいきなり映って(笑)。

マスト アハハハハハ。

──戦前の予想はどのようなモノだったのでしょうか。

倫也 勝つ。前回の試合と違って初見ではないので、何度もぶつかるなかでマストが上回っていくというのは、何となく分かっていました。ポイント、ポイントを押さえて勝つことができるとは思っていましたね。

──マスト選手も9月、12月の試合を経て自信は深めているようでした。

河名 ハイ。戦略でいうと前回は足を触ってテイクダウンを狙うとディフェンスされたので、今回は触ったらドライブする。そして背中から落として倒すということでした。レスリングでいえば4Pのテイクダウンを取るという算段です。パン・ジェヒョクにKOパンチはないと踏んで、勇気をもって選択した戦略でした(笑)。

──すると……。

中村 ストレートを打ち抜かれた時、ハッとしました。正面からドンと打たれるシーンはあったのですが、あそこは横から抜かれていたので『あっ、ヤバい』ってなり、凄く怖かったです。

──あの後のGLADIATORの3月3日大会のストップを見ていると、あの試合も止められていても致し方ないかと思いました。

河名 負けた選手が試合後に不満顔を浮かべている時って、あれで止められた時なんでしょうね。一応、意識があるけど殴られ続けているっていう。

──立ち上がった時に、背中を向けたまま殴られた。あそこもストップがあるのかというシーンでした。

中村 色々なことが頭をよぎりました。頑張ってくれるんだろうけど、このまま殴られる試合は視たくないとか。ここから行くんだったら、1分間マジで貰わずに組みつけとか。同時に思いましたね。

河名 あの前に同じ形でワンツーを貰っていて。アレと同じで、入ってつこうとしたら『エッ?』ってなりました。

中村 あぁ、なるほど。

河名 ただ追い打ちがパンチでなく、浴びせ倒しのように倒されたのは助かりました。あそこでもう一発、スコンと貰っていたら本当に終わっていたと思います。背中を向けたのは、相手の片手をワキの下にもってきたかったかたです。

──ウィザーにとろうと。

河名 ハイ。触って、ケージの近くでオーバーフックの態勢に持ち込む。本能的にそう動いていました。片手で殴られるのは仕方ないと。僕は向き合う方が怖かったです。

──結果、正対してオーバーでなくアンダーフックでパン・ジェヒョクの動きを止めることができたかと。

河名 ハイ。とにかくケージに救いを求めていました。あのまま殴られ続けていたので。ただ触っていれば組みには戻せる。力は出ないけど、意識はあったので何とかなる──そんな心理状態でした。

──その言葉通り、シングルレッグで組み直してボディロックでテイクダウンを奪いました。

河名 櫓投げを仕掛けて、投げられまいと戻ってきたところを投げる。相撲でいうと呼び戻し、仏壇返しですね。

──あそこで流れが変わりました。

中村 あの時、真っ直ぐに地面を押すことができていて……パン・ジェヒョクをケージに運ぶときに、ヒザがブレることなく力を真っ直ぐに伝えることができていた。そこで大丈夫だとは思ったんです。にしても、あそこまで反撃するのかって(笑)。あれで『おお、良し良し』と(笑)。

──その後のパウンドから肩固め、マウントへ。パン・ジェヒョクがスクランブルに持ち込もうとすると、オーバーフックで浴びせてからのクリンチアッパー。あのオーバーフックのダーティーボクシングが強力で。会場内では凄い音が響き渡っていました。

河名 これまでクラッチを組んで固めるということに徹底していたのを、パン・ジェヒョクが僕の手を一本取ってくるという組手だったので──顔が空くと殴ろうと思っていました。あえて胸と胸の間に空間を創っていつでも動けるようにして、尚且つ殴れるように。そこはずっと練習をしていて、あの形になると八隅(孝平)さんは『河名ポジション』って叫んでいます(笑)。

中村 アハハハハ。

<この項、続く



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