【Grachan67】ベルト忘れ、タップ後の加撃——大荒れのフライ級王座戦は松場の負傷で御代川が戴冠
【写真】混乱するケージの中で新王者の御代川はUFCを目指すとアピールした(C)SHOJIRO KAMEIKE
<Grachanフライ級選手権試合/5分3R>
御代川敏志(日本)
Def.3R1分44秒 by TKO
松場貴志(日本)
試合開始直前、松場がベルトを持ってきていないことが判明し、波乱のスタートとなった。試合が始まると、松場は左ミドルと右ジャブで御代川を中に入らせない。御代川の右ロー、右ストレートは届かず、松場の右フックが当たる。御代川にケージを背負わせると、松場がボディロックからグラウンドに持ち込んだ。ハーフガードの御代川を鉄槌とヒジで削る松場。立ち上がると御代川の足を捌きながらパンチをボディに突き刺す。ケージ際でテイクダウンを奪った松場が、バックテイクから御代川の左腕を取るも、サブミッションには行かずノースサウスからサイドへ。さらにシンブルバックからパンチで削っていく。初回の御代川はボトムを強いられ、オープンスコアリングでこのラウンドはジャッジ3者とも松場に10-9をつけた。
2R、松場の右ジャブ、右フックが御代川の顔面を捕らえる。さらに両腕を差し上げてドライブし、御代川の首投げも返してトップに回る。御代川はケージに体をつけてスタンドへ。松場は組みついて御代川をケージに押し込むも、1Rのようにグラウンドへ持ち込むことができない。なおもケージに押し込んでくる松場に対し、御代川は左右のヒジ打ちを浴びせる。松場はバック、首相撲と展開するも御代川のヒジを受け続ける。シングルレッグからリフトされても倒れない御代川が、ラウンド終了までヒジを打ち込み続けて、このラウンドを取った。
最終回は開始前に、松場の左目上のカットに対してドクターチェックが行われる。ラウンド開始後、松場のパンチが御代川にヒットした。御代川が松場の左ハイを捌くと、尻もちを着いた松場はスクランブルに持ち込むがテイクダウンを奪うことができない。次第に御代川の左右パンチが松場の顔面を捕らえるように。さらに御代川が松場をケージに押し込み、右腕を差し上げて投げを打ちバックマウントへ移行すると、松場がタップしてレフェリーが割って入った――その瞬間、御代川が松場に加撃し、松場は立てなくなってしまう。
松場は御代川の投げに対して左手をマットに着き、腕を脱臼してしまったという。タップアウト後の加撃に対して、怒り心頭の松場のセコンド勢がケージインして御代川に詰め寄る。うずくまったままの松場を横に、御代川が勝ち名乗りを受け、新王者としてベルトを巻いた(※松場がベルトを忘れたため、代わりにバンタム級のベルトを使用)。
御代川は興奮して松場のタップに気づいていなかったようだが、レフェリーが割って入った直後の加撃はいただけない。かつ、松場がその状態で新王者のセレモニーが敢行されたことにも疑問は残る。ここは一旦、松場の状態を確認してケージの外へ移動してからセレモニーを行うほうが適切だっただろう。
タップアウト後の加撃に対して、試合後ではあるが御代川にイエローカードが提示された。イエローカード=ファイトマネーの減給となり、減給分が松場に渡されるとのこと。いずれにしても、後味の悪い王者交代となってしまった。