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【Special】J-MMA2023─2024、鶴屋怜─01─「ラスベガスになったことで気持ちは楽になりました」

【写真】デビュー当時の幼さがすっかりと影を潜めてきた鶴屋怜。この2年の経験が、顔つきをよりシャープにした (C)MMAPLANET

2023年が終わり、新たな1年が始まるなかMMAPLANETでは2023年に気になった選手をピックアップ──過ぎ去った1年を振り返り、始まったばかりの1年について話してもらった。
Text by Manabu Takashima

J-MMA 2023-2024、第五弾はRoad to UFCフライ級決勝戦を控える鶴屋怜に話を訊いた。キャリア6勝で迎えたUFCへの道、その最終関門は日程変更などでゴタゴタもあった。そして右ヒザの負傷もあった昨年をまず振り返ってもらった。

■2023年鶴屋怜戦績

5月27日 Road to UFC2023Ep01
〇2R1分19秒by キーロック ロナル・シアハーン(インドネシア)

8月27日 Road to UFC2023Ep05
○3-0 マーク・クリマコ(米国)


――12月9日に上海で予定されていたRoad to UFCフライ級ファイナル=チーニョーシーユエ戦が2月4日のラスベガスのAPEXに変更されるなど、少しごたつきました。あの時はどのような心境だったのでしょうか。

「僕らの試合がなくなったことすら、全然連絡がなかったです。でも上海の大会がなくなったのは事実で、代わりの大会では僕らの試合は組まれなくて。試合がいつになるのかも分からないから、体重を戻すこともできなかったです。1週間後のラスベガス大会になるとうい話もあったので。そこで食べたりしたら、調整が大変になるから食べるのも我慢していたら、代わりの大会の1週間ぐらい前に決勝戦はそこでは行われないという発表がありました」

──結果、2月にラスベガスに戦うことが決まった時の気持ちは?

「まず中国でなくなったのは、良かったと思いました。相手も中国人で、効かない攻撃でもファンが声を挙げてジャッジが影響を受けるかもしれないので」

──逆に怜選手の有効な攻撃も会場はシーンとしてしまって。

「ハイ。向うの攻めは空振りでもわくでしょうし。まぁ一本、フィニッシュすれば関係ないという風には考えていたのですが、やっぱりラスベガスになったことで気持ちは楽になりました。アウェイ感は嫌だったので、これで僕も彼もイーブン。ハンデはなくなりました。それとラスベガスは1カ月滞在したことで気候とかも分かるし、何を持って行けば良いのかとか準備する面でも気持ちが楽です。APEXでUFCを観戦したことがあるので、その空気感も分かるし、自分に有利な方向に進んでいるような気がします。

いつもは試合が決まると無我夢中になっていて、気がつけば試合の日になっているような感じなんです。今回も普通に勝たないといけない試合で、勝つんですけど──ベガスになって不安要素がなくなったというか。やっぱり少しでも不利なことは減らしたいし、相手が飛行機に乗らないだけでも減量などを考えると有利なわけじゃないですか。中国で戦うということだけで、パフォーマンス的にも相手の方が力を発揮しやすい。それでも負ける気はなかったですけど、ベガスでやる方が気持ち的に楽になりました。

あと2カ月、時間ができたことで時々痛みを感じていたヒザの調子が以前と同じところまで戻せたのも大きいです。12月だと90パーセントだったのが、2月になったので100パーセントで戦えます」

──左ヒザの負傷で、準決勝は組み技や寝技の練習ができない状態で挑みましたが、そこも12月の時点で90パーセントまで回復できていたのですね。

「朝、起きた時にちょっと痛みが出てきそうだって感じることがあって。そういう日は練習内容を変えていたのですが、今はほぼなくなりました。ラントレもグラップリングも、十分に取り組むことができています。

準決勝前は組み技の練習はできなかったです。テイクダウンにしても踏ん張るとヒザが痛かったので、ぶっつけ本番でした。結果、初回から腕がパンパンに張ってしまいました。それまで、あんな風になったことはなくて。足を使うことが、やっぱり怖くて腕に頼ってしまいましたね。それでも試合になると意外と動ける……一方で、怖かったです」

──そのような状況で準決勝を乗り切れたことによって、何を得ることができましたか。

「マーク・クリマコはLFAとかで試合をやってきた選手で、全て判定勝ちというしっかりと勝ちに来る相手でした。そういう選手とあの状況で戦って、自分の力を出せることが分かりました。万全の状況だったら、圧勝できたと思えるし。あの状況を乗り越えることは大きかったです」

──準決勝が終わった時点で、恐らく次は12月の上海だろうという話になっていたのですが、ヒザの復調具合はいかがでしたか。

「試合後、少し違和感がありました。日本に戻って来て、2日後にはボクシングの練習を再開しましたけど、2週間ほどはヒザを使わないトレーニングだけをしていました。それから様子を見つつ、動かせるようになれば少しずつ組み技の練習をやるようにして。正直、痛みが出たりもして……でも試合が決まっていたので無理をした部分もありました。そのなかで、強度を徐々に高くしていきました」

──では、改めてチーニョーシーユエの印象を教えてください。

「ストライカーなんですけど、KOでなくポイントで勝って来る選手ですね。KO勝ちできるタイプではないと思います。ただワイドスタンスでこれまで戦ったことがない構えなので、ちょっと戦いづらいかもしれないです」

──サウスポーで奥手、奥足を使うイメージがあります。しかも、変則的に。

「たまにオーソドックスにもなるのですけど、ほぼサウスポーですよね。負ける気はしないんですけど、やりにくい……やりにくそうだなっていうのはあります。テイクダウンを切られたら、ちょっとやりにくいかもしれないですけど、試合で入りにくいと思ったことがないので。

あの選手に準決勝で負けた韓国のチェ・スングクも、正直あまり強くない。あの選手に判定勝ちだったので、大したことはないかなって。う~ん、まぁ、どうなんですかね」

──Road to UFCに出ているフライ級ファイターは、眼中にないですか。

「チェ・スングクが前回のRoad to UFC決勝で負けた相手、パク・ヒョンソンは戦績が自分と同じで。スタイルも似ていました。あの選手が3RにRNCで一本勝ちしているんですけど、それと同じようになるんじゃないかと。

普通にテイクダウンからコントロールして、一本を取れれば良いかなって。1Rで一本勝ちできるかもしれないですけど、時間を使って3Rにフィニッシュするのが理想的な勝ち方です」

<この項、続く


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