この星の格闘技を追いかける

【ONE FF46】仕切り直しのタワンチャイ戦へ、スーパーボン「みんなが期待するテクニカルな試合になる」

【写真】スーパーボンの最後の標的はキック=アラゾフ、ムエタイ=タワンチャイの2人だ(C)TAKUMI NAKAMURA

22日(金・現地時間)タイはバンコクのルンピニースタジアムで開催されるONE Friday Fights 46にて、スーパーボン・シンハ・マウインがタワンチャイ・PK・センチャイの持つONEムエタイ世界フェザー級(70.3キロ)王座に挑む。
text by Takumi Nakamura

当初、タワンチャイとスーパーボンのタイトル戦は10月のONE Fight Night 15で予定されていたが、スーパーボンの負傷欠場によって延期となっていた。

仕切り直しとなった対戦を前にスーパーボンは「タワンチャイはムエタイの新世代として、すごく成長していると思うが、僕の方が経験が豊富だし、試合の時の力は自分の方が上だと思っている」と語る。またスーパーボンはキック・ムエタイの集大成として倒すべき2人の相手の名前を挙げ、その先にある新たなチャレンジについても語ってくれた。


――当初タワンチャイとの一戦は10月のONE Fight Night 15で予定されていましたが、スーパーボン選手の怪我で延期となってしまいました。改めてどんな怪我だったのかを教えてもらえますか。

「ふくらはぎの筋肉を断裂してしまい、ドクターから2カ月間は試合ができないと診断されたんだ。ただ色んな治療を施して、1カ月半で練習を再開した。最初は足を使わないようにボクシングの練習から始めたし、今はもうしっかり治っているよ」

――タワンチャイとは少しでも早く試合をしたかったのですか。

「試合が流れているから、すぐにやりたかったし、長い間待ちたくなかった」

――今回はムエタイルール=MMAグローブでの試合ですが、MMAグローブでの試合は初めてですか。

「そうだね。ただ以前からMMAグローブを使ったスパーリングはやっていたし、MMAグローブで試合することは問題ないよ」

――特にやりにくさはないですか。

「そうは言っても通常のグローブとMMAグローブには違いがあって、MMAグローブはディフェンスには使いづらく、拳を守ることも難しい。でもそれは相手も同じ条件だから気にはしてないよ」

――タワンチャイには対戦相手として、どんな印象を持っていますか。

「すごい良いファイターだし、ムエタイの新世代として、すごく成長していると思う。でも僕の方が経験が豊富だし、試合の時の力は自分の方が上だと思っている」

――スーパーボン選手もタワンチャイ選手もテクニシャンなので、日本のファンはこの試合が非常にテクニカルな試合になることを期待しています。

「まさにその通りだよ(笑)。僕もタワンチャイもテクニシャンだから、みんなが期待しているようなテクニカルな試合になると思う」

――最近のONEムエタイはパンチとヒジで打ち合う試合が多いですが、そういう試合にはならないですか。

「もちろんファイトだから、そういう試合になることも分かる。でも僕とタワンチャイは正しいタイミングでパンチもヒジも蹴りも出すことが出来る。だからパンチとヒジの打ち合いだけでなく、もっと色々な技を見せることが出来ると思う」

――今回の試合は2023年のONEを締める大会です。どんな試合を見せたいですか。

「僕はいつもファンのためにベストを尽くして戦っているし、相手がタワンチャイだから力を入れるということもない。いつものように全力で戦うし、チャンスがあればハイキックで倒すような、そういった試合を見せたいと思っている。絶対にファンをがっかりさせるような試合をしないよ」

――日本の武尊選手や内藤大樹選手がスーパーボン選手のジムで練習していますが、日本以外にも世界中から選手が練習に訪れるのですか。

「そうだね。色んな国の選手が練習に来ているよ。ちなみにトレーナーの一人が少し日本語が話せるから、ぜひ日本の選手にはもっと練習に来て欲しいね」

――スーパーボン選手も色んな国の選手と練習することで気づくことや学ぶことはあるのですか。

「それは大きなアドバンテージになる。自分が持っていないテクニックを体験できるからね。それこそ武尊たちとも練習して色んなことを学んだよ」

――スーパーボン選手ほどムエタイで実績を残している選手でも、新たなテクニックを学びたいという気持ちは変わらないのですね。

「今自分にはムエタイとキックで勝ちたい相手がいて、その選手に勝つことが出来たら新しいことにチャレンジしたいと思っている」

――スーパーボン選手が勝ちたいと思っている選手はずばり誰ですか。

「一人は今度対戦するタワンチャイ、もう一人はチンギス・アラゾフだ」

――新しいチャレンジというのは……。

「MMAかもしれないね。その時になったら改めて話すよ」

――分かりました。それでは最後の質問です。以前から気になっていたのですが“スーパーボン”というリングネームの由来を教えてもらえますか。

「自分の名前がボンで、兄もムエタイをやっていたんだけど、兄を超える選手になりたいと思って、自分の名前に“スーパー”をくっつけて、自分のことを“スーパーボン”と言い出したんだ。そうしたら父も僕のことを“スーパーボン”と呼ぶようになって、それがそのままリングネームになったんだよ(笑)」

――“スーパー”にはそういった理由があったのですね。本日はインタビューありがとうございました!

「アリガトウゴザイマス!」

 MMAPLANETでは前回タワンチャイ戦が延期になる前にスーパーボンにインタビューを行っていた。その時にスーパーボンが現代ムエタイについて話していた部分を改めて掲載したい。

――これまでタイの中量級(70キロ)以上の選手はタイで活躍する舞台がなく、タイ以外で戦わなければ注目を集める・稼ぐことが難しい状況でした。そのなかでONEが70キロの選手を世界中から集めて、試合を組んでいることをどう感じていますか。

「逆に言えば自分より小さい階級の選手たちは海外で試合をすることができなくて、僕たちが海外で稼いできたようなお金をタイ国内では稼ぐことができないという事実があった。そういう我々に対して、ONEがタイ国内でもいいお金を稼げる状況を作ってくれたことは喜ばしいことだし、自分のように実績とキャリアがある選手だけでなく、まだキャリアが浅い選手も含めて、すべての選手にそのチャンスを作ってくれたことは本当にありがたいと思っている」

――ムエタイを取り巻く環境についても聞かせてください。ルンピニースタジアムでONEが毎週大会を開催し、ラジャダムナンスタジアムでもRWSがスタートしました。ムエタイ=賭けという状況が変わりつつあると思います。スーパーボン選手はこれについてどう感じていますか。

「ムエタイからギャンブルという要素がなくなり、本当のムエタイを見てもらえるという意味で、観客にとって凄くいいことだと思う。また選手にとっても判定基準にギャンブルが影響しないからこそ、もっと純粋に自分のスキルを使って戦うことが出来る。ムエタイがギャンブルではなくなるからこそ、ようやくムエタイの本来あるべき姿をみなさんに知ってもらえるようになったと思う」

■放送予定
12月22日(金・日本時間)
午後9時30分~ ABEMA格闘チャンネル(前半6試合)
午後9時30分~ PPV ONE official site (Englsih Page)

PR
PR

関連記事

Movie