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【ONE FF40】リカルド・ブラボが明かす大逆転KO勝利の裏側「2Rの左ボディで相手の動きが鈍った」

【写真】8月・11月とONEで2連勝を飾ったリカルド・ブラボ(C)ONE

10日(金・現地時間)タイはバンコクのルンピニースタジアムで開催されたONE Friday Fights 40にて、ノルウェーのオリバー・ハンセンと対戦したリカルド・ブラボ。
text by Takumi Nakamura

1Rに2度ダウンを奪われる大ピンチを乗り越えて、試合時間残り1秒での大逆転KO勝利を収めた。今回のインタビューでは大逆転までの試合展開を振り返りつつ、それを支えるブラボの練習内容・環境についても訊いた。


――ONE Friday Fights 40でのオリバー・ハンセン戦では1Rに2度のダウンを奪われながらも、3Rに3度のダウンを奪い返して逆転KO勝利を収めました。事前インタビューではあまりハンセンの情報がないようでしたが、最終的にどのくらいの情報で試合に臨んだのですか。

「結局相手の試合映像や情報はほとんどなかったですね。YouTubeで検索しても同じ名前だけど違う選手?の映像ばっかりで、結局どんな選手かよく分からなかったです(苦笑)。計量で相手を見た時、背はそこまで大きくなかったんですけど身体はデカくて。僕は減量なしで74kgくらいだったから、ちょっとそこは気になりましたね」

――さて試合についてですが、最初にダウンを奪われた場面はどんな状況だったのですか。

「1Rに相手の指が目に入って、少しインターバルがあったんですけど、あれでちょっと集中力が切れちゃったんですよね。ちゃんと回復する前に試合を再開しちゃって、僕がパンチを出そうとしたところで右ストレートをもらって、あの一発が効きました。映像を見ると右ストレートをもらったあとにヒザ蹴りももらっていましたけど、あのヒザ蹴りのことは全く覚えてないです(苦笑)」

――ヒザ蹴りでダウンしたと思ったのですが、そのパンチが効いていたんですね。

「そうですね。あの一発は効きました。ただ冷静になっている部分もあって、ルンピニーのレフェリーはダウンした選手が立ち上がってフラフラしていると試合を止める傾向があるんですよ。だからすぐに立ち上がってフラフラするとまずいから、少し息を整えてちゃんと立てるようになってから、立ち上がろうと思いました」

――ただし試合再開後はかなりアグレッシブに攻めていました。

「ダウンして立ち上がるまでの間は『すこし足を使って距離を取ろう』と思っていたんですけど、いざ試合再開になったらガンガン行ってました(苦笑)」

――そんななかで2度目のダウンを奪われてしまいます。

「ハンセンは外から打ち下ろすような右を打ってくるんで、左手を上げ気味にガードしてたんですよ。そしたら内側を右ストレートで打ち抜かれて、あれは相手の技術が上手かったですね。あれは完全にやられました」

――ダメージ的にはどうだったのですか。

「ありましたけど、最初のダウンほどじゃなかったですね。実際2回ダウン取られたとは思えないぐらい動けていましたし、インターバル中も2Rはどう戦おうか考えていました」

――2Rはどういうことを考えながら試合をしたのですか。

「最初に左フックが当たって、それから相手のガードが高くなったんですよ。それ左ボディを打ったらモロに入って、明らかに相手の動きが鈍くなったんですよ。首相撲になってもコントロールするというよりクリンチしてるだけになってきて、あれで完全に流れが来たと思いました」

――流れを掴んだ中で迎えた3Rですが、ポイント的には厳しい状況でした。

「自分ペースになったのは分かったんですけど、ポイントでは明らかに負けていたので、セコンドとも『次のラウンドで倒さないといけない』と話していました。ダウンのダメージはなかったんですけど、ずっとフルパワーで殴り続けてたんで、拳をどちらも痛めちゃって(苦笑)。でもそんなことは言っていられないので3Rも思いっきり行きました」

――ハンセン選手は首相撲というよりもクリンチを多用して、完全に逃げ切りモードに入っていました。焦りはなかったですか。

「首相撲で時間稼ぎされるのが嫌でしたね。相手も最初の30秒くらいはガンガン来たんですけど、それを凌いだら一気に失速したんです。そこからはひたすらパンチを出して、ロープ際の右フックでダウンを奪ったのかな」

――はい、右フックでダウンを奪い返しました。試合は続行になりましたが、ハンセン選手はダウンカウント中も明らかに弱気な顔になっていました。

「それから一気に畳みかけて、もう一回で右でダウンを追加して、あれはかなりダメージがあったと思うんですよ。でも試合時間がほとんどなかったし、相手のセコンドもKO負けさえしなければ勝てると思って、組みついて逃げろみたいなジェスチャーをしてたんです。逆にこっちは倒さなきゃいけないから急いで攻めて。それで僕が飛びヒザ蹴りをやった時に、レフェリーが間に割って入って、僕は試合がストップだと思ったんです。そしたらハンセンが吐き出したマウスピースを拾って、試合再開って言うんですよ。映像を見てもらえば分かりりますけど、僕は明らかに『えーーっ!?』ってジェスチャーをしていて(苦笑)」

――それは焦りますね。

「最終的にKOできたからよかったですけど、本当にあれは焦りました」

――終わった瞬間はどんな心境でしたか。

「1Rにダウンを奪われた時はあんな結末になると思っていなかったし、全力を出し切ったから試合が終わった瞬間は僕も大の字になってました(笑)」

――1Rの劣勢から逆転できた要因は何だと思いますか。

「昔はキャリアが浅くてペース配分も下手だったし、ボクシンググローブでやっていたときは全部フルスイングしてたんで、すぐスタミナが切れてたんですよ。でも今は戦い方も上手くなったし、MMAグローブは軽く打っても効かせられるからスタミナのロスが少ないんですよね」

――なるほど。

「あとはフィジカル・スタミナのトレーニングもやっているので、その成果もあると思います」

――技術、キャリア、トレーニング内容…色んなことが重なったわけですね。ONEで2連勝して、自分の成長を感じていますか。

「感じてはいるんですけど、MMAグローブでやるようになって、パンチ一辺倒になっちゃってるところがあるんですよ。普通のグローブでやっていた頃はパンチだけじゃなくて蹴りも出てたし、コンビネーションも使っていたし、もっとバランスがいい綺麗な戦い方をしてたと思うんです。これからパンチだけで勝っていけるほど甘くないと思うし、蹴り、ヒジ、ヒザ、首相撲……もっと色んな技術のレベルを上げる必要があると思いますね」

――ムエタイの練習以外ではどんなトレーニングをしているのですか。

「ウィラサクレックジムの練習がメイン&中心なんですけど、それにプラスしてボクシングは大橋ジムさん、スタミナ&フィジカルはリモートで指導してくれるアルゼンチン人のトレーナーと和田良覚さん、あとはダイエット&ニュートリッションを見てくれるトレーナーがいるんですよ。結構お金がかかってるんですけど、一番強くなりたかったら、そのための練習をしなきゃダメですよね」

――自分に必要な練習環境を整えているわけですね。

「そこはウィラサクレック会長の考えが柔軟なおかげですね。会長が『自分の言う通りやれ!』という人だったら無理だと思うけど、会長は僕の意見を聞いたうえで何がいいかを考えてくれるから、それがすごくいい方向に出ていると思います」

――さて次の試合についてですが、まず今の練習の状況を教えてください。

「拳の怪我があってしばらく休んでいたんですけど、今日から練習を再開します。パンチが出来ない分、たくさん蹴って、パンチ以外の武器を磨こうと思っています。あとは階級をどうするかにもよるんですけど、ライト級(77.1kg)でやるなら、もっと身体を作ってライト級仕様にしないといけないですね」

――8月からONEで戦うようになって、どんなことが変わりましたか。

「自分の目標が明確にあって、そこに向けての道筋がはっきりしたと思います。今までは漠然と強くなりたいと思ってやってたんですけど、今はONEのチャンピオンになることが目標で、あとどのくらいでたどり着けるかがある程度イメージできているから、モチベーションは上がりますよね」

――チャトリCEOが明言している日本大会に向けて、ブラボ選手の試合を日本で見たいというファンの方も多いと思います。日本大会へ向けたメッセージもいただけますか。

「僕がONEで活躍して日本のファンや応援してくれる人も増えました。そういう人たちに試合を見せる機会は少ないので、ぜひ日本大会には出たいです。そのうえで僕はONEのベルトを狙っているし、海外でベルトへ向けたストーリーが出来てきたので、そこにつながるような相手とやりたいですね」

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