【DEEP JEWELS43】プロ初勝利をかけた栗山葵戦へ、齊藤百湖「トップ3の図式を壊したい」
【写真】プロ2戦目とは思えない堂々とした口調でインタビューに応じた(C)TAKUMI NAKAMURA
23日(木・祝)に港区ニューピアホールで開かれるDEEP JEWELS43で齊藤百湖が栗山葵と対戦する。
text by Takumi Nakamura
柔道出身・アマチュア時代には万智にも勝利し、9月DEEP JEWELS 42でNØRIを相手に注目のデビュー戦を迎えた齊藤。反則による減点の影響もあり、スプリット判定で敗れたものの、MMAファイターとしての可能性を多いに感じさせる試合内容だった。国内女子フライ級の勢力図を塗り替えると意気込む齊藤に話を訊いた。
――DEEP JEWELS 43にてプロ2戦目を迎える齊藤選手です。9月DEEP JEWELS 42でのプロデビュー戦では反則による減点もあり、NØRI選手に判定1-2で敗れるという結果でした。あの試合を振り返っていただけますか。
「正直そこまで悔しいという感情はなかったです。アマチュアでは打撃をやろうと思って戦って、前回のデビュー戦でも打撃でいこうと思ったのですが上手くいかず、そこの課題は残りました。逆に寝技に関してはこの状態で仕上げていけばいいのかなと思いました」
――NØRI選手は特に独特な打撃を使う選手なのでやりにくいのかなと思いました。
「私も色んな人と練習してきてはいたんですけど、自分の間合いにできない特殊な間合いを持っている選手だなと思いました。試合中は打撃で自分の間合いにならないと思ったので、組み技に切り替えたのですが、テイクダウンした先の技術がまだ準備不足だったと思います」
――2Rにグラウンド状態の相手に対する頭部へのヒザ蹴りで反則&イエローカードで減点1となってしまいました。あの場面は覚えていますか?
「はい。ほぼ無意識でヒザ蹴りが出てしまったというか、蹴った瞬間に『やばい!』と思って止めようと思ったんですけど、止まらずに当たってしまって……。セコンドを見たら苦笑いしていて『すいませんでした…』という感じでしたね」
――とはいえデビュー戦で10戦以上のキャリアがあるNØRI選手と戦って、イーブンに近い試合が出来たことで手応えはあったのではないですか。
「いやぁ、自分の中ではもっとやれると思っていたので。ただ今の自分がどのくらいの位置にいるかは分かりました。それを人に言うのは恥ずかしいので心の中に留めておきます(笑)」
――セコンドの髙谷裕之さんや岡見勇信選手からは、試合後にどんなことを言われましたか?
「やはり打撃の部分ですね。髙谷さんからも『寝技は出来るけど打撃は押されていた』と指摘されましたし、課題は打撃というのが分かった試合だったと思います」
――それを踏まえて、どんなことを意識して練習してきましたか。
「それまでは打撃と寝技を分けて練習しているような感じだったので、打撃のなかでどうテイクダウンに持っていくかの練習を多めにしました。打撃と寝技をもっとミックスして“MMA”になるように意識しています」
――対戦相手の栗山選手にはどんな印象を持っていますか。
「バチバチのストライカーなので、そこをどう対処するか考えてやってきました。栗山選手はほぼほぼ打撃で、こちらは打撃でも寝技でもどちらでもいけるので、試合当日に相手と向きあった時の雰囲気で決めようと思います」
――齊藤選手はMMAPLANET初登場ということで、これまでのキャリアや経歴についても聞かせてください。斎藤選手は柔道がバックボーンですが、柔道を始めるきっかけはなんだったのですか。
「もともと兄が柔道をやっていて、私も柔道をやりたいと言っていたらしく、気づいたら自分も始めていました。実際に始めたのは小学2年生からなのですが、幼稚園の頃から見学には行っていたみたいです」
――それからは柔道一筋だったのですか。
「結構色んな習い事をやっていて、水泳、ピアノ……私がやりたいと言ったことはやらせてくれていました」
――そのなかでなぜ柔道にハマっていったのでしょうか。
「一番やっていて楽しかったですし、自分の成長を感じることが出来たことが大きいですね。小学2年生で始めて、小学4年生で東京都の強化指定選手に選ばれたので、楽しい&結果が出て続けたという感じです。それで中学・高校からは本格的にオリンピックを目指して柔道に打ち込むようになりました」
――現実的にオリンピックや国際大会を狙える位置だったのですか。
「いえ、正直なところ国際大会に出るのは難しい位置でしたね。それでオリンピックが無理だと分かってからは楽しく柔道をやっていました」
――ちなみに同時代の選手や練習していた選手でオリンピックで活躍して選手もいますか。
「渡名喜風南(東京五輪柔道48kg級銀メダル)は高校の先輩で、松本薫(ロンドン五輪柔道57kg級金メダル)選手ともよく練習させてもらっていました。本当に大学時代は柔道を楽しんでましたね」
――大学卒業後は柔道に区切りをつけて、一度就職されているんですよね。
「そうですね。就職先に男子の柔道部があって、軽く趣味程度にはやっていましたが、練習そのものも週1回やるかやらないかでしたし、基本的に柔道は大学で区切りをつけました。ただずっと身体を動かしてきた人生だったので、仕事だけの生活は物足りなくて、何かやりたいなと思って職場の近くに合ったEX FIGHTに入会しました」
――よくある運動不足解消のためにジムに入会した、と。
「はい(笑)。ただ入会初日にミット打ちをやった時に『なんだこれ!めちゃくちゃ楽しいじゃん!』と思って、完全にスイッチが入っちゃったんです。それからは格闘家になることばっかり考えるようになりました」
――例えば柔道時代にMMAを見ることもあったのですか。
「ないですね。周りでRIZINを見ている仲間もいましたけど、私は特に興味はなかったです。EX FIGHTを選んだのも職場に近いし、LDHも好きだし…くらいの理由です(笑)」
――ジムに入会後、プロになりたいというのは自分からリクエストしたのですか。
「一般会員として一般クラスに出ていたんですけど、しばらくして髙谷さんに『マウスピースを作ってきたらプロ練に参加していいよ』と声をかけてもらって。それですぐに作って『マウスピ―ス作ってきたので、プロ練に参加させてください』と言いました(笑)。今は会社もやめて格闘技中心の生活を送っています」
――それだけMMAをやりたくなっていたのですね。ただし退職するのは一大決心だったのではないですか。
「安定した生活を捨ててもいいから格闘技をやりたいというモードでしたね。父親は亡くなっているんですけど、ずっと格闘技が好きでしたし、母親も少しは心配しているけどやりたいことをやりなさいと言ってくれました」
――齊藤選手はMMAにおいて、どんな目標を持っていますか。
「世界に行くとか大きな目標はなしにして、今は国内フライ級で一番になることですね。それが最初の目標です」
――いずれ戦いたい相手はいますか。
「栗山選手とはずっと戦いたくて、こんなにすぐ戦うチャンスが来るとは思っていなかったですし、この階級だったら杉山しずか選手、渡辺華奈選手、中井りん選手。やはりこの3選手とはやりたいですね。国内ではこの3人が3トップだと思うので、その図式を自分が壊したいです」
――それではこの試合を楽しみにしているファンのみなさんにメッセージをいただけますか。
「次の試合はどちらかが立っていて、どちらかが倒れている。そんな面白い試合になると思うので、私自身も楽しみですし、みなさんも楽しみにしていてください」
■視聴方法(予定)
11月23日(木・祝)
午後12時15分~DEEP チャンネル-YouTube、サムライTV、U-NEXT
■DEEP JEWELS43対戦カード
<DEEP JEWELS暫定ストロー級王座決定戦/5分3R>
松田亜莉紗(日本)
万智(日本)
<49キロ以下契約/5分3R>
須田萌里(日本)
彩綺(日本)
<フライ級/5分2R>
栗山葵(日本)
斎藤百瑚(日本)
<バンタム級/5分2R>
熊谷麻理奈(日本)
Te-a(日本)
<ミクロ級/5分2R>
山崎桃子(日本)
こゆき(日本)
<フライ級/5分2R>
奥富夕夏(日本)
谷山瞳(日本)
<バンタム級/5分2R>
MANA(日本)
細谷ちーこ(日本)
<無差別級/5分2R>
超弁慶(日本)
ぽちゃん Z(日本)
<グラップリング54キロ契約/5分1R>
横瀬優愛(日本)
あきぴ(日本)
<ミクロ級/5分2R>
ジャカ季美香(日本)
チャッキールビ(日本)
<アマ・50キロ契約/3分2R>
サラ(日本)
横瀬美愛(日本)
<アマ49キロ契約/3分2R>
須田美咲(日本)
槇原未来(日本)