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【ONE FN14】スタンプと暫定王座を賭けて戦う、ハム・ソヒ「36歳にして、辿り着いた」ベルトの意義

【写真】本当にいつも礼儀正しく、こちらを尊重して話してくれるハム・ソヒ。と同時に、しっかりと自分の意見を口にしてくれます(C)MMAPLANET

30日(土・現地時間)、シンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムでONE Fight Night14「Stamp vs Ham」が開催され、ハム・ソヒがスタンプ・フェアテックスとONE暫定世界女子アトム級王座決定戦を戦う。
Text by Manabu Takashima

アンジェラ・リーの長期戦線離脱より設けられた暫定王座を狙うハム・ソヒは、今年の3月で36歳を迎えている。MMAデビューから15年が過ぎ、女子MMAの歴史を紡いできたと言える彼女にとって、このベルトの意味とは──。


――ハム・ソヒ選手、今週土曜日にスタンプ・フェアテックスと暫定女子アトム級王座を賭けて戦います(取材は27日に行われた)。今の調子はいかがですか。

「凄く調子は良いですが、どの試合でもナーバスになるもので。今回もそういう緊張を乗り越えてきました」

──ここまで経験があっても、試合前にナーバスになるモノなのですか。

「確かにこれだけやってくると練習している日々のなかで、毎日のようにナーバスになるということはなくなりました。でも入場しているところ、ケージに入る瞬間を考えるとやはり緊張してしまいます。同時に適度に緊張することは大切で、全くリラックスしていると集中力が落ちるとも考えています。だからこ、この緊張している状態も戦う上でとても大切だと捉えています」

──3月に平田樹選手に完勝し、それから半年間試合がなかったです。これだけ試合が空いたことをどのように感じていますか。

「本来6カ月間も試合がないことは、私にとっては長すぎるインターバルです。ただ今回はこの半年の間に小さなケガを直し、家族との時間を創ったことで気持ちを休めることができました。それにこの試合は暫定王座が懸かった試合です。その分だけしっかりと休み、しっかりと準備ができたのでポジティブな期間でした。今回の6カ月間は、これまでのレイオフ期間とは違う意味合いでした」

──そのトレーニングキャンプの手応えは?

「私は年を重ねました。それだけ練習をしなければいけないです。年を取った今、若い頃より練習量は増えています。そうすることによって、常に自信を持ち続けることが可能になります。なので今回の試合は、凄く自信があります」

──今も韓国MMAは女子選手が多くなったとは言い難いです。そのなかでハム・ソヒ選手は女子選手とどれぐらい練習しているのですか。

「以前も今も同じです。韓国で女子選手が少ないという事情は変わっていないです。今回のトレーニングキャンプでも、男子のチームメイトと練習してきました。ただ、つい2年前まで韓国の女子MMAの状況に悲観的で、もっとレベルの高い女子選手が増えて一緒に練習したいという想いでいました。でも今は違います。自分がどういう風に練習すれば良いのか、しっかりとシステム化できるようになったんです。だから男の選手との練習で、十分な準備ができているようになっています」

──もう10年ぐらい前ですが、プサンに行ってチームMADの練習を取材させていただいた時に、ハム・ソヒ選手が男子選手とのグラップリングのスパーリングでヒジをケガした場面に出くわしました。そのまま病院に行き、練習も終了というあのシーンが忘れられなくて。

「あぁ……あの時にケガをしたヒジは、今も痛いです(笑)」

──おお、なんてことですか。

「若い時って、自分がずっと若いままだと想いがちです。だから体のこと、ケガのことなど気にしていなかった。すぐに直る、だからハードに練習する──そんな感じでいました。年を取ったり、体が弱くなるなんて考えたこともなかったので。でも、今ではトレーニングを一度するたびに、体が痛いです(笑)。さきほど、今の方がトレーニング量が増えたと言いましたが、それはスマートにトレーニングするようになったからです。体のことはしっかりとケアしていますし、休息も取るようにしています。だから練習量も増え、つまりは効果的な練習ができているということですね」

──スタンプは、まさに年を取るなんて思っていないでしょうね。

「きっと、後悔する日が来るでしょうね(笑)。小さなケガが続き、そんな風に練習毎に感じるはずです。まさに、今の彼女はあの頃の私のようで(笑)。スタンプのベースはムエタイで、キックとムエタイで世界チャンピオンになった後、MMAを戦うようになりましたが、スムーズに移行できたようには思えなかったです。

今も彼女はムエタイファイターであって、MMAファイターになり切っていない。だからといって私に明白なアドバンテージがあるわけではなくて。でも、この試合はMMAだし、MMAでいえば私の方がより完璧に近い。MMAは本当に予期できないことが起こるので、私はどのような状況にも、より自然と的確に対応ができると思っています」

──スタンプのフィジカル、フレームをどのように思いますか。

「えっ、彼女の方が大きいですか? 公式プロフィール的には違いがないはずですが」

──きっと彼女がナチュラルで、ハム選手はこの体重で戦うために大きくしてきたので、そんな風に思い込んでしまっているのかもしれないです。

「う~ん、公称で違いないですし、フィジカルやサイズの違いを気にすることはないです。試合の準備をしている時も、そこは考えてこずにやってきました」

──押忍。では女子MMAがまだ形になっていなかった頃から、このスポーツと共に人生を歩んでいたハム・ソヒ選手が、36歳になって挑むONE暫定世界アトム級王座の意味とは何なのでしょうか。

「確かに私がMMAを始めたころと比較すると、今は多くの若い選手が世界中で育っています。スターが生まれ、新しいチャンピオンが出てきます。だからこそ、36歳になってチャンピオンになるということに意味があります。私の周囲には引退を話題する人が多いです。そして実際に引退を考える、既に引退する人がいる年齢になりました。でも、このベルトを取ると、そういう空気を私の周りから取り払うことができます。

それが私のモチベーションにもなっています。年齢はただの数字です。36歳はまだ若いです。年齢に関わらずパフォーマンスに納得がいかずに敗北を重ねたり、自分が望む結果を手にすることができない選手には、私が戦ってベルトを取ることでモチベーションを保てるはずです。『まだまだ時間はある』、『やれる』、『諦めない』と。私は36歳にして、ここに辿り着いたのだから。そういう風に今、上手くいっていない選手に好影響を与えることができる。それこそが、今回ベルトを取る意義です」


■放送予定
8月5日(土・日本時間)
午前9時00分~ABEMA格闘チャンネル

■ONE FN14対戦カード

<ONE暫定世界女子アトム級(※52.2キロ)王座決定戦/5分5R>
スタンプ・フェアテックス(タイ)
ハム・ソヒ(韓国)

<ONEムエタイ女子世界ストロー級王座決定戦/3分5R>
スミラ・サンデル(スウェーデン)
アリシア・エレン・ホドリゲス(ブラジル)

<ONEサブミッショングラップリング世界女子アトム級(※52.2キロ)王座決定戦/10分1R>
ダニエル・ケリー(米国)
ジェッサ・カーン(米国)

<女子ストロー級スペシャルルール/3分3R>
シィオン・ヂィンナン(中国)
スーパーガール・ジャルーンサックムエタイ(タイ)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
ジョン・リネケル(ブラジル)
スティーブン・ローマン(フィリピン)

<ムエタイ・ライト級/3分3R>
ドミトリー・メンシコフ(ロシア)
ルンラーウィー・シッソンピーノン(タイ)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
エドゥアルド・フォラヤン(フィリピン)
アミール・カーン(シンガポール)

<ヘビー級(※102.01キロ)/5分3R>
マウロ・チリリ(イタリア)
ポール・エリオット(英国)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
ブレイク・クーパー(米国)
モーリス・アベビ(スイス)

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