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【FORCE18】地元でメイン出場、高岡宏気―01―「あの事故が人生の大きな転機になりました」

【写真】修斗だけでなくNEXUSにも出場している高岡(C)SHOJIRO KAMEIKE

17日(日)に香川県高松市の高松シンボルタワー展示場で開催されるプロフェッショナル修斗公式戦FORCE 18のメインイベントでは、高岡宏気が加マーク納と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

香川県出身&在住の高岡にとって、FORCEのケージはまさにホームだ。そのメインで元グラジエーター王者の加マーク納を迎え撃つ高岡は、地元の香川でMMAを始めた理由は何だったのか。そこにはMMAが盛んでない地域ならではのエピソードがあった。


――本日はリモート取材となりました。事務所のような場所でワイシャツ姿ということは、もしかして会社にいらっしゃるのですか。

「はい、そうです(笑)。格闘技をやっていることも理解してくれている会社ですので、大丈夫です」

――ぜひ会社の皆様にも宜しくお伝えください。差し支えなければ、何のお仕事をされているか教えていただけますか。

「メインは不動産事業で、同じグループ内でサウナや飲食店も運営している会社に勤めています」

――するとフルタイムで勤務してからジムへ向かうのでしょうか。

「そうですね。早ければ19時に仕事が終わり、そこからジムに行って23時ぐらいまで練習しています」

――ハードな毎日ですね。今回はMMAPLANETで初めてのインタビューとなります。まずは高岡選手がMMAを始めた経緯から教えてください。

「もともと中学生の時は極真空手をやっていました。でもPRIDEのファンで、昔からMMAも大好きだったんです。いつか香川県内にMMAができる場所があれば、自分もMMAをやってみたいと思っていて」

――なぜ空手は辞めてしまったのですか。

「それはもう……、遊びたかったからです(笑)。でも田舎あるあるで、遊べる場所も少ない。遊ぶといっても、特に何かするわけではなくて」

――田舎あるあるですよね。私も岡山県の倉敷出身なのですが、夜遊びしようにも店は早く閉まるし、同じところに行っても飽きてしまう。だから夜にダラダラと過ごす生活を送るようになる。

「まさにそういう生活を送り、入学した高校も退学して、鳶職をやっていました。少し格闘技から離れた話になってしまうのですが、鳶職の頃に鉄骨に関わる作業もやらせていただいていた時に、大きな怪我をしてしまって」

――えっ!?

「建物の解体をしていて、廃棄する鉄骨をトラックの荷台に乗せていた時、その鉄骨に僕の足が巻き込まれてしまったんです。足が潰れてしまうような状態にはならなかったのですが、その時に思ったんですよ。『もし足を負傷して現場に立てなくなったら、学歴もない自分はどうやって生活していけるのだろうか』って」

――……。

「今の自分の能力では、現場でも何もできない。『これはヤバい。やっぱり学校は行っておいたほうが良い』と考えました。そこで高校だけは卒業しようと思い、19歳になる前ぐらいから定時制の学校に通い始めたんです。ちょうどその頃に、MMAも始めました。自分にとっては、あの事故が人生の大きな転機になりましたね。定時制の高校から大学に進み、大学を卒業して今の会社に就職しました」

――高岡選手は1995年生まれで、MMAを始めた2015年前後の香川県といえば、まだ常設ジムも少なかったと思います。

「はい。先ほども言ったとおり昔からMMAは好きで、自分もやってみたいと思っていました。そんな時に当時はトイカツ道場香川支部――今のフォースジムを見つけたんです。香川でMMAができるんや!』と嬉しくて入会しました。ただ、あの頃はプロで試合をするとかは一切考えていなかったんです。何もやることがない、暇やからジムに入会にしようという気持ちのほうが強かったですね。でも……ジムに入った時、同い年の子たちがいて。『こんな子らに負けるはずがないやろ』と思っていたら、グラップリングの練習で何もできなかったんですよ」

――今度は格闘技ジムあるあるですね(笑)。

「アハハハ、そうなんです。『こんなヤツらに負けるんや……』と思いました。今考えたら、恥ずかしい限りなんですけど(苦笑)。そこで『少なくとも、この子らよりは強くなりたい』と考えて練習していた頃に、その子たちがアマチュア修斗に出ることになって。同じタイミングで僕も出させてもらうようになりました。それがジムに入って半年経つか経たないか、という頃でした」

――初めてアマ修斗に出た時の結果は……。

「もちろん、ちゃんと負けました(笑)」

――定時制高校に入学した頃にMMAを始め、大学進学から就職と並行して、アマ修斗を経てプロデビューに至るわけですね。

「並行していました。定時制の時は少し大変でしたね。朝9時から15時までバイトして、17時から21時まで授業を受ける。学校からジムまでは自転車で5分くらいで着くので、21時からの練習に5分か10分遅れで参加するという生活でした」

――今も昔もハードな毎日だと思います。それだけ高岡選手をMMAに向けて突き動かしてきものとは何だったのでしょうか。

「試合で勝ったら嬉しい。それが一番です。初めてアマ修斗に出て負けた時に、すごく悔しかったです。そこから強くなりたいと思ったのですが、修斗だとアマチュアで勝てばプロに昇格できる道があると知って。まずはプロ昇格を目標に頑張りたいと思いました。地方にいる人間にとって、アマからプロに繋がる道があるのは大切なんです」

<この項、続く

■視聴方法(予定)
9月17日(日)
午後3時~ Twit Casting LIVE
             
■ FORCE18対戦カード

<フライ級/5分2R>
高岡宏気(日本)
加マーク納(日本)

<フライ級/5分2R>
堀川“55”滉介(日本)
亮我(日本)

<バンタム級/5分2R>
波平ゴング(日本)
ダイキライトイヤー(日本)

<新人王決定Tフェザー級準決勝/5分2R>
松浦真実也(日本)
宇藤彰貴(日本)

<ストロー級/5分2R>
石原愼之介(日本)
若山達也(日本)

<バンタム級/5分2R>
矢野武蔵(日本)
JAM(日本)

<ライト級/5分2R>
おえゆうた(日本)
轟轟(日本)

<ストロー級/5分2R>
里見拓磨(日本)
木村旬志(日本)

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