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【Shooto2023#05】安芸柊斗の挑戦を受ける新井丈「組んできたらオイシイ。削られるのは相手」

【写真】拳だけでなく、言葉でも語ることができるチャンプ (C)SHOJIRO KAMEIKE

23日(日)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2023#05で、世界ストロー級王者の新井丈が、安芸柊斗を挑戦者に迎えてベルトの初防衛戦を行う。

昨年9月に猿丸ジュンジを下してベルトを獲得した新井は、1戦を挟んで今年3月にフライ級1位の関口祐冬に判定勝ちした。フライ級進出に成功を収めたあと、再びストロー級に戻って戦うことになった新井丈は、初防衛に向けて絶対的な自信がみなぎっていた。


――試合を1週間後に控えてのインタビューとなります。今年3月にはフライ級で関口祐冬選手に判定勝ちを収めています。修斗フライ級1位を下した、あの試合の感想から教えてください。

「自分が信じたとおりの試合になったかな、という感じですね」

――「信じていた」というのは、「想定していた」とは違う意味でしょうか。

「想定していたのは、『辛い試合になるだろうな』っていうことですね。当日の体重差が5~6キロあることも想定していました。でも、そんな状況も俺ならひっくり返せると信じていましたから。その通りの結果になったと思います」

――これは想定といいますか予想になりますが、体格差もあることで競った内容になるかと考えていました。しかし結果は新井選手が打撃を効かせてフルマークの判定勝ちでした。

「見ている人からすれば、そういう予想にはなると思いますよ。関係者からも『新井丈って打撃だけだろ?』とか、『同じ階級で打撃ができない相手に勝っただけ』っていうふうに見られていたことも実感していました。

逆にフライ級挑戦は、そんな評価を覆すための良いチャンスで。結果的にいつもの速いKO勝ちではなく、体格差のある相手とフルラウンド戦って勝てたことで、関係者の人たちに『新井丈』っていうものを見せることができたかなって思います」

――KOこそできなかったものの、フライ級の関口選手にパンチを効かせていました。それは自信になりましたか。

「パンチを効かせるっていう部分では反省点があります。効かせたっていう嬉しい気持ちは全然なかったですね。やっぱり階級が上の相手はしぶといと思いました。もっともっと自分の攻撃力を上げていかないといけなくて。タイミングとか、技術の部分でも。もう少し技術の幅が広くなれば、倒せるチャンスは増えますよ。フライ級で倒せなかったということについては、自分にとって伸びしろであり、修正しないといけない点が見つかりました」

――組みについてはいかがですか。フライ級1位を相手に尻もちや背中を着かされることはありましたが、ガッチリと抑え込まれたわけではありません。3Rにはリバーサルにも成功しました。

「相手の組みに関しては、まぁまぁって感じじゃないですか(笑)。HEARTSで一緒に練習している猿田洋祐さんのほうが強いので。そういう強さを感じながら、ボコボコにされるためにHEARTSに移籍しました。猿田さんと練習していることが、他の相手と対戦しても安心できる部分ですよ」

――一方で一度、上の階級で戦うと元の階級まで体重を落としづらくはなりませんか。

「そういうことは、なかったですね。むしろフライ級まで体をデカくして、ストロー級に戻ってきたらストロー級で世界基準のフィジカルになっていると思っていたんですけど。実際にやってみたら、フライ級の試合でも当日の体重と変わらなかったです」

――ストロー級まで減量して試合当日に戻る体重と、フライ級での試合当日の体重が変わらなかったわけですか。

「はい。ほぼ変わらなかったですね。常に体を大きくしたいという気持ちはあります。だから試合期間が空くようなことがあれば、体を大きくすることに時間を割いてみたいですね」

――なるほど。ちなみに次の試合に関するお話の前に、関口戦の前に勝利していた安芸選手が新井選手との対戦について何もアピールしないのは気になっていましたか。

「それは気になりますよ。『コイツ何やってんだ!?』と思いました(笑)。安芸君と澤田君、どっちが勝っても俺に喧嘩を売ってくると思っていたんですよ。だからアピールに何か答える準備もしていて。なのに安芸君が、わざわざ遠い徳島から出てきて試合に勝ったのに『また頑張ります。応援してください』と言うのは、俺も『えーっ!?』と思いました。『じゃあ自分が言うしかないかぁ』って。アハハハ」

――あの場面でアピールしないのが安芸選手らしさですし、反対に安芸選手の代わりに言ってあげるのが……「新井選手は優しい人だなぁ」と思いました。

「ありがとうございます(笑)。ただ、それも自分のためですよ。次の方向性を示してあげたほうが、お客さんも乗りやすいじゃないですか。正直、安芸君に対する感情って何もないので。次の試合に向けたプロモーションをしたっていうだけですね」

――何も感情がない……。

「もちろん自分の試合前でも、どっちが勝つのかは気になっていましたよ。それもセコンドの人たちがしっかりと見ていてくれたので、自分は『どうなっていますか?』と聞くぐらいで試合に集中できました。俺は澤田君が勝つと思っていて」

――そうだったのですか。では安芸選手が澤田選手に勝ったことについて、あるいは安芸選手が何か驚くようなものを見せた印象はありますか。

「それはないですね。安芸君が何か新しいことをやったとは思わないので。まず澤田君が試合をつくることができていなかった点がガッカリでした。澤田君といえば、日本のストロー級を代表する選手の一人で。ONEでの経験もあるし、俺とは違うタイプのファイターじゃないですか。レスリングがベースで、俺とは違うファイターを倒すことが新井丈の名前を挙げることに繋がると考えていたんです」

――というと?

「澤田君と戦ったほうがキツイ試合になる。そういうキツイ試合をクリアしたほうが、俺の名前が挙がると思うんです。安芸君は同じストライカーだし、安芸君に打撃で勝っても……俺の評価は上がらないかなって考えますよね」

――つまり、安芸選手が相手だとキツイ試合にはならないと考えているのですね。

「はい」

――ここ最近の中で、最も自信のある語気と表情ですね。その自信の理由を教えてください。

「さっき言ったファイトスタイルですよね。今回は相手に何もさせず、圧倒して新井丈のベストパフォーマンスを更新する。そこにモチベーションを置いています」

――ストライカーであっても新井選手と安芸選手ではタイプも違うと思います。どんどん距離を詰める新井選手に対し、安芸選手は一定の距離を保ちながら相手が入ってきた時にパンチや蹴りを当てるという印象が強いです。ご自身と違うタイプの打撃は苦になりませんか。

「ならないです。打撃に関しては、自分より強いヤツと戦っていても楽しいので。俺が得意としている部分なら、いくらでも付き合います」

――逆に安芸選手が打撃より組みを選択することは想定していますか。

「想定はしています。でも組んできたら、俺にとってはオイシイというか。そうなると削られるのは相手だと思いますよ。ストライカーが……今まで試合で組みに行っていない選手が、たとえ練習で組みを出せていたとしても、試合は全然違うので。今まで試合で出せていないものを出そうとしても、絶対に上手くいかないです。

逆に俺は相手の組みを切ることをやってきたタイプだから、いつもと同じ試合になるっていうことですよね。それは俺にとって楽な展開で、いつもと違う試合をしている相手のほうが気持ちの面で削られてくると思います」

――では新井選手から見て、安芸選手と対戦した時にリスクと感じる部分はあるのでしょうか。

「試合前だから明言はできないけど、新井丈のスタイルに対して相手が狙ってくることなんて自分が一番分かっていますから。練習でも、俺のスタイルを知っている相手が常に狙ってくるポイントがある。俺が得意なところで勝負させないようにしてくる。

自分の穴については常に練習仲間と意見交換して、どんどん言ってもらっています。相手が試合で狙ってくるのも、同じところだと思いますね。逆に、そういう穴以外の部分に対して自信を持っているなら『甘いよ』って言いたいです」

<この項、続く


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