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【UFC ABC05】エマースと対戦、対角線コンビの使い手ジェンキンス「武尊は良いMMAファイターになる」

【写真】一つ一つの返答が、本当に興味深かったジャック・ジェンキンス(C)MMAPLANET

30分後にスタートするUFC ABC05 Emmett vs Topuria」。平良達郎の試合はキャンセルされた同大会で、ジャック・ジェンキンスがジャマル・エマースと第2試合で対戦する。

広大な国土に限られた人口、それでいてスポーツ王国の豪州は16名ものファイターが、UFCと契約下にある。なぜ、豪州はUFCへの道が開けているのか。MMAで対角線コンビネーションを使う──豪州フェザー級の雄ジャック・ジェンキンスを初インタビューした。一つの質問に対して、しっかりと分析力のある返答を続けたジェンキンス、相当にファイトIQが高いはずだ。


──ジャマール・エメース戦を週末に控えたジャックですが、豪州からフロリダへ。日本人ファイターも問題になる時差だけでなく、季節も違う状況ですが、どのようにアジャストしているのでしょうか(※取材は21日に行われた)。

「時差に関しては、UFCのスケジュールよりも1週間早く入って調整してきた。ただ、季節の違いに関してはアジャストのしようがないんだ(笑)。そういうもので、体を慣れさせるしかない。ただし、寒い時に暖かい所にくるのは問題ない。豪州が夏で、こっちが冬の時に来る方が大変なんだ」

──なるほど。いずれにせよ、前乗りのするのは米国の選手にはないディスアドバンテージですね。

「まぁ、自費で宿泊費をねん出しないといけないからね。ただ、勝てば返ってくる。そのための投資だよ。勝てば、もっとお金が入ってくるんだから、勝つために最高の準備をする。そのうちの一つが、ファイトウィークの前の週に開催地に入ることなんだ」

──ところでジャックに一つ、質問があります。豪州には大きなドメスティックMMAショーは存在しません。あるのはフィーダーショー。決して数も多くない。日本は毎週のように東京でフィーダーショーがあり、RIZINというビッグショーがあっても、UFCファイターは少ないです。豪州の環境を良く知るファイターとして、この違いはどのように考えることができるでしょうか。

「それは……僕らの国では、より高いコンペティションで勝ち上がろうと努力しているから、国内のショーでも戦いのレベルが上がっている。そしてローカルショーで戦う条件も良くなっている。豪州はやはり西欧のマーケットの一部で、日本の市場とは違うんだと思う。日本にはRIZINがある。そこが豪州との違いだよね。

豪州ではローカルシーンで、選手が成長してUFCに行くためのサポート体制が整っているといえる。そんな風になったのもアレックス・ヴォルカノフスキーという、このスポーツを引っ張るUFC世界チャンピオンがいるからだよ。アレックスの背中を追って、僕らは戦っているからね。

RIZINはリングを使っているし、自分たちの格闘技の線上にあることを大切にしていると思う。豪州はUFCととともに、よりウェスタンワールドの商業主義を採り入れている。K-1のタケルや、キックのテンシン、日本は素晴らしいファイターを輩出しているよ。でも言葉も違う。だから日本のファイターはUFCよりもRIZINで戦いたいんじゃないかな。ただ個人的にタケルはさ、MMAでも相当に強いと思うよ」

──いやぁ、ジャックは相当にスマートですね。そんな豪州にあって、一番のフィーダーショーはどこになるでしょうか。

「HEX FSとEternal MMAだろうね。この2つが一番になろうと鎬を削っているから、両プロモーションとも成長している。僕はHEXとEternalの両方で戦ってきたけど、どっちも良い大会だよ」

──押忍、試合と関係ない話に付き合ってくれて、ありがとうございました。ではエマース戦に向けて、彼の印象を教えてください。

「しっかりとした技術力のある、良い選手だよ。しっかりと彼の左を見て、よりプレッシャーを掛けて戦わないといけない」

──エマースはリーチが長く、遠いレンジで戦いボディショットを得意としています。

「その通りだ。最初は腹に蹴りを入れて、試合が進むとパンチが多くなる。遠い距離でパンチを出すけど、僕はジャマールを誘い出す。フィニッシュするよ。僕のフィニッシュ力はこのスポーツのトップだと証明したい」

──そのジャックの打撃は、距離が近く対角線コンビネーションすら使っています。

「僕は13歳の時からキックボクシングを始め、15歳で柔術も習うようになった。それからMMAをやってきたけど、打撃の基礎はキックボクシングにある。そして、僕はオランダ流の対角線コンビネーションを使うことが好きなんだ。テイクダウンに対応できるから、あの距離でも構わない。ただし、オランダ人キックボクサーと違うのは、グローブで顔を覆って防御をしないこと。僕は手を前に出している。攻撃はダッチ・キックボクシングだけど、ディフェンスはMMAなんだ」

──凄く興味深いですね。

「米国のMMAはボクシングとレスリングだろう? 豪州はキックボクシング王国だ。それにケージがあるからね。レスリングマットでアメリカ人やロシア人レスラーと戦うと、僕は絶対に勝てない。でもケージがあることで距離をコントロールして、彼らを戸惑わせることができる。僕はD1レスラーじゃないけど、レスリングとMMAは同じじゃないからね。金網と打撃が有ることで、僕は彼らのレスリングに屈しない」

──ジャック、今日は短い時間ながら興味深い話をたくさんしていただき、ありがとうございました。では、最後に日本のファンに一言お願いします。

「いつか僕も日本のビッグスタジアムで試合をしたいと思っている。その時は応援してくれると嬉しい。日本には行ったことがないので、本当に行きたいんだ」

■視聴方法(予定)
6月24日(日・日本時間)
午前0時30分~UFC FIGHT PASS
午前0時~U-NEXT

■ UFC ABC05対戦カード

<フェザー級/5分5R>
ジョシュ・エメット(米国)
イリャ・トプリア(スペイン)

<女子フライ級/5分3R>
アマンダ・ヒーバス(ブライジル)
メイシー・バーバー(米国)

<ヘビー級/5分5R>
ジャスティン・タファ(豪州)
オースティン・レーン(米国)

<フェザー級/5分3R>
デヴィッド・オナマ(ウガンダ)
ガブリエル・サントス(ブラジル)

<ミドル級/5分3R>
ブレンダン・アレン(米国)
ブルーノ・シウバ(ブラジル)

<ウェルター級/5分3R>
ニール・マグニー(米国)
フィリップ・ロウ(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ランディ・ブラウン(ジャマイカ)
ウェリントン・トゥルマン(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
マテウス・レンベツキ(ポーランド)
ロイック・ラジャポフ(タジキスタン)

<女子ストロー級/5分3R>
タバタ・ヒッチ(ブラジル)
ジリアン・ロバートソン(カナダ)

<フライ級/5分3R>
ザルガス・ズマグロフ(カザフスタン)
ジョシュア・ヴァン(ミャンマー)

<ライト級/5分3R>
トレバー・ピーク(米国)
チャペ・マリスカル(米国)

<フェザー級/5分3R>
ジャマル・エマース(米国)
ジャック・ジェンキンス(豪州)

<ミドル級/5分3R>
コディ・ブランデージ(米国)
セドリクス・デュマ(米国)

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