【ONE FN08】ノーギワールズ王者×ADCC王者。タミー・ムスメシ「タップせずに達成感? 理解不能」
【写真】マイキーよりクールで、厳しい一言も聞かれたタミー(C)MMAPLANET
25日(土・現地時間)にシンガポールのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE Fight Night08でマイキー・ムスメシの姉=タミー・ムスメシが、ビアンカ・バシリオとサブミッショングラップリング戦を戦う。
ノーギワールズ、4度優勝のタミーと2019年ADCC世界王者のビアンカのマッチアップ――2つの世界王者が、ONEで組みあう。初のケージでの試合を前にして、前回のマイキーとガンドゥルム・バヤンドォーレン戦を例に、グラップリングにおける見込み一本について話を訊いた。
──タミー、ビアと今週末に戦います(※取材は3月22日に行われた)。今の気持ちを教えてください。
「凄くワクワクしているわ。勝敗は別にして、自分のできる全てを出して戦うわ」
――マットでなく、ケージでグラップリングを戦う。この環境の違いをどのように捉えていますか。
「マットとケージは全く別物ね。でも、マイキーはしっかりとケージで戦えているし、ONEのグラップラーたちもそう。私もしっかりと戦えると思っている。ウォールレスリングを理解することで、よりダイナミックなグラップリングになるでしょうね」
――ビアと戦ううえで、自分のどこにアドバンテージがあると考えていますか。
「う~ん、どうなんだろう……。彼女はとても速いわ。ただ、計量後に彼女がどれだけ私と同じようにエネルギーを残せているのか。そこの部分は私にアドバンテージがあるんじゃないかしら」
――WNOでは115ポンドで戦っていましたが、今回は125ポンド。どちらが適正階級なのでしょうか。
「どっちの階級でも、しっかりと戦えるはず。125ポンドは、少し大きな状態で戦えるから、少し筋量を増やせることができて嬉しい。そうね、きっと125ポンドの方が良いと思う。私の体格は115ポンドでも、125ポンドで戦いたい」
――今回、ムエタイやMMAファンの前で戦うことについて、どのように考えていますか。ノーギや柔術のトーナメントのように柔術を理解しているファンではないです。
「UFCを観に行ったことがあるんだけど、グラウンドになるたびに会場の全観客が『立って戦え』って叫んでいるのが、おかしかった(笑)。スポーツバーでも同じ、『立てっ!!』って叫んでいるわ(笑)。あの野次はグラップラーにはプレッシャーになるわよね。ムエタイやキックのようにKOを見て楽しむものと、グラップリングのよう練習して楽しむという2つの楽しみ方がマーシャルアーツにはあるから。
ホント、見ている人が盛り上がるかどうかはもう顔合わせ次第。道着なんて、レベルが高くなれば高くなるほど、そういうファンが楽しめる試合にはならないし。でも、マッチアップ次第ということを考えるとビアンカと私の試合は、凄くエキサイティングになることは間違いない。私はストーリングするタイプじゃなくて、常にアタックするし。ビアンカも積極的な選手だから、楽しみな試合よ」
――ところで前回、マイキーがガンドゥルム・バヤンドォーレンと対戦した際、ヒールフックが完全に極まっているのに相手はタップをしませんでした。以前、タミーもミッシェル・ニコリニの腕関節にタップせずに負傷したことがありました。
「私の時と、あの試合は全然違うわ。私の場合はサブミッションを極められそうになっていることが分かっていなくて、気が付いた時にはどこか壊れた……ケガをしていたの。でも、あのモンゴル人選手は何度もタップする機会があったはず(笑)。私のケースは痛みはなくて、急に痛みを感じた。でも、あの選手はずっと痛かったはず。映像を見ていて、ゾッとしたわ(笑)。ホント、なんでタップしないのか意味不明だったし。
私って、マイキーの試合の時はいつも凄くナーバスになるのに、あの試合は相手選手のことを心配しちゃったぐらいよ(笑)」
――タップをしない精神力は凄まじいですが、あれはタップをしないと……選手寿命に影響しますね。
「精神力? あんな馬鹿げたことはないよ。レスリングのピンフォールと同じように、グラップリングはタップをして負けないと。優れた選手は練習でも試合でもタップをするもの。そうでないと、このスポーツは成立しないから。タップしないことでやり切ったと達成感を得て、それでハッピーなの? それなら、それで良いけど。私には理解できない」
――関節技に関して、レフェリーの見込み一本はあるべきでしょうか。
「レフェリーに判断を任せるのでなくて、自分で判断しないといけないと思う。ただ腕が伸びきってもタップをしないし、平気に見える人もいて……腕や足の柔軟性って、個人差があるから。KOや失神のように見た目で分かるモノじゃない。それにしてもあのモンゴル人は、つま先がありえない方角を向いていた……から、ああいう状況になるとレフェリーが試合を止めるのも有りだと思う。でも、止めなかったフェリーのミスじゃない。きっと、ルールにないことだろうし。
あの試合があったから、またああいう状況になったらレフェリーはもうストップしないとね。この問題は明白な判断基準がなくて、TKOやKOとは違ってグレーエリアだから」
――タミー、試合前に試合とは関係ない話にしっかりと答えていただきありがとうございました。では最後に日本のファンにメッセージをお願いします。
「日本のファンに?」
――ハイ。マイキーはいつもここで『イッコー』、レッツゴーと日本語で言います(笑)。
「日本語ね……オハヨー。トモ、マコト、柔術コミュニティの友人がこう言っているの(笑)。私の試合を日本の皆が視てくれて嬉しいわ。土曜日の朝、皆のためにベストを尽くして戦うから」
■放送予定
3月25日(土・日本時間)
午前8時00分~ABEMA格闘チャンネル
■対戦カード
<ONEキックボクシング世界フライ級選手権試合/3分5R>
[王者] スーパーレック・ギアットムーガーオ(タイ)
[挑戦者]ダニエル・ウィリアムス(豪州)
<ONE女子ムエタイ・アトム級選手権試合/3分5R>
[王者] アリシア・エレン・ホドリゲス(ブラジル)
[挑戦者] ジャネット・トッド(米国)
<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
ハム・ソヒ(韓国)
平田樹(日本)
<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
オ・ホテク(韓国)
アクバル・アブデュラエフ(キルギス)
<キックボクシング・ストロー級/3分3R>
ジャン・ペイメン(中国)
トレプチ・ドガク(ロシア)
<ムエタイ128ポンド契約/3分3R>
アスランバック・ジグレーブ(ロシア)
ルイ・ボテーリョ(ポルトガル)
<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
アレックス・シウバ(ブラジル)
山北渓人(日本)
<ムエタイ・フェザー級/3分5R>
ニコラス・ラーセン(デンマーク)
エディ・アバソロ(米国)
<ムエタイ女子ストロー級/3分3R>
エカテリーナ・ヴァンダリーバ(ベラルーシ)
イマン・バーロウ(英国)
<サブミッショングラップリング女子ストロー級(※56.7キロ)/10分1R>
ビアンカ・バシリオ(ブラジル)
タミー・ムスメシ(米国)