【ONE FC01】キャリアを繋いだ──右オーバーハンド。平田樹がダウンを奪いリン・フーチンに逆転勝ち
<119ポンド契約/5分3R>
平田樹(日本)
Def.3-0
リン・フーチン(中国)
向かいあうと、身長差が明白な両者。リン・フーチンがまず左ローを蹴る。さらに左ジャブを伸ばしたリン・フーチンが右ストレートを入れる。ローに左を合わせようとした平田だが、距離はリン・フーチンだ。手が出ない平田、貰う覚悟でどのタイミングで詰めることができるか。平田はシングルレッグを一発で決めたが、リン・フーチンがすぐに立ち上がる。圧を高めるリン・フーチンがジャブを見せ、平田は組み立てきれない。
それでも右オーバーハンドを入れた平田の組み狙いをリン・フーチンが察知する。サイドキックを見せたリン・フーチンに対し、平田は制空権に入れず、入った時は動きが粗い。それでもダブルに入った平田が、ケージに押し込む。オーバーフックで切るリン・フーチンは、ケージを背負って耐える。右を差しあげてのテイクダウン狙いは、ウィザー&腹ばいで耐えられた平田は初回はリードを許した。
2R、インターバル中に声を挙げた平田。リン・フーチンは右ミドルを蹴り、圧を掛ける。平田は右を見せて離れ、組み狙いは遠い。この距離の組みの動きを打撃に繋げたい。リン・フーチンも入らせない打撃を続けている感もあり、平田は前に出たい。右オーバーハンドで距離を詰めようとする平田に対し、リン・フーチンはこれを完全に見せているか。ダブルに対し、フレームをしっかりと創って突き放すリン・フーチンのリズムが続く。
右しか見せることができない平田は、左肩、ヒジ、拳に何か問題があるか。ここまで左ジャブを伸ばさないこということは、過去にもなかったはずだ。右にカウンターを当てられるようにもなり、シングルからクリンチも足を制せられて耐えられる。ここが勝負、胸を合わせた状態の平田が内股から小内でテイクダウンを奪う。
すぐに立ったリン・フーチンにキムラから崩して、上を取りきった平田は時間とともに笑顔を見せた。
最終回、リードを許した状態だが、良い形で2Rを終えることができた平田は、すぐに組みたい。リン・フーチンは左ジャブを伸ばし、左インサイドローを伸ばす。続いて左ボディストレートから右ローを蹴ったリン・フーチンが、左ハイも繰り出す。平田はここで時間を使ってしまっているのは痛い。勝つには殴られ、蹴られる覚悟で前に出るしかない。
と、左ローに組んだ平田がクリンチでケージへ。首を抱えて耐えるリン・フーチンの背中に回っていく。リン・フーチンは右を差しつつ胸を合わせる。ダブルレッグから足を掛けて倒した平田が、がぶってヒザもリン・フーチンはヒザを腿に入れる。平田は抱えた状態が続き、ヒザを受けそうになる。平田はここで首を抱えた状態での払い腰も、リン・フーチンは腕のロックを支点に立ち上がりスクランブルへ。
残り1分、試合はスタンドに戻り平田のダブルを切ったリン・フーチンが左を当てる。リン・フーチンも疲れが見えるが、手&足を出す。と平田が右オーバーハンドでダウンを奪う。両手を広げてから、すぐにバックで抑えにいきパウンドを試合終了まで打ち続けた平田─が3-0の判定勝ちを手にした。
目を潤ませた平田は「5分3Rに絶対になると思っていたので、最後の1分と聞いた時に今まできつかった練習を思い出しました。コーチとチームメイトといっぱい対策もしたし、来るって分かっていたし。自分の得意な右を……なんだか良くわからないけど打ちました。前回めちゃくちゃ悔しい想いをしたジヒン、もう一回やろう」と話した。逆転を呼び込んだ右オーバーハンド、ここが一か八か。もしくは組みを見せつづけたことで、あの一発を狙い続けてきたのか。どのような心境で出したのかが、知りたい──平田だった。