【Shooto2022#05】北斗旗体力別優勝&イム・ドンジュ戦へ、岩﨑大河「空道をMMAに。MMAを空道に」
【写真】空道とMMAの並行活動、その相乗効果はMMAで見られるか(C)MMAPLANET
17日(日)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2022#05で、岩﨑大河が韓国のイム・ドンジュを迎え撃つ。
Text by Shojiro Kameike
今年に入り、4月のPOUNDSTORMで三上ヘンリー大智を下した1カ月後、北斗旗全日本空道体力別選手権大会の260+クラスで優勝している岩﨑。2019年全日本無差別選手権以来となる空道の試合で、岩﨑は何を掴んだのだろうか。今回のイム・ドンジュ戦、その先に目指す道を訊いた。
――5月29日に開催された北斗旗全日本空道体力別選手権大会、260+クラスでの優勝おめでとうございます。岩﨑選手が空道の試合に出場するのは、2年半ぶりだったのですね。
「ありがとうございます。コロナ禍もあって、2019年秋から空道の試合はやっていなかったので、2年半ぶりになりました」
――MMAと空道は別競技です。それだけの期間、空道から離れていたにも関わらず優勝という結果を残すことができた要因は、何だったと思いますか。
「自分は格闘技に対して、落とし込みでやっているんです。空道で学んだことを、どうやってMMAで生かすか。逆もまた然りですね。たとえば空道からMMAを戦う選手のなかで、空道ではなくMMAをやろうとする選手がいます。しっかりテイクダウンしてパウンドを打つ、スタンドではパンチしか出さないとか。
最初は自分もそうだったんですよ。でもコレではダメだ、空道をMMAに落とし込んでみようと。そのおかげで最近はMMAでも調子が良くなり、手応えを感じられるようになりました。だから今回は、反対にMMAでやってきたことを空道に落とし込んでみようと考えたところ、結果を出すことができて良かったです」
――MMAでやってきたことを空道に落とし込む……それはたとえば、どのような点に表れていましたか。
「自分は間合いを潰したり、広げたりという戦い方が好きなんです。いつも相手との間合いを潰す時は道衣を掴んで殴ったり、蹴りを出していきます。そして待てが掛かるまで、その攻撃を繰り返します。でも以前から、この戦い方は競技的には良いのかもしれないけど何か……もったいないと思っていました。
そこで、MMAで学んだダブルレッグやボディロックからのテイクダウンをやってみました。空道の場合、組みは時間制限があります(注)。そこで、たとえばボディロックから煽ってバックを奪い、片足にテンションをかけて相手が四つん這いのポジションになった時、相手の腰に乗って4回の極め突きを入れてポイントを取る。
そのほうがMMAの動きを取り入れることができていますし、空道としても相手が動かなければ寝技のポイントを取りやすいですから。そうした落とし込みが良かったと思います」
(注)空道では、スタンドの掴み=道衣を掴んだ状態は10秒、グラウンドは30秒の時間制限が設けられている。
──道衣と時間制限があるためか、投げの攻防では柔道を経験している選手が強かった印象があります。そこにレスリングの攻防を持ち込む選手は少ないかもしれません。
「実はレスリングをバックボーンに持つ選手が活躍することも多いです。第1回と第2回の全日本無差別で優勝した岩崎弥太郎先輩は、もともとレスリングをされていました(※高校時代はレスリング部に所属し、国体やインターハイの優勝経験がある)。
ただ、最近はレスリングの重要性が理解されていない面もあると思います。道衣があるので、組みは柔道のほうが良いでしょうという考えで。だから自分のほうが有利になったのではないかと。
2年半ぶりに空道の試合に出て、やっぱり競技として面白いなと思いました。格闘競技としての魅力を感じますし、実際にやっていて楽しいです。とにかくこの空道という競技が広まってほしいですね」
――そして本来は今年開催されるはずであった世界大会が、来年にスライドされました。世界大会も出場される予定でしょうか。
「5月に行われる予定だと聞いていますが、代表に選ばれれば出たいです。その前に、今年の11月に仙台で行われるアジア大会があります。アジア大会で勝った選手が世界大会の代表に選ばれると思いますし、自分も出場する予定です。その前にもう1試合、MMAの試合をやりたいと考えていますけど……」
――なかなか濃いスケジュールですね。
「アハハハ、やはり試合をしているほうが気持ちも良いんですよね。自分がステップアップしていることも感じられますし。プロデビューしてから半年ぐらい試合がなかった時期もありました。今は期間を空けずに試合をして、自分を上げていく時期かと思っています」
――ではMMAの話ですが、空道体力別の1カ月前にPOUNDSTORMで三上ヘンリー大智選手と対戦し、テクニカル判定で勝利を収めています。
「あの試合は、三上選手のようにリーチの長い相手がジャブをしっかり突いてくる、真っ直ぐの打撃を出してくるのが予想と違いました。それまでキックの試合などでは、かなりパンチをブン回していましたから。それは思っていたより丁寧にジャブを突いてきたので、距離感が掴みにくかったです」
――大会の煽りVでは、三上選手のプロデビュー戦の相手を務めることに不満を漏らしていました。結果的に、プロデビュー戦の選手との差を見せつけることはできたのでしょうか。
「そうですね……自分の中では、普通にやっていけば勝てると思っていました。でも全体的に、自分の思ったとおりに試合が進まなかったところがあります。あの試合では、自分は特に組みを頑張ろうとしすぎた結果、距離感が合いませんでした。組むから距離感は関係ない、それぐらいに考えていたんです。
自分から組もう、組もうとしすぎて前のめりになっていたところにジャブをもらい、前に行くことができませんでした。1Rの後半ぐらいから自分のペースになってきたと思ったんです。……他の人が見ると、どうかは分からないんですけども。自分の中では、ようやくハマってきたかなと思っている時にアイポークがあって、自分としても不完全燃焼で終わりました。
どうしても組みに行く考えになっていた。それは試合が終わったあと、チームで話をしました。いつものように蹴りから入ろうとうしていなかったのが、良くなかったと思います」
<この項、続く>