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【ONE158】和田竜光―01―難攻不落のアクメトフ戦へ「俺にああいう勝ち方ができるなら、よっぽど強い」

【写真】日本を経つ前夜、28日にインタビューは行われた。和田のTシャツがイカしている (C)MMAPLANET

6月3日(金・現地時間)にシンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE158で、和田竜光がカイラット・アクメトフと戦う。

J-MMAファンの目が翌週のRoad to UFCに集中するなか、同じシンガポールで日本を代表するフライ級ファイターが28勝2敗、難攻不落のアクメトフと相対する。MMAならでは、その妙が幾重にも折り重なるような高度かつ心身ともにタフな一戦に向かう和田の心境とは。


――カイラット・アクメトフ戦、オファーが来た時はどのような気持ちになりましたか。

「もう『よっしゃぁ。やったぁ』って感じでしたね。カイラットはもともとやりたい相手だと、長南さんとも話をしていて。実は4月に違う選手とのオファーがあって、僕はその選手とやるってことで了承したんですけど、まとまらなくて。

その相手との試合が流れて、次に来たのがカイラット君だったので。もっと良い相手が来たなって。ランキング上位だと佑弥は別にしてダニー・キンガドもリース・マクラーレンもやったし、DJとも戦っているので……あとはアドリアーノ・モライシュ以外だとやりたいのって、もうカイラット君ぐらいで。

カイラット君はキンちゃんやマクラーレンに普通に勝っていますしね」

――カイラットはONEの好むスタイルのファイターでないですが、判定を落とさない。そういう印象があります。

「テイクダウンをして上からしっかり抑え込んで、固い試合をすることが多いです」

――その試合を、概ねほぼ誰ともできているのが強さということになりますか。

「テイクダウンをされないレスリング力……組まれても切り方とか上手いです。バランスが良くて、自分がテイクダウンを取れますよね。基本的に切ってトップを取る。時間が少なくなってきたら、上からパウンドをガンガン落として攻めている印象をたっぷり与えてポイントを取っている。

スタンドでもパンチを思いきり振るいますし、体も強い。パンチも重いと思います。だから、それを警戒して見ているとテイクダウンを取られる」

――う~ん、難攻不落。やっかいなタイプですね。だからこそ、和田竜光なんだよというのが個人的な期待なのですが。

「ありがとうございます(笑)」

――籠城戦で城を落とすようなイメージで。

「本当にそうしないといけないです。これで他の奴らと同じ負け方をしたら……というか、自分に自信を持っているから言えるんですけど、俺にああいう勝ち方ができるならカイラットはよっぽど強いんだなって思います」

――アハハハハ。素晴らしい自信です。つまり、そうはさせないと。

「多分、ああいう風にはならないです。だから試してみたいという気持ちがあって、カイラットとやりたいと思っていたんでしょうね。もちろん、自分の価値が上がる相手だから戦いたいというのもあるのですが、ああいう風にいつも勝っているカイラットが『俺にも、その勝ち方できるの?』って。俺はそういう風にならない気がしているから、試してみたい」

――そこです。そうならない気がする――というのが、我々の期待でもあって。とはいえ和田選手が、そのような気がする根拠はどこにあるのでしょうか。

「う~ん、根拠……ぶっ倒すつもりでいますよ。さっきも言ったようにカイラットのパンチを当てられ、警戒をして後手に回るから、テイクダウンを皆は奪われてきた。ぶつかり合うことを拒否して、やられています。

足を取るのも上手だし、そういうテイクダウンばかりでもないのですが、これまで攻められたことが余りないですよね。だから少しビビらせたいというのはあります。

打ち合いをするつもりはないですけど、彼は打たれたことはあまりないです。そこで俺は負けるつもりはないです。最近はグラップラーと思われがちですけど、自分ではグラップラーだなんて思っていないです。

この前の中国のワン・シュオと試合をした時も、彼は打撃の選手だったけど、ストライキングで負けていない。何もされていない。そこの自信も自分のなかであります。カイラット君とそこでぶつかっても負ける気がしない。かといってストライカーだとも思っていないですけどね(笑)」

――MMAファイターなわけですね。

「だからカイラット君と打撃で勝負できますし、テイクダウン勝負でもビックリするようなことないと思っています。もっと組み技の強い人と組んでいるし。だから、ソレを食らってもビックリしない……知っているから。逆に向こうが思っているようにならないから、カイラット君がビックリするはずです。アレ、上手くいかないじゃん……抑え込めない。トップにいることができないじゃんって……なるよう、自分に期待しています(笑)」

――笑っているじゃないですか(笑)。ではカイラット戦以降のキャリアの積み方は、どのように描いているのでしょうか。

「目指しているのはベルトです。どんな形でも白星が欲しいとの同じで、どんな形でもベルトを獲ってチャンピオンになりたいです。だから今回勝って、タイトル戦にこぎ着けたい。

ただしカイラット君は2位だし、DJがその上にいます。それでもカイラット君に勝てばごぼう抜きで俺が2位になる。そしてDJはアドちゃんに負けているよねって。

なら俺とDJになるのかっていうと、俺ともやっているよ――と(笑)。もう良いでしょって。DJさ、この間ロッタンにミックスルールで勝っただけなんだし、ちょっと待ってくんない――と。そういう乗りでいこうかと(笑)」

――あぁ、ONEのストリーラインは和田選手に勝ったカイラットとDJと戦わせるというものなのか……そして、ミキーニョが上位ランカーで戦っていないのはマクラーレンだけ。さらにいえば同じ大会でマクラーレンは、レコードがきれいなシェ・ウェイと戦う。ONEがAmazon Primeで米国での中継が始まったときに、どうフライ級を動かしたいのかが見えたような気がします。そこを和田選手には潰してほしいです。「和田はキンカドとマクラーレンに負けている」とか、それでも言われそうですが……。

「そうですね。キンちゃんとかマクラーレンはカイラットに負けているから、勝った瞬間に挑戦を盛大にアピールしたいと思います。俺はアイツらに負けたつもりはないし。だから、それはもう言ってもしょうがないじゃん、と。カイラットに勝ったんだから――という風にしたいですね」

<この項、続く

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