【UFC273】MMA史に残る魂の殴り合い。チマエフがドゥリーニョを破り「この痛みも大好きだ」
<ウェルター級/5分3R>
カムザット・チマエフ(スウェーデン)
Def.3-0:29-28.29-28.29-28
ジルベウト・ドゥリーニョ・バーンズ(ブラジル)
右前蹴りを2発見せたチマエフが、右を振るって組みつく。ケージを背負ったドゥリーニョは、シングルで持ち挙げられると、ウィザーでカタヒザをついて耐えるが左のパンチを受ける。腰を引いて、ドゥリーニョのバランスを崩してバックに回ったチマエフは前転にも、バックを取り続け胸を合わせてトップを取り、余裕をもってスタンドに戻る。
カーフで姿勢を乱させたドゥリーニョはワンツー、チマエフもワンツーを入れてスイッチする。ミドルを返し、右を振るうドゥリーニョが左フックを当てる。チマエフは右オーバーハンド、左フックと力強いパンチを繰り出す。大きな踏み込みでパンチを振るうドゥリーニョは、あごが上がり気味なのが気になる。
それでもドゥリーニョが近距離での打ち合いでも右を当て、チマエフはスリップしてから距離を取り直しカーフを蹴る。左ミドルで前に出たチマエフの右ジャブで、ドゥリーニョがダウン。クローズドガードの中からパンチ&エルボー、ドゥリーニョも下からパンチを返しチマエフがスタンドに戻る。レフェリーがドゥリーニョを立たせると、ドゥリーニョは左ボディ、右フックを見せて時間となった。
2R、右ローを蹴ったチマエフはワンツーをバックステップでかわすと、右フックにダブルレッグを合わせれても切る。スイッチをして右ジャブから左を入れたチマエフに、ドゥリーニョも右を打ち返し右ミドルを決める。チマエフはオーソに戻し、右オーバーハンド。ドゥリーニョが右フックを決める。ここでチマエフは前に出てサウスポーの構えで右ジャブ、ドゥリーニョのシングルレッグを切る。
と右を振って前に出たチマエフに、ドゥリーニョの右が当たる。姿勢を乱したチマエフはパンチを続けるが、ドゥリーニョも打ち返しクリンチ・アッパーを連打する。間を取った両者、ドゥリーニョはワンツーで前に出る。右に右を合わせたチマエフは、ダブルレッグから引き込んだドゥリーニョに鉄槌を落とそうとする。Zハーフガードから腹を蹴って立ち上がったドゥリーニョは、右を受けても左フックからボディを殴る。右を思い切り振るうチマエフは、ボディを受けても右で圧力をかける。右を当てて前に出たチマエフだが、ここで右を当ててダウンを奪ったドゥリーニョが、サッカーボールキックを蹴ってしまう。
これは当たらなかったが、チマエフはテイクダウンへ。終了後にも離れないチマエフを蹴り上げたドゥリーニョの頭をチマエフが張ろうとし、レフェリーが割って入った。
最終回、ジャブを伸ばすチマエフは右を振り下ろすタイミングを計っているか。左に右を合わせたチマエフは、右ジャブを入れオーソに構えるとシングルレッグを切る。それでボディロックでテイクダウンを狙ったドゥリーニョは、離れたチマエフの右を受けて動きが止まる。頭が下がったドゥリーニョにパンチを連続で打ち込むチマエフは、ここでシングルレッグを選択する。
チマエフは足を放して離れると、ドゥリーニョはジャブにケージを背負う。それで左を伸ばすドゥリーニョが右を打っていく。空振りし姿勢を乱したドゥリーニョに、チマエフが右の前蹴りを入れアッパーを振るう。ドゥリーニョもワンツーを返して左ジャブ、さらにワンツーを打ち込む。チマエフが右を打ちながら前に出る。ドゥリーニョは左ハイから、右を伸ばす。まさに肉弾戦、残り45秒でドゥリーニョが右を思い切り3発打っていく。
勢いが落ちたように見えたチマエフも前に出る。残り10秒で跳びヒザを見せたチマエフのボディに前蹴りを入れたドゥリーニョ。最後まで打ち合い、下がらないで戦いを続けた両者は、タイムアップ後もテンション高めに健闘を称え合った。
初回にダウンを奪ったチマエフ、2Rにはダウンを取ったのはドゥリーニョだ。最終回も互いに攻め、攻められる展開が続き──ジャッジは3者とも29-28でチマエフを支持、デビュー以来の連勝を11に伸ばした。
凄まじい攻防を終え、言葉を交わした両者。勝者は「本当にタフだった。ここまでとは思っていなかった。最初は思ったように戦えていた。ハードトレーニングをしてケガもなかった。でも、マジで彼は強かった。今は幸せだ。11試合連続でフィニッシュできなかったし、流血して疲れた。でも、この痛みも大好きだ」と話した。
一方、ドゥリーニョは「驚いたかい? 彼はランク外? 僕はランク2位だけど、誰とだって戦う。僕のゴールはチャンピオンになることだから。一番タフな相手と戦っていたいんだ。ここにいることが光栄だ。サンフォードの皆に感謝している。僕は止まらない」と話し大きな歓声を浴びた。