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【DEEP106】DEEP初参戦=石塚雄馬戦へ、川名TENCHO雄生─01─「試合で勝ってお店を有名にしたい」

【写真】何を人生の軸に置くのかは、人それぞれ。根が真面目な選手だけに、自分のやるべきことを全うするために、とにかく勝利が必要な状況だ (C)SHOJIRO KAMEIKE

26日(土)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP106に、前修斗世界ライト級王者の川名TENCHO雄生が参戦し、石塚雄馬と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

昨年9月、西川大和にTKO負けを喫し、川名はベルトを失った。そして発表されたDEEP出場――この展開に驚いた関係者やファンも多かったはずだ。なぜ川名はDEEP参戦を選択したのだろうか。そんな川名に、DEEP参戦の真実とその目標を訊いた。


――川名選手は格闘家とは別に、『北海しゃぶしゃぶ 湘南藤沢店』の店長という顔も持っています。コロナ禍はお店の売り上げに対して、どのような影響がありますか。

「厳しいですね。最初にまん防(まん延防止等重点措置)が施行された時よりは、お客さんの流れもあります。あとは格闘技界の皆さんが来てくれたり、地方から試合をしに来た選手が立ち寄ったりしてくれて、本当にありがたいです」

――なるほど。一方、選手としての話として川名選手がDEEPに参戦するというニュースには驚きました。

「そうですか、やっぱりそうですよね」

――西川選手に敗れて修斗のベルトを失ってからDEEP参戦に至るまで、どのような経緯があったのでしょうか。

「前回の試合で負けたあと、この先どうするかについてマネージャーと話をしました。そこで修斗で試合をしていった場合、どういう展開になるかと想像したところ、今後は再戦が多くなると思ったんですよ。もう修斗ライト級では、ほとんどの選手と試合をしていますから」

――川名選手がVTJ参戦を経て修斗公式戦に出場し始めたのが2013年、もう修斗ライト級の上位陣とはほとんど対戦し、しかも勝利を重ねています。

「ランキング上位で対戦したことがないのは、大尊伸光選手ぐらいだったと思います。これは個人的な問題でもあるんですけど、同じ選手と二度対戦したくないんですよね。1試合1試合、今まで対戦したことのない選手とやりたい。そういう気持ちもあります」

――結果、他のプロモーションで戦うことを選択したわけですね。

「はい。どこで戦うのが良いかと考えた時――僕は、最終的にはRIZINに出たいんですよ。そのためにはRIZINと繋がりが強いプロモーションが良い。そこでDEEPだと、RIZINのスケジュールを考慮しながら試合を組んでくれるようなので。あとは、DEEPに出ている選手との対戦も少なかったですし」

――DEEPを主戦場としている選手との対戦経験は、2020年9月の武田光司戦(武田の判定勝ち)のみでしょうか。

「あとはVTJで中村大介選手と対戦(2015年9月、TKO勝ち)したぐらいですね。その中村選手は今、フェザー級で戦っています。武田選手もチャンピオンですけど、すぐに再戦することはないと思います。そこで、DEEPライト級は対戦したことのない選手ばかりだから良いよね、という話になりました。あと実は、もともと佐伯(繁DEEP代表)社長は、よくウチのお店によく来てくださっていたんですよ」

――えっ、お店が関係しているのですか。

「僕と同じジム所属の古瀬美月がDEEP JEWELSに出ているじゃないですか。その古瀬についてお話をする際にお店を利用してくださっていたりとか。おかげで、もともと佐伯社長と面識があり、話が通りやすかったということもあります」

――では西川戦前あるいは直後に、他のプロモーションで戦うことを考えていたわけではなかったのですね。

「それは考えていなかったです。まず試合後は、顔のケガで大変だったので(苦笑)。鼻を骨折して、唇も割けていましたから。あと、西川選手のカーフキックやヴァレリーキック(※カカトで蹴るロー)が効いていて。試合の最中は気にならなかったんですけど、試合後は歩くのも大変になって……。それらのケガを治すのと同時に、今後どうするかという話をしたという流れですね」

――なるほど。

「あと、西川戦で勝っていたら、そのまま修斗で戦っていたと思います。修斗のベルトを防衛しながらRIZIN出場のチャンスをうかがっていく、という形で。西川戦で勝ち、次のVTJにも出場して適切な相手に勝てていれば、RIZIN出場をアピールしても良かったと思うんです」

――昨年11月のVTJ2021出場も視野に入れていたのですか。

「そうなんです。……やはりベルトを失ったというのが大きいですね。現役チャンピオンというのは、それだけ大きな肩書になりますから。今も修斗のベルトを持っていれば、今回イチから仕切り直して、DEEPのベルトを目指すこともなかったでしょうね」

――プロモーション間の繋がりでいえば、西川戦の時点で修斗からONEへ、という選択肢はなかったのでしょうか。

「なかったですね。確かにONEのファイトマネーは魅力的です。でも、やはり僕の中ではお店の存在が大きくて……。試合で勝ってお店を有名にしたい、それも戦う理由の一つなんですよ。じゃあONEと契約して、年間どれだけの試合が組まれるのか。しかもコロナ禍の中で。これまでONEと契約した日本人選手の状況を見て、その不安がありました」

――……。

「ONEと契約できても、海外で戦うとなれば隔離期間もあります。その隔離で時間を取られてしまうよりは……そんな理由もあって、RIZINに出たいと考えました。ファイトマネーも上がるし、日本国内でアピールもできるので」

<この項、続く

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