この星の格闘技を追いかける

【UFN200】14勝0敗のラクモノフ戦へ、カールストン・ハリス─02─「ブラジルはファイマネーがない」

【写真】UFCでもハリスは2試合連続、初回フィニッシュ勝利を挙げている (C)MMAPLANET

5日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで開催されるUFN200:UFN on ESPN+58「Hermansson vs Strickland」でシャクハト・ラクモノフと対戦するカールストン・ハリス・インタビュー後編。

ガイアナ人のハリスは、職を求めてブラジルのマナウスに赴きルタリーブリに出会った。プロMMAファイターと目指し、マーシオ・クロマドに合流しブラジルでキャリアを積み始める。そんな彼が選んだステップアップ方法は中東だった。

なぜ中東なのか、そこには我々が知らないブラジルMMA界の実状があった。さらに噛ませ犬として献上されたザイード・イザガクマエフを振り返ってもらうと──ハリスの自身への信頼度の高さが分かるワードが多く聞かれた。

ハリスが悲壮感なく、レゲェでも歌うように楽しくは話してくれた言葉は、実は重く──世界の頂点を目指すと口にする選手の心の襞にこびりつくはずだ。カールストン・ハリスが話した言葉を目に焼き付けてほしい。

<カールストン・ハリス・インタビューPart.01はコチラから>


──まさにアナコンダは、ルタリーブリがMMAの世界に広めたノーギの絞めですね。カールストンのルタリーブリとの絆が感じられるフィニッシュホールドです。そんなカールストンですが、キャリアの途中でBRAVE CFという中東のプロモーションで戦う選択をしています。ここが2つ目に尋ねたかった点です。ブラジリアンから北米でなく、中東に向かったのは?

「最初にBRAVEの試合に出たのはクリチーバで行われた大会だったんだ」

──あぁブラジル大会だったのですね。

「そうなんだ。2度目の試合もブラジル大会だった。そこでも勝ってウェルター級王者のジャラ・フセイン・アルシラウィに挑戦することになった。その時には初めて中東へ行った。アブダビの大会だったよ」

──残念ながらタイトル挑戦はならなかったですが、ブラジルでキャリアを積むことに対して、中東を選択するのにはどのような利があったのでしょうか。

「Yeah、Man──まずブラジルで試合をしても、金にならない。ブラジルの選手は海外の大会からオファーを受けるために、国内で戦っているんだ。ファイトマネーを得て、戦うためにね。ブラジルのプロモーションは金を払わないよ。UFCとは額は違っても、中東ではファイトマネーが出る。ただし、ブラジルでは出ない。逆に僕の意識では金を払って試合をしていたぐらいだよ」

──!!

「試合をするための準備にお金が必要だからね。CTスキャンやドクターのチェックも必要だし、まぁ形としては出費をして、試合の機会を得ていたようなものなんだ」

──なんと、あれだけイベントが行われてきたブラジルのMMA事情、その一片が知れたような気がします。それは海外で戦いたいですし、それでも試合に出ているのだから力があって然りで、しかもハングリーでないと無理ですね。プロフェッショナルファイターとして成功を収めようと思えば。カールストンはそんなブラジルのローカル大会で再起し、今度はUAEWでアブダビへ向かいました。

「海外の大会で戦い、タイトル戦で敗れた。また海外で試合をするには、白星が必要だったんだ。次の契約を勝ち取るためにね。結果的にブラジルでは2試合連続初回KO勝ちをしてショートノーティスだけど、UAEWから声が掛かった。確か試合まで3週間ぐらいしかなかったはずだ。対戦相手はザイード・イザガクマエフ、カビブ・ヌルマゴメドフの練習仲間で、注目度の高いファイターだったよ。

僕は準備不足で、彼に勝てないと踏んでのオファーだったことは分かっている。そういう相手に勝つことで、UFCとサインできると思って試合を受けることにしたんだ。気持ちで戦ったよ。ファイトは紙の上で行われるんじゃなくて、ケージの中で行われる。それを教えてやろうって、心の底から燃えるファイトだった」

──カールストンがイザガクマエフに勝った大会はUAEWとヌルマゴ率いるEagle FCの共催で、翌日にUFC on ABCが同じくアブダビで開かれたためダナ・ホワイトが視察し、さながらルッキン・フォー・ア・ファイト的なイベントでした。3つの関心事、最後はここでした。イザガクマエフのために試合で、噛ませ犬としての出場。しかもダナ・ホワイトの前で戦うことは、どのような心境だったのかと。やはり、それだけ想うところがあったのですね。

「でもダナ・ホワイトが大会を見に来るって知ったのは、試合の前日だった。これはもう『殺るか、殺られるか』という戦いになるなって」

──覚悟が決まったのですね。結果、ルタリーブリ・スペシャルのアナコンダで勝利し、人生を変える試合になりましたね。

「Yeah、Man──まだまだだよ。人生を変えることが、可能な場所に辿り着くことができただけで。UFCと契約するまで夜にセキュリティの仕事をしていたけど、今は指導と練習だけで生活ができるようになった。ただし、指導して収入を得る必要がある。UFCで収入を得ることができるのは試合があった時だけだし、スポンサーがついて練習だけに集中できる環境は手にしていないからね。

ただし、今ではファイトギアがUFCと契約しているヴェノムだけになったから、スポンサーを獲得することが簡単じゃないんだ。だから勝って、より良い契約を勝ち取る必要がある」

──まだまだハングリーでないといけないということですね。

「そうだね。今はまだ、スーパースターになるための第一歩を踏み出したに過ぎないからね」

──では、なおさら次の試合も負けられないですね。シャクハト・ラクモノフはキャリア14勝0敗の猛者です。

「Yeah、Man──MMAは頭脳戦であり、心理戦だ。ヤツのレコードに惑わせることはない。十分にハードな練習を積み、自信をもってオクタゴンに向かう。ケージに足を踏み入れるまでに、誰もファイトで何が起こるかなんて予測できない。戦い、時間が経過して分かることだよ。

でも自信はある。俺は殺られるんじゃなくて、殺るためにオクタゴンに入るんだ。UFCで生き残るには勝ち続けるしかないからね。殺し屋になるか、被害者になるかの2つしか道はないんだ。シャクハトがどれだけの試合をするか分からないけど、彼を上回る戦いをする。次につなげるためにね。

ヤツがどれだけ期待されていようが関係ないよ。俺だって十分にやれる。それが分かっているから、大丈夫だ。ヤツを倒して、俺はアイツとは違うということを証明する」

──アナコンダやギロチン、ルタリーブリの技でそうできると最高ですね。

「もちろん。でも、俺はそれだけが武器じゃない。KOパワーだってある。サブミッションで極めることだってできる。全てのツールを使って戦うよ」

──打撃にしても、フロントチョーク系にしてもプレッシャー、圧力が大切になってきます。

「大丈夫だ。僕がプレッシャーを掛け続ける。とにかく試合を見てほしい。ここで言うより、試合を見ると分かってもらえるだろう」

──了解しました。カールストン、興味深い話をしていただきありがとうございました。最後に日本のMMAファンに一言お願いします。

「日本の皆、シャクハト・ラクモノフと試合を忘れずにチェックしてほしい。そして、僕を応援してくれ。ONE LOVEだよ(※一つになって世界を楽しもう)」

■視聴方法(予定)
2月6日(日・日本時間)
午前6時00分~UFC FIGHT PASS

■ UFN200対戦カード

<ミドル級/5分5R>
ジャック・ヘルマンソン(スウェーデン)
ショーン・スティックランド(米国)

<ミドル級/5分3R>
プナヘラ・ソリアーノ(米国)
ニック・マキシモフ(米国)

<ウェルター級/5分3R>
シャクハト・ラクモノフ(カザフスタン)
カールストン・ハリス(ガイアナ)

<ライトヘビー級/5分3R>
サム・アルヴィー(米国)
ブレンダン・アレン(米国)

<ミドル級/5分3R>
ブライアン・バトル(米国)
トレシャン・ゴア(米国)

<フェザー級/5分3R>
ジュリアン・エロサ(米国)
スティーブン・ピーターソン(米国)

<バンタム級/5分3R>
マイルス・ジョンズ(米国)
ジョン・カスタニエダ(米国)

<フェザー級/5分3R>
ハキーム・ダラドゥ(カナダ)
マイク・トリザノ(米国)

<ミドル級/5分3R>
マフクアンドレ・バリユー(カナダ)
チディ・ンジョグアニ(米国)

<女子バンタム級/5分3R>
アレクシス・デイヴィス(カナダ)
ユリア・ストレアレンコ(リトアニア)

<ライトヘビー級/5分3R>
ダニーロ・マルケス(ブラジル)
ジャイルトン・アルメイダ(ブラジル)

<ウェルター級/5分3R>
ジェイソン・ウィット(米国)
フィリップ・ロウ(米国)

<フライ級/5分3R>
マルコム・ゴードン(米国)
デニス・ボンダル(ウクライナ)

PR
PR

関連記事

Movie