【RIZIN TRIGGER01】「死ぬより、生きる方が辛いぐらいの状態で生きていく」。堀江圭功戦前の中田大貴
【写真】相当の覚悟でいることを、相当な勢いで口にしていた中田(C)MMAPLANET
28日(日)、神戸市中央区の神戸ワールド記念ホールで開催されるRIZIN TRIGGER01で元UFCファイター、国内フェザー級のトッププロスペクトの堀江圭功に中田大貴が挑む。
キャリア4勝1敗、殴られて殴り──令和の激闘王が、3週間弱のスクランブル発進で堀江と対戦する。パンクラスのデカゴンでは恒例となった英語でのダナ・ホワイトへのアピールに象徴されるように、中田の目標はUFCだ。その彼にとってRIZIN TRIGGERでの堀江戦はどのような意味を持つのか。
「駆け引きはしない」、「何があっても動きを止めない」。「死ぬより、生きる方が辛いぐらいの状態で生きていく覚悟ができている」。中田は自らのMMAと、進む道をこのように表現した。
──突然のTRRIGER出場、そして対戦相手は堀江圭功という過去最強の相手です。
「そうですね。話を頂いた時に、その場で『やります』と返事しました。そこからパンクラスの了解を取ろうと思ったのですが、堀江選手サイドから僕の映像が欲しいという連絡があったみたいで、もう知っているような状況でした。
今回は急遽出場という話が挙がった助っ人出場のようなものですし、パンクラスの選手として戦うつもりです──と伝えました。これからもパンクラスで戦い、ランキング戦を挟んで、タイトルに挑戦したいという気持ちでしたし、TRIGGERからオファーがあるなんて全く頭になかったですしね」
──パンクラスサイドの反応というものは?
「前回の試合でケガをしていたので、そこを心配してくださいました。でも、もう戦える状態でしたし堀江選手は是非とも戦いたい相手だったので了承してくださいました」
──中田選手といえば、もはや恒例となった感もある試合後の英語でのダナ・ホワイトへのアピールですが、UFCを目指すうえで今回のTRIGGERへの出場はどういう意味があるのでしょうか。
「正直、僕の頭のなかにRIZINはなかったです。僕はパンクラスのタイトルを獲って、UFCへ行きたいと思っていました。ただ現状だとパンクラスでISAO選手に勝ってUFCからオファーがあるとは限らないじゃないですか」
──確かに、今や日本人選手にとってUFCは狭き門になっています。
「そういうことを考えると、元UFCファイターの堀江選手と戦うのは有りだという気持ちはあります。それとTRIGGERがケージだったことも関係はしています。やっぱり自分はケージが世界の標準だと思っていて、そこで元UFCファイターを食ってやろうと思います」
──パンクラスのタイトルはランキング戦を挟んでということですが、堀江選手は今すぐにでもというのは?
「それはISAO選手のスタイルですね。戦いって相性があると思います。自分はグラップリングタイプ、特にISAO選手の相手の良さを消してくるようなスタイルとやる前に、グラップラー系のランカーと戦う必要があると考えています。堀江選手はそういうタイプでなく相性が合う。良い試合、作品になると思います」
──それにしても、思い切った決断です。
「こういう機会に勝っていかないと、UFCとか言っていられないと思います。今後、UFCでチャンスがあるとすれば、そういう状況になることも多いに考えられますし。自分はMMAで本当のスターになりたいんです。スターになるには、こういうところで逃げないで、勝つことが必須だと思います」
──単刀直入に伺います。堀江選手と真っ向勝負して勝てる自信が、どれだけありますか。
「自信はあります。なんていうのか……自分が倒れるシーンが想像できないんです。本当に覚悟を決めていると、倒れる気がしないです。それは倒される攻撃を自分が知らないだけなのかもしれないですけど、堀江選手の打撃で倒れることは想像できないです。
堀江選手に倒されている選手たちって、もうビビっていたと思います。圧力に負けて嫌がったところでもらったり、駆け引きしてもらわないファイトをしているところでもらっている。僕は駆け引きしないですから、そこがこれまで堀江選手に倒された選手との違いです」
──駆け引きをしないのが、良いことなのか……は何とも言い辛い部分ではありますが、中田選手はそれで勝ってきたということですね。
「殴られずに殴るなんて、凄く虫のいい話です」
──殴られるのが平気になるのも、怖いことだと思いませんか。
「う~ん、自分のなかの程度、具合かなって。色々な人達にダメージのことを聞いたりしていて、CTを撮っても何も出ていないですし」
──出ていれば大問題です!!
「そうですね……(苦笑)。自分のなかで、ここまでは大丈夫と折り合いをつけていくことが大切だと思っています。UFCのトップどころの選手でヤバイところになっていても、勝っていますよね。
僕はある意味、人生を投げ打ってMMAに掛けています。死ぬより、生きる方が辛いぐらいの状態で生きていく覚悟をしています。だから、殴られることとかダメージは何とも思わないです。本当に死ぬつもりなんで。僕がそうなるぐらいだったら足にしがみついても、相手も一緒に地獄に引きずり込んでやります。アッハハハハハハ」
──大笑いしていますね(苦笑)。ところで堀江選手、UFCに行く前と戻って来てから戦い方が変わってきたようにも映ります。
「そうですね、変わりましたよ。足を止めて細かく、ボクシング的になって以前の方が足を使って空手のようでした」
──それが組みとの連係に必要なアジャストだったのかもしれないですね。
「テイクダウンに行っていますよね。ただ組んでくると、ラッキーです。堀江選手、体力がないんで。むしろスクランブルになると、僕好みの地獄の展開に持ち込めます」
──地獄の展開?
「組んできたら、もう動いて動いて疲れさせまくります。堀江選手が休みたくなっても、休ませない。僕と他のファイターの違い──それは僕は絶対に休まないことです。試合中も休みたいって思う瞬間はあります。でも、その時こそ『ここで動くんだ』って自分を奮い立たせて、毎回戦ってきました。そういう勝負になったら、堀江選手はしんどくなります。そこで決めてやろうと思っています」
──師匠の大沢さんが『お前が行くところだろ』、『お前が休んでどうするんだよ』、『殴られたら、お前のモンだろう』って叫んでいますよね(笑)。
「アハハハハ」
──真っ向勝負になるか。そうならないで距離を取る場合、さらに組んで倒すことも狙わないのもMMAです。
「ローとジャブだけで、パチパチだけってのもありますよね。だから今回がどうなるのかは、蓋を開けてみるまで分からないと思います。そこは堀江選手次第です。どっちにしても、僕は追いかけますから。もうホントに、地獄の果てまで。ケージの中で戦うので、絶対に行き止まりはあります。そこまで追っかけます。いくら逃げても、僕は追いかけます。自分はそこで勝負します。
それが大沢さんが見出してくれた僕の強いところなので、そこを僕は生かして戦います。あとは足りないところ埋める、持てるカードを増やす作業は必要ですが、良いところを消しちゃうのは絶対に良くないです。
堀江選手はUFCに行く前は勢いが良かったです。でも、今の彼にはそれがない。『じゃぁ、何で勝負すんの?』って。堀江選手は今、自信を持って使えるカードがない。それが分かってない感じがします。だから僕はとしては戦いやすい相手です」
──ルールはRIZINルールです。ケージでRIZINルールと、ケージで北米ユニファイドだと、どちらが堀江選手に勝ちやすいと思いますか。
「それは……分からないです。サッカーボールキックとかグラウンドのヒザ蹴りですよね。僕から組むことはないから、テイクダウンを狙ってくるなら切ってヒザとかサッカーボールキックが使えます。どう思います?」
──個人的には両者揃って勝つ確率、負ける確立が上がると思っています」
「どういうことですか?」
──一発が当たった場合、サッカーボールキックが入ると試合終了の合図的なところがあるかと感じているので。サッカーボールキックがなければ、パウンドへ行き相手がレッスルアップ、あるいはガードワークを駆使できる機会が少なからずあるダメージでも……。
「サッカーボールキックだと、試合が終わるということですね。確かに、確かに。なるほど、なるほど。殺傷のレベルが上がりますよね、そう思います。まぁ、どっちしても削り続けます。打撃でも組みでも、もう嫌だって堀江選手が思うようになるぐらい疲れさせます」
──TRIGGER後、どのような展開を想い描いていますか。
「さっきも言ったようにパンクラスのタイトルの前に、ランカー……組みの強い選手と戦いたいです。あと……個人的に狩野(優)っているじゃないですか?」
──中田選手がプロ2戦目に黒星を喫した相手です。
「アイツにやり返したいです。でもアイツ、ランキングが下の方でチョコチョコやっているから、もうチョイ誰か上の選手に勝ってきてからリベンジしたいです。中川皓貴選手に負けて、あの選手は強いからしょうがないけど、内容が悪かった。『こんな風に負けちゃうの?』みたいな感じで。だから、ここでやるにはアイツにとって美味しすぎるから。誰か強いヤツとやって勝ったら、やってやっても良いぞって。アッハハハハハ。前に進むにしても、アイツにやり返したいって思っています。アイツも僕がトントン拍子で来ていることにムカついているみたいなんで。アッハハハハハ。
狩野、強いんですよ。でも良い相手に当てられていない。だから、アイツにリベンジして力を示してからタイトルでも良いかな……とも思います。UFCにどう行くかは、まずはパンクラスのタイトルを獲ってから、ですね」
──堀江選手に勝てばTRIGGERだけでなく、RIZIN本戦という話も十分にあるかと思いますが。
「そこに関してはやりたい人はいます。RIZINで戦いたい人が3人にいて……でも、それは勝ってから口にしようと思っています」
──では今回は英語でのマイクアピールは封印ですね。
「やります。マイクでRIZINで戦いたい選手にアピールしてから、ダナ・ホワイトにメッセージを送ります。これだけは、しつこく言いつづけてやります。勝ったら、何言っても良いですよね? それは勝者の特権だと思っています。アッハハハハハ」
──では最後にこれまでパンクラスでの中田選手の試合を視たことがないファンに、一言アピールをお願いします。
「自分はバチバチの勝負、MMAって競技のなかでのバチバチの殴り合いの勝負を見せられるので注目してください。見ている人の気持ちが熱くなる試合をするつもりでいますし、楽しみにしてほしいです」
■視聴方法(予定)
11月28日(日)
午後2分~Exciting RIZIN
午後2時~RIZIN LIVE
午後2時~スカパー!
■ RIZIN TRIGGER01対戦カード
<フェザー級/5分3R>
昇侍(日本)
萩原京平(日本)
<68キロ契約/5分3R>
堀江圭功(日本)
中田大貴(日本)
<ウェルター級/5分3R>
ストラッサー起一(日本)
川中孝浩(日本)
<ウェルター級/5分3R>
住村竜市朗(日本)
木下憂朔(日本)
<バンタム級/5分3R>
獅庵(日本)
魚井フルスイング(日本)
<フライ級/5分3R>
竿本樹生(日本)
松場貴志(日本)
<フェザー級/5分3R>
鈴木千裕(日本)
山本空良(日本)
<73キロ契約/5分3R>
奥田啓介(日本)
グラント・ボグダノフ(米国)
<バンタム級/5分3R>
釜谷真(日本)
ダイキ・ライトイヤー(日本)
<キック53キロ/3分3R>
政所仁(日本)
平松侑(日本)
<キック61キロ/3分3R>
市村大斗(日本)
テーパリット・ジョウジム(タイ)
<キック46キロ/3分3R>
百花(日本)
未來(日本)
<バンタム級/5分3R>
加藤ケンジ(日本)
藤原克也(日本)
<キック55キロ/3分3R>
森井翼(日本)
FUJIMON♡(日本)