【VTJ2021】国際戦、再開。VTJで平良達郎が、チリの王者アルフレド・ムアイアドと対戦
【写真】ようやく発表されたVTJの国際戦。平良にとって2020年1月のジャレッド ライアン アルマザン戦以来1年11カ月振り、そして2度目の外国人選手との対戦だ。なお平良✖アルマザン戦コロナパンデミック以前、最後に修斗公式戦で組まれた国際戦でもある(C)MMAPLANET
22日(金)、Sustainより11月6日(土)に東京都江東区のUSENスタジオコーストで開催されるVTJ2021に平良達郎が出場、チリのアルフレド・ムアイアドと対戦することが発表された。
2016年9月以来、5年2カ月振りに行われるVTJは『世界を目指す者』と『世界を知る者』の競演となるが、若き修斗世界フライ級王者、そして世界を目指す平良の国際戦がようやく正式発表された。
今回のプレスリリースは『黙って待っているだけでは、未来はやってこない。“vs世界”を公言する未来ある若者達の為、VTJ実行委員会とABEMAは外国人選手招聘プロジェクトに乗り出した。同じ頃、外国人招聘に対して積極的なRISE伊藤隆代表とも協力し、相互の情報交換を行うアライアンスを構築。共同プロジェクトとして日本政府、スポーツ庁へ、外国人選手招聘に向け働きかけた。
しかし、あまりのハードルの高さに幾度も挫折を繰り返すことになる。そんな中、人が人を結びつけ、幾度の奇跡が起き、プロジェクト実現に向けて立ち上がる機会が訪れ、いよいよ今回のVTJ2021に海外選手招聘のGOサインが出されることとなった。
いつの時代も未来を託す若者が居ればそこに道は開ける。さあ! 扉は開いた! バーリトゥードジャパンの復活だ!』といつになく力の入った序文が書き記されている。
現状、コロナ禍の日本では外国籍スポーツ選手の入国が極めて困難になっており、格闘技も当然のように例外ではない。隔離措置云々以前にビザが発給されないことで、五輪が開催されてもF1 GPやMoto GPなど四輪や二輪スポーツは大企業のバックアップがありながら昨年に続き、開催が見送られた。
今回の外国人招聘について、サステインの坂本一弘代表も以下のようにコメントをプレスリリースに寄せている。
坂本一弘
「先ず初めに今回の外国人招聘プロジェクトの相談に乗って頂き、多方面に渡り奔走してくれた須藤元気参議院議員。富山英明会長をはじめ後ろ盾になって下さったレスリング協会の皆様。外国人選手招聘に関して様々なアドバイスをくださったスポーツ庁の皆様にこの場を借りて御礼を申し上げます。
VTJのテーマでもある日本対世界。幾ら思案しても、外国人選手を一人も呼ばないでVTJを成立させることは出来ない。自問自答の中、出した答えが外国人選手を呼ぶ、という選択でした。勢いは良かったのですが、何度も、何度も『もう駄目だ』と思いました。青木真也が「困ったときのVTJ」とABEMAの放送で言っていましたが、正直VTJで困ってました。それでも未来を見て、毎日練習に明け暮れている選手達を思い出し、奮い立たせる毎日でした。自分も昔、何に向かってかはわからないけど毎日練習していたな、と。RISEの伊藤代表とはお互い大変だったことを何年かしたら良い思い出として話せるようになると思います。
とりあえず俺と伊藤さんはやることやったんで、お前ら悔いのない様に戦え!
そして、世界中がコロナ禍の中、日本に来て戦ってくれる海外の選手達にどうか暖かい拍手をお願い致します。
最後にABEMAの北野さんの力なくしてこのプロジェクトの実現はなかったことをお伝えしておきます。
VTJ復活!皆さんに感謝!」
聞き伝わってくる話では、スポーツ庁の担当者から坂本&伊藤両代表へ、外務省でビザ発給の準備が進められているという──事実上入国が認められた際の連絡にも、『今回の措置は改めて特例中の特例の措置』という一文が添えられていたという。
この状況下で国際戦が可能となった平良は、リリース内で以下のような胸のうちを明かしている。
平良達郎
「まずこの厳しい状況の中、海外選手の招聘にご尽力頂いた皆様へ感謝申し上げます。有難うございます。自分は修斗以外での試合は初めてなので新鮮だし、ワクワクしています。対戦相手のムアイアド選手はパンチが強いストライカーという印象です。コロナもあって海外の選手と戦えるのは貴重だと思います。このチャンスを無駄にする事なく、相手の打撃力、海外選手特有の身体の強さなどを肌で感じたいです。今回、このような厳しい状況の中、日本に来てくれるムアイアド選手の勇気に心から感謝します。そしてこれから“対世界”を実現する為、尊敬の念を持ってしっかり仕留めます。ベルトを巻いて、もう少し強くなった平良達郎の姿をぜひ見に来てください」
平良は今回のVTJ2021とRIZIN沖縄大会の出場候補であったのは確か。しかし、タイトル奪取以降はケガや体調不良で満足いく練習ができておらず、9月の終盤からパラエストラ千葉ネットワークでの集中トレーニングを行っており、11月の試合出場は自身のなかで「ない」と結論が出ていたという。
それが外国人招聘のためにサステインや周囲が動いたことに心を動かされ、「そこまで僕のために動いてくれるなら、VTJに出ようという気持ちに傾き、一気に固まった」と急遽沖縄に戻り、減量と試合に向けてのトレーニングを始めた。
今回の試合がフライ級契約ではなく58.5キロ契約ということからも、平良自身もスクランブル発進に近いことが伺える。
対戦相手のムアイアドはチリのPOMMAフライ級王者で6勝2敗、完全なストライカーで平良の総合力をもってすれば絶対に落としはならない相手だ。と同様に、圧力や耐久力は戦ってみないと分からず、また過去に対戦してきた日本人選手とは違い不確定要素も多い。取りこぼすことのないよう慎重さが求められる一方で、公言するUFC行きが近づく勝ち方も必要になってくる。それこそが国際戦特有の空気感──平良達郎の真価が問われる一戦となる。