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【BRAVE CF54】英国の平良達郎=ムハマド・モカエフ「コンテンダーシリーズなんて必要ない」

【写真】ランチタイム中のZOOMインタビューとなったが、食事をするのも待ってくれたモカエフ。言葉も丁寧で、決して本人はビッグマウスという意識もなく本音を話してくれたのだろう。若さって素晴らしい。この勢いを今夜の試合で魅せることができるか(C)MMAPLANET

25日(土・現地時間)、ポーランドはコニンのオビエクト・レクラーチノ・スポルトヴィ・ロンドで開催されるBRAVE CF54。

メインは王者アミン・アユブにアハメッド・アミールが挑戦する、BRAVE CFライト級選手権試合が行われる今大会のセミで、ムハマド・モカエフが130ポンド契約でブライン・オドリスコールと対戦する。

昨年8月にプロデビューする以前に、アマMMAで22連勝という記録を持つモカエフは、バーレーン王国の寵愛を受ける21歳のダゲスタン系英国人ファイターだ。現状4勝1NCながら既に生活できるMMAファイターライフを送るモカエフは、英国のスーパーノヴァ=平良達郎といっても過言でない。

そのポテンシャルの高さは当然だが、自身への自信も半端ないモカエフに試合前の心境と、BRAVE CFフライ級戦線について尋ねると、MMAの試合前に柔術、レスリングの国際トーナメントに出るという信じられない話が訊かれた。


──土曜日にブライン・オドリスコールと対戦します。今の気持ちを教えてください。

「良い感じだよ。去年の8月にプロデビューをして以来、今回がプロで7試合目になる。オドリスコールは良い選手だし、僕にとってまた新しいテストになるだろうね。でも、今回も調整は上手くいっているし、カットウェイト中だけど過去30試合で計量失敗は1度もないからね」

──この試合はフライ級でなく130ポンドというキャッチウェイト戦です。

「相手は特に大きなフライ級じゃない。僕もそうだ。ただ3週間前に英国で柔術トーナメントに出て8試合、2週間前にトルコでレスリングの大会に出場していたから……56キロに落とすこともできるけど、ヘルシーでいたかったからキャッチウェイトを望んだんだ。健康でいることは重要だからね」

──健康でいたいということですが、MMAファイトの3週間前に柔術と、2週間前にレスリングのトーナメントに出ていた?

「そうなんだ(笑)」

──信じられない。クレイジーな話ですが、詳細を教えてください。どのようなトーナメントだったのでしょうか。

「柔術のトーナメントは、僕の英国のリースであった。道着で4試合、ノーギで4試合。全て勝って、金メダルを貰ったよ。レスリングはルーマニアで開催された国際大会で、僕はフリースタイル57キロ級に英国代表で出場したんだ」

──なんとっ!!

「1回戦はルーマニアの選手に勝ち、2回戦でベラルーシの選手に敗れた。接戦だったけど、この選手は強かったよ。初戦でロシアの選手に勝っていて。そのロシアの選手は以前、東京五輪で2位になったインドのクマール・ラビを破っているんだ。やっぱりMMAの試合もあるし、そこまでムチャすることなくセーブして戦ったのも敗因かな」

──それにしても、ムチャだという声は周囲からなかったですか。

「コーチからもクレイジーだと言われているけど、僕はずっとそんな風にしてきたから。アマチュアの頃から、土曜日はいつも練習しているし、日曜日も柔術のスパーリングをすることが多い。なら試合に出るのも、ジムで練習するのも変わりない。ジムの練習より、メダルを取った方が良いからね(笑)」

──それだけ試合に出ていた、準備は大丈夫ですか。

「問題ないよ。今回は英国で調整したけど、今年に入って長い間バーレーンのKHK MMAでトレーニングをしてきた。最後の8週間は英国で週末はトーナメントに出て、火曜日から練習というルーティングでやってきたんだ」

──なるほど、もう何を聞いても驚かないようにします(笑)。ところでオドリスコールは、過去最強の相手かと思います。ホゼ・トーレスに善戦しており、この試合はポストBRAVE フライ級王座決定トーナメントで、ムハマドがどの位置にいるのかスケールになるかと。

「あの時、ホゼ・トーレスは足首のケガをしていたんだ。それに軽く考えていた。ショートノーティスで試合を受けることは素晴らしいけど、相手を軽視しちゃダメだ。ドリスコールは初回から攻めていったのは、ショートノーティスでスタミナに自信がなかったからだろう。その相手をフィニッシュするんじゃなくて、テイクダウンでコントロールした。それがホゼの戦い方だ。

僕はホゼより良い試合をするよ。レンジで僕の方が有利だし、打撃だけでなくレスリングで僕の方がドリスコールより強い。まぁ、彼がどこまで仕上げて心身ともに充実しているのかで、試合内容は変わって来るだろうね。それでも僕が勝つことは間違いない。

ドリスコールに勝つことで、僕の名前も欧州を越えて米国でも認知されると思う。彼はBellatorで勝っているしね。ただBellatorだろうが、どうでも良いよ。僕は彼と同じレベルにいないから」

──ではまだ継続しているフライ級トーナメントでは、誰が優勝すると予想しますか。

「ホゼ・トーレスが準決勝でアリ・バカウティノフに勝って決勝へ行くだろう。決勝の相手はヴィリムラット・アルカソフ、タフな試合になるだろうけど6-4でホゼが有利かな。僕はKHKでの練習仲間でもあるから、ホゼとは戦いたくはない。でもタイトルを獲るために戦うしかないし、ホゼに勝ってベルトを巻くつもりだ。

ただトーナメントはいつ終わるか……まだ時間が掛かりそうだ。その間はトーナメントで出ていた選手と戦っていって構わない」

──BRAVE CFのフライ級ロースターにはカザフスタンにもアザット・マスクン、アス・アルマバエフという強豪がいます。

「ダスティン・オーティズやザック・マコウスキーがトーナメントで負けている。BRAVEのフライ級は世界で最もタフな階級だよ。ただし、アザット・マスクンはこの前のカザフ大会で僕との対戦を拒否している。ヤツはレコードを伸ばしたいから、互角の勝負はやりたがらないんだよ。勝てる見込みのある試合だけやっていて」

──なるほどぉ。ムハマドはBRAVE CFの母体であるKHKスポーツと繋がりが強いですが、ずっとBRAVEで戦っていくつもりですか。

「実はダナ・ホワイト・コンテンダーシリーズからオファーはあった。でも、僕はコンテンダーシリーズなんて必要ない。最初からUFCで戦うオファーを出すべきだよ。なんで、僕がコンテンダーシリーズで戦わないといけないのか。そんな必要はないよ」

──……。IMMAFでは日本の山口怜臣選手と戦っていますが、日本のフライ級にも優秀な選手が揃っています。日本のフライ級やMMAのことを意識することはありますか。

「レオは良い選手だよ。彼は今年IMMAFの世界王者になるよ。日本のMMAは以前、UFC Fight Passで修斗の試合を視たことがある。あとタイガームエタイに来ていた、日本人のバンタム級の選手と練習したことがあるんだ。打撃が凄く良かった。MMAにはなっていなかったけど。

でも日本はレスリング大国だし、タクト・イシグロ(石黒拓斗。東京五輪フリー65キロ級優勝)は本当に素晴らしいレスラーだ。タイガームエタイにいた選手が、あれだけ打撃ができるなら、日本はMMAも強いんだろうね。僕もいつか日本で試合がしたいけど──それより、英国代表でパリ五輪かな。東京には間に合わなかったから」

■視聴方法(予定)
9月26日(日・日本時間)
午前2時00分~ BRAVE TV

■BRAVE CF54対戦カード

<BRAVE CFライト選手権試合/5分3R>
[王者]アミン・アユブ(フランス)
[挑戦者]アハメッド・アミール(エジプト)

<130ポンド契約/5分3R>
ムハマド・モカエフ(英国)
ブライン・オドリスコール(アイルランド)

<スーパーウェルター級/5分3R>
マルチン・バンデル(ポーランド)
マゴメド・アキスカノフ(スイス)

<スーパーライト級/5分3R>
マルセル・グラビンスキ(ドイツ)
ミハイル・コートルツァ(ルーマニア)

<スーパーウェルター級/5分3R>
イスマイル・ナルディエフ(オーストリア)
オーり・サンタラフティ(フィンランド)

<女子ストロー級/5分3R>
エベリーナ・ヴォンジニアク(ポーランド)
サミン・カマル・バイク(イタリア)

<スーパーウェルター級/5分3R>
アクセル・ソラ(フランス)
バブジニエツ・バルトニック(スイス)」

<バンタム級/5分3R>
ビラル・ティプサエフ(スウェーデン)
グレン・マクベイ(英国)

<フェザー級/5分3R>
オマール・ソロモノフ(ウクライナ)
ハファエル・ウドソン(ブラジル)

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