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【Shooto2021#06】TRIBE同期対談─01─石井逸人「安藤達也は天才」&後藤丈治「逸人は努力する凡才」

【写真】この表情からも、両者の違いが伝わってくる……かと(C)MMAPLANET

20日(月・祝)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2021#06でTRIBE TOKYO MMAの石井逸人が安藤達也の持つ修斗環太平洋バンタム級王座に挑戦し、後藤丈治が石橋佳大と対戦する。

1995年生まれの石井と、1996年3月生まれの後藤は同学年でTRIBEに先週場所を移してきた時期も重なる。

石井がバンタム級で戦うようになり、階級も同じになった両者。石井といえば言わずと知れたトンパチ野郎、対して後藤は北大卒の物腰の柔らかい常識人というイメージが定着している。そんな対照的な両者は、スタイルも正反対だった。結果、同期の両者は互いの穴を埋め合い、良いところを吸収しあうという最高のライバルとして高め合うことができている。

大一番を前に、TRIBE同期修斗バンタム級ランカー対談を行った。


──こうやってZoomの画面で2人の顔が並ぶと、表情に人間性が表れていますね(笑)。

石井 いやいやいや、分かっていないですよ。丈治は腹黒ですから。

後藤 そんなことはない。

石井 これだけつるんで仲良くなっているので、類友。丈治も同じです。

──つまり石井選手は自身が腹黒だということを認めてしまっているわけですね(笑)。そんななか次の試合が3日後に迫ってきました。Zoom取材で2人ともTribe Tokyo MMAにいて、離れた場所でつないでもらっているのですが、この時点で道場にいるというのは?

後藤 軽く調整して、体のケアをしようと思ってジムに来ました。

石井 自分は指導があるので。

──石井選手は指導で皆をリードしているわけですね。

石井 それは、もうそうですよ!! カリスマ指導者なんで、参加者は多いですよ。

後藤 独裁者ですよ、独裁者(笑)。ただ人望はともかく指導力で、会員さんが集まっているんだと思います。人に教えるのが得意です。細かいところまで、分かりやすく指導していますし、選手練で僕らも逸人から色々と教わっています。

石井逸人は全く感覚で動くような天才ではなくて、勉強家の凡人なので。

石井 おぉ、言うねぇ(笑)。いや、自分は感性派の天才なんですけど……ね。

後藤 いえ、勉強家の凡人ですよ。

──石井選手が間違っているのは、『勉強家の凡人』と後藤選手が言ってくれているのは誉め言葉ですからね。

石井 えっ?!

後藤 そうだよ。

石井 ……。でも、この世界はそういう人間が勝つ方が良いですよ。安藤達也は天才ですから、それを自分みたいな人間が勝つことが格闘技の意義です。

──おっ、呼び捨てですね。

石井 安藤達也のことは嫌いではないですけど、もう試合モードになっているので……いつまでも『安藤さん』とかって呼んで友達感覚でいることはできないです。

──安藤選手のどこか天才だと思う所以ですか。

石井 勘の良さ、勝負所で全力で仕留めることができます。あの勘の良さ、感性は天才です。練習をしていても、それは感じます。試合の時ほどガンガンは来ないですけど、要所で畳みかけてくるところとか、天才的です。スタミナがないから、そういう風になるってことも勿論理解しています。試合が決まれば練習に来るという感じで、出稽古先に一緒になる感じでしたし。

──安藤選手は5分✖3R、あの戦い方ができれば今、石井選手と拳を交えることなくUFCで戦っていたかと思います。本当に。

石井 そもそも練習しなくて、あれができるのが天才です。だから練習に入ってきたときも『体力はないな』って感じます。それが2回、3回と練習に参加すると、ここまでかっていうぐらいコンディションが戻っているんです。

──なるほどぉ、そこも天才的だと。後藤選手は安藤選手と練習したことは?

後藤 話したこともないです。

──TRIBEでは安藤選手の話題はケーフェイですか。

後藤 そんなことはないです(笑)。

石井 でも長南さんからは『お前、絶対に負けんじゃないぞ』って言われています(笑)。

──それはいつもそうだと思いますが(笑)。

石井 ベルトが掛かっている試合だというのと同時に、安藤には負けられないっていうプレッシャーは感じています。結果、いつも以上に気合が入っています。

後藤 普通に逸人が勝ちますよ。安藤選手が今までと同じやり方だと、「もう逸人を越えられないよ」と僕は思っています。普通に勝っちゃうんじゃないかと。

石井 アハハハハ。丈治、やっぱりよく見ているねって感じです。

──上から目線ですね(笑)。

石井 ランキングでいうと自分の方が上なので、上から目線で言いますよ。

──出た(笑)、一番気質の悪い人間のモノの考え方ですね。

後藤 まだ、そういう風に数字に拘っている子供のような部分があるんですよね。でも、虚勢を張らないで自分の良いところ、悪いところを分かって……僕もそうですが、逸人もそこから逃げずにやってきたので。逸人のそういうところが、次の試合で強味になるはずです。

──良い関係ですね。石井選手は決して気持ちが強くなくて。懸命に戦う状態を創っている。それが試合前、試合中、試合後までもあのノリになってしまう感じですよね。

後藤 その通りだと思います。良く分かってくれていますね。

石井 いや、俺も成長しているので!!

後藤 僕と逸人は性格が本当に違います。だから、上手くやれているんじゃないかと。練習だけはちゃんとやる。それがTRIBEというチームだと思います。そこが出来ていれば、MMAのチームとして良いと思っています。

──プライベートでの付き合いは?

後藤 ゼロではないです。

石井 丈治は飯とか遊びを30回ぐらい誘うと、1回来る。それぐらいじゃないですか。でも自分は誘い続けますよ(笑)。

後藤 そもそも僕は1人派なんです。

石井 自分がTRIBEの所属になった時、打撃は素人でした。ジャブの打ち方も知らなかったです。丈治は寝技がメッチャ素人で、エビも知らないぐらい寝技ができなかったです。自分は丈治に打撃を教わって、寝技を教える。上京してきたタイミングもほぼ一緒で、互いの穴を埋める存在でした。丈治がいてくれて、良かったと思っています。だからTRIBEは勝てているという感じです。

本音で付き合えるので、先輩とは違い言い合うことができる。そういう存在でもあります。

──と同時にライバルでもありますね。

石井 丈治には負けたくないです。丈治が試合で勝ったらメッチャクチャ嬉しいんですけど、注目されると悔しいという想いはあります。

<この項、続く

■視聴方法(予定)
9月20日(月・祝)
午後6時00分~ ABEMA格闘チャンネル

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