【F2W182】残り2秒、ダンテ・リオンがダヴィ・ハモスからRNCで一本勝ち
先月28日(土・現地時間)、カリフォルニア州バーリンゲームのハイアットリージェンシー・サンフランシスコ・エアポートで、F2W182「East Bay」が開催された。
Text by Isamu Horiuchi
遅まきながら、注視すべき結果になった上位カードから、メインで行われた一戦の模様をレポートしたい。
<F2Wノーギ・ウェルター級選手権/10分1R>
ダンテ・リオン(カナダ)
Def.9分58秒 by RNC
ダヴィ・ハモス(ブラジル)
常にアグレッシブな姿勢で試合に臨むリオンは、試合開始後すぐにシュートイン。腰を引いたハモスに防がれると、今度はイマナリロールへ。これもハモスに距離を取って防がれると、そのままオープンガードに入った。
低くプレッシャーをかけにくるハモスに対し、リオンはハーフガード&左のニーシールドという十八番の形を取ってその侵攻を許さない。ハモスの左腕にアームドラッグを仕掛けたリオンは、さらに下からの腕ひしぎ腕固めに。一瞬左腕を伸ばされかけたハモスだが、素早く反応して防御した。
その後もハモスは重心を低くしてパスを狙うが、リオンは左のニーシールド&フレームで防ぐ。逆に隙を見てリオンはレスリングアップを仕掛けるが、ハモスは素早く距離を取って防いだ。
残り4分少々のところで、リオンが潜っての仕掛けを狙うと、ハモスは前方に飛び込んでリオンの左足を取りにゆく。すかさず反応したリオンは逆にベリンボロからのバック狙いへ。が、ハモスはすぐに距離を取って立ち上がった。
ここでリオンも立ち上がり、試合はスタンドの攻防へ。リオンは二度ほどシュートインするが、反応の速いハモスに防がれると引き込み。
その後は、上から圧力をかけるハモス、それをニーシールドで防ぎながら煽るリオンによるどちらも譲らない攻防が続いた。
残り1分半、立ち上がったリオンはまたしてもシュートイン。ハモスは両脇を指してそれを振りほどくが、ここでリオンは間髪入れずもう一度ダブルレッグへ。これが深く入り、見事にテイクダウンに成功した。
この試合はじめて下になったハモスは、オープンガードから潜りを仕掛け、すぐにリオンの右腕をたぐってのアームドラッグへ。これでリオンを前のめりに崩したハモスは、リオンの足を抱えて前転を余儀なくさせて上に。あっという間に上を取り返してみせたのだった。
残り30秒、またしてもニーシールドから内回りに入ったリオンに対し、勝負をかけたハモスは瞬時に倒れ込みながらの左足に膝十字狙い。が、素早く足を畳んで対応したリオンは、そこに乗じてバックポジションを奪取。そのままリオンはあっという間に右腕をハモスの顎の下に食い込ませて締め上げ、なんと残り1秒でタップを奪ってみせたのだった。
常に自分から仕掛けて試合を作り、鉄壁のニーシールドで世界的競合ハモスの攻撃を遮断したリオン、最後は圧巻の極めを見せつけての見事な勝利──その腰にベルトが巻かれた。
対するハモスも、リオンの様々な仕掛けを遮断した反応速度の速さはさすが。そして最後にリスクを背負って勝負を仕掛けた姿は、プロとして称賛に値する。
それにしても、19年のADCC世界大会77キロ級で名を挙げたリオンが、15年の同階級決勝で見事な飛び十字を極めて優勝したハモスに完勝(奇しくも、両者の対戦相手はルーカス・レプリだった)。時代が確実に動いていることを実感させられる試合となった。