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【Grachan50】初陣、2019年フリー70キロ全日本王者=原口伸─01─「ここでやらないと絶対に後悔する」

【写真】4月11日のEXamateurFIGHTで、打撃有りの試合に初めて挑んだ原口。パンクラスでプロデビューの資格を得ていてDREAMERS=漆間をレスリングで圧倒して判定勝ちしている (C)MMAPLANET

9月5日(日)、千葉県千葉市の幕張ベイパークアリーナで開催されるGRACHAN50で、レスリング全日本王者の原口伸がプロデビュー戦を迎える。

幼少期にレスリングを始めた原口は、国士舘大学時代に、2018年の全日本レスリング選手権でフリースタイル70キロ級で3位に。翌2019年には同クラスで優勝している。安定した就職先は数多存在した原口が、なぜMMAを始めたのか。そして、今年4月のEXFIGHTのアマチュアマッチで初めて体験したMMAとは――。


――1週間後にプロデビュー戦を控える原口伸選手です(※取材は8月30日に行われた)。今年3月に国士舘大学を卒業してMMAを始めたとのことですが、MMAを始めたキッカケを教えてください。

「大学1年生の時、兄(原口央、BRAVE所属のMMAファイター)や先輩と一緒に、RIZINを見に行ったんです。その時すぐ『MMAがやりたい!』と思いました」

――大学時代は、MMAをやることが念頭にあって、レスリングを続けていたのですか。

「大学1年生の時はレスリングで成績を残せていなくて、MMAという世界も考えていました。ただ、大学4年間はレスリングを続けることは決めていたので、すぐにMMAを始めるということはなかったです」

――それまでMMAは見たことがなかったのですね。

「試合を見たことはなかったです。でも格闘技の映画は好きで観ていました。ブルース・リーとか」

――ブルース・リー! それはお父さんの影響でしょうか。

「いえ、自分でハマっていきました(笑)。もともとは何かのアクション映画を見せられたことがキッカケなんですけど、そこから自分でブルース・リーやジャッキー・チェンの映画を調べて観るようになって。小学校低学年ぐらいの頃ですね」

――レスリングを始めたのは、そういった映画の影響なのですか。

「レスリングは別です。父の作ったレスリング道場があって、そこで兄たちが練習していたんです。でも、親も僕には『好きなことをやっていいよ』と言ってくれていまして。僕も本格的にはレスリングをやらず、道場でずっと遊んでいるだけでしたけど」

――そんななか、小学校3年生の時にレスリングを始めたのは……。

「好きなことをやっていいと言われても、特に好きなこともなかったんです。そんな時――ハッキリとは覚えていないんですけど、レスリングの番組か試合の中継かを見て、カッコいいと思ったことがキッカケですね」

――なるほど。大学時代の話に戻りますが、原口選手は2019年、大学3年生の時に全日本フリースタイル70キロ級で優勝しています。すると東京オリンピックも視野に入っていたのではないのでしょうか。

「オリンピックでは、僕の階級が開催されなかったんです。上は74キロ級、下は65キロ級で……74キロ級は体格的に難くて、65キロ級まで減量できるかどうか、という感じでした」

――なるほど、ほぼほぼ五輪期間しかレスリングを見ないジェネラル層や門外漢には、意外と伝わっていない事実ですね。そういった場合、多くの選手はどちらを選択するのでしょうか。

「強引に階級を上げることが多いですね。でも僕は、全日本で優勝したあとにケガをしてしまい、試合も出ることができない状態でした。その時点でオリンピックまでは考えていなかったです」

――しかし、大学を卒業してMMAを始める際、周囲に引き留められなかったですか。

「レスリング部の監督と僕の親が話し合いました。僕はMMAをやりたいと伝えていたんですけど、親と監督は『レスリングを続けてほしい』と」

――親御さんも反対していたのですね。

「全日本で優勝していたので、いろんな企業さんからも声をかけていただいていたんです。親からも『条件の良いところに就職してほしい』と言われていました。でも僕は、ここでMMAをやらないと絶対に後悔すると思っていて、親も理解してくれて『お前の好きなようにやれ』と言ってくれました」

――監督さんはどうでしたか。

「そのあと親が監督と話をして、最初は監督も渋っていましたが、最後は納得してくれて『人生一回きりだから頑張れ』と送り出してくれましたね」

――そこから宮田和幸さんが主宰するBRAVEに入るわけですね。

「BRAVEには兄が先に入っていたんですけど、僕は僕でジムを探していました。でも宮田先生がインタビューで『レスラーを強くさせる自信がある』と仰っている記事を見て、やっぱりBRAVEに入ろうと思ったんです。選手が第一、自分が経験した失敗は弟子にはさせない、と仰っていたので。部活を引退して、大学を卒業する直前――今年の2月にBRAVEで初めてMMAに触れました」

――えっ!? 原口選手は今年4月に、EXFIGHTのアマチュア試合に出ていますよね。MMAを始めて2カ月で試合に出場したのですか。

「そうなんです」

――しかも、パウンドありのルールですよね。

「今考えると、ムチャしたなって思います(苦笑)」

――EXFIGHTでは、格闘DREAMERSにも参加していた漆間將生選手に判定勝ちしています。

「とにかくテイクダウンしかしていませんでした。自分のイメージでは、もっと簡単にパウンドを打てると思っていたんです。でも単にパウンドは打てても、効かせるパウンドを打つことが難しくて……」

――どのようなところが一番難しかったのでしょうか。

「テイクダウンばかりしていた、つまり一度倒して抑え込むことができなかったんですね。倒されてから立つという動作がレスリングにはないので、そこを抑えてポジションを獲ることが難しかったです」

<この項、続く>

■ GRACHAN 50対戦カード

<ライト級/5分2R>
藤村健悟(日本)
小川道的(日本)

<ライト級/5分3R>
原口伸(日本)
大搗汰晟(日本)

<バンタム級/5分2R>
松本尚大(日本)
上荷大夢(日本)

<ライトヘビー級/5分2R>
小沢祐介(日本)
高桑格(日本)

<バンタム級/5分2R>
GEN(日本)
松井斗輝(日本)

<ライト級/5分2R>
野村駿太(日本)
前田啓伍(日本)

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