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【ONE】TNT中継第4弾でセイジ・ノースカット戦が発表された青木真也「UFCを遠くに見ることができる」

【写真】Road to ONEを解説で盛り上げ、リードした青木は既に次戦が決まっていた (C)

25日(木・現地時間)、ONE Championshipが4月29日(木・同)にセイジ・ノースカットが青木真也と対戦することをオフィシャルSNSで発表した。

日付は4月28日(水・同)となっているが、これは米国TNTで中継される時間だ。いずれによせ、ジェイムス・ナカシマに続き、次はノースカットと青木と北米MMAのマッチアップが続いており、これは今の青木にとっても意味のあるマッチアップといえる。


今回のオファーが青木に届いたのは2月4日のこと、いつも通り彼にノーという選択はなかった。ライブ・イベント前の今後の方針の発表という最近のONEの流れで、先の女子アトム級GP開催と合わせて、ここでTNTカード第4弾のカード発表として青木✖ノースカットが明らかとなった。

ダナ・ホワイト、ルッキング・フォー・ア・ファイトで見出されたノースカットは、4歳の時に父の指導で空手を始め、全米キッズ空手界で知らぬ者がいないという存在に。さらに9歳にして空手雑誌の表紙を史上最年少で飾り、高校生になると2カ月の練習でレスリングの州選手権5位に入賞を果たしている。

キックボクシングで15勝0敗。MMAで5勝目を挙げたLegacy FCでの戦いをダナに見初められUFCと契約を果たした。オクタゴンでもデビュー戦で57秒TKO勝ち、第2戦は2R0分41秒でギロチンによって一本勝ちと順風満帆にスター街道をまっしぐらに行くかと思われたが、そこが世界最高峰の厳しさだ。

まるで王子、キラ星のごとく輝くノースカットをプロテクトすることなく、3戦目でブライアン・バルベレナ戦を組むと、肩固めでキャリア初黒星を喫する。その後、2018年7月までUFCで8試合戦い6勝2敗という上々の結果を残していたノースカットだが、ONE転出を決めた。

しかし初陣となった2019年5月のシンガポール大会で──北米でいえばミドル級に相当する84キロのONEウェルター級でコズモ・アレッシャンドリと対戦し、右フックでキャリア初のKO負けを喫しただけでなく、顔面8カ所の骨折という重症を負い──長期欠場に追い込まれた。

青木戦が1年11カ月振りのファイトとなるノースカットだが、一時期はONEフェザー級でのカムバックを目指すという情報もあったが、ライト級で戦うこととなった。サウスポーの相手にミドルやサイドキックを入れることが上手いノースカット──打撃の圧力があり、寝技を跳ね返すバネがあるだけに、青木にしてみればナカシマ以上の強豪と戦うこととなったといえる。

なぜ、このタイミングで青木なのか。アジア最大のMMAプロモーション=ONEであっても、北米ではまだまだ新興勢力だ。アジアのMMAに興味を持たないライト層こそ、UFCやBellatorが必要としている市場だ。そんな米国のTNTによるONE中継でエディ・アルバレス、デメトリウス・ジョンソンに次ぎ、青木の試合の視聴者数が多いという話も伝わってくる。

オンラ・ンサンやリー姉弟ではなく、シンヤ・アオキの存在を米国マニア層は求めているからこそ、このタイミングでのノースカット戦が組まれたという憶測はそれほど外れてはいないだろう。

正式発表の2時間30分前に改めて尋ねた青木のノースカット戦へ思いは、以下の通りだ。

青木真也
「良い試合ですね。オファーを貰った時は──『あぁ、そうですか』と他人事でした。そうなんだっていう感じで。最後とは言わないですけど、このタイミングでセイジ・ノースカットがあるのは何かあるんだろうなと思います。

ファイターとしては対戦すると思ったことがなかったので……ただUFCというモノを遠くに見ることができるカードだと思うので、やる気になりますよね。向うのワンサイドになるかもしれないし、こっちのワンサイドになるかもしれない。

まぁセイジ・ノースカット云々ではなく、この先にUFCの世界観が見えることだけにワクワクしています。もちろん、強い相手です。ただし、楽しめるのは北米で期待されていた選手が相手だからということですね。ONEの米国での視聴率に僕が必要? これは良くも悪くも、ONEのなかでの青木真也、ONEで評価された青木真也というのはまるで意識しないです。まったくネガティブでも、何かをくさすということでもなく、試合の機会が巡ってきて青木真也が試合をするということで。

北米の中継でラインナップに入った──でも、これ以上の知名度が欲しいわけじゃないし、有名になりたいわけじゃない。自分の深いお客さんがいてくれれば良いので、TNTのライブ中継というのも関係ないです。北米のお客さんが僕を見るかどうかって、すなわちはUFCで通用するかしないか──だから。そこが評価ですよね。UFCで戦う力があるんだと思われるのか。そこだと思っています」

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