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【Special】月刊、青木真也のこの一番:1月─その壱─アブデュラエフ✖カデスタム「尿比重と階級down」

【写真】テイクダウンからバック奪取、あっという間にネッククランスを極めたアブデュラエフ (C)ONE

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

今月も変則的に番外編からお届けしたが、今回から従来の形式通りに、背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。

青木が選んだ2021年1月の一番、第一弾は22日に行われたONE116 Unbreakable からザキムラッド・アブデュラエフ✖ゼバスチャン・カデスタム戦について語らおう。


──青木真也が選ぶ2021年1月の一番、最初の試合をお願いします。

「ザキムラッド・アブデュラエフ✖ゼバスチャン・カデスタムですね」

──ジェイム・ナカシマ戦の2試合前に行われた試合です。

「ハイ。僕はカデスタムと同じ控室というか、弁当箱の仕切りみたいな感じで、一つの場所で間仕切が十字になっていて、そこで彼とは同じだったんですよね。出入り口にモニターとバンテージチェックの場所があり、そこだけは皆が共有するという感じで。他の選手と接触することもなかったです」

──控室の状況もコロナ前とは違うわけですね。ワクチンが普及するまで、そのような状態が続くかもしれないです。

「続くんですかね。ワクチンも綱引きで、分からないですよね。根気勝負か、開き直るのか。でも、シンガポールにいると日本は事実上開き直っていると思いましたよ」

──人々のモラルに頼って。

「そこがなぁなぁになっていますしね。良心になぁなぁになっているから、また難しくなっている」

──コロナ談義は取り敢えず置いておき、アブデュラエフです(笑)。

「僕はカデスタムが強いと思っていたんです。元々PXCのチャンピオンで、ONEでもサッポにKO勝ちしている。ONEっぽくスタンドが上手なファイターで。縦ヒジとかも使う。マグワイアに勝ったことが意外だったから、あの勝利で凄く彼の評価は高かったんです。

そうしたら、『えっ?』と。スウェーデンって、完全に共生する選択をしてロックダウンも、自粛政策もとらなかったら、エライことになっていて。だから、彼がどういう風に練習ができていたのか。その辺の時世も関係してくるのだとは思いますけど、それにしてもワンサイドでアブデュラエフが取ってしまうのは──ちょっと分からないです。

ああいうことが今、ONEのトップ戦線は多いですね。オンラ・ンサンの負けもそうですし」

──そもそも元チャンプとダゲスタンの新鋭と戦う。なかなかシビアなカードでした。

「そう取ります? アブデュラエフはウォリアー・シリーズ上がりだから、カデスタムのアップだと僕は思っていました。彼はウォリアーでも判定勝ちだし」

──確かに代役ですし、そこまで考えいなかったかもしれないですね。

「そうですね。そうだ、代役ですよね。最初はレイモンド・マゴメダリエフが相手で。ロシアからロシアという代役で。マゴメダリエフも強い選手だったけど、その代役が取ってしまう。分からないものですよ」

──アブデュラエフはライト級でも戦えると宣言していました。

「そこは……ナカシマもそうですけど、この計量システムだと落とせると思っちゃうんですよね。でも、そんなにうまくいってない。階級を落としてもパフォーマンスがどうなのか。

尿比重の検査があると、階級の移動は難しくなるかもしれないです。要は余分に体重を落として、水を飲む。僕は逆にリミットより下だから、76キロになるまで水を飲むと、尿比重の値は本当に小さくなります。

だから食事もできているけど、食べないで水を飲んで尿比重を下げている選手は栄養素が抜けちゃっている状態だから。それが1日のリカバリーで戻るのかなって。

水抜きをした選手、実際に動けないことが多いじゃないですか。それと同じことが、ONEの計量でも起こっているかと」

──つまりは普段と同じ体重でないと──ということですか。

「僕の理屈では、そうです」

──最近思うのですが、日々の生活や練習というのもあるのですが、水抜きをして普段大きくなっている35歳以上の選手と青木選手のコンディションが違うように感じてきました。

「あのう……それはあると思います。年を取るのが遅いです。あのフェザー級に落とした経験が、凄く響いています。あの時、これをやっていると死んじゃうわって。ハードな水抜きをやると……コンディションを本当に気を付けた方が良いと思います」

──コロナ計量といえる、当日で一階級上の計量になり選手はギリギリでも取材を受けてくれる状況が多くなりました。

「あぁ、なるほど。取材する立場だからこそ、分かる話ですね。でも僕は尿比重があると基準が2つできてしまうから、なら77と尿比重よりも、尿比重なくて70.3キロだけで合わせる方が楽じゃんっていう気持ちがあります。

それは僕の減量が厳しくないからだと思います」

──青木選手だからこそ、分かる話ですね。

「まぁアブデュラエフがこのままライト級でできるかというのは分からないし、ただ簡単ではないと思っています」

──ではウェルター級では?

「もうカデスタムに勝ち、ナカシマが抜けたんだからタイトル・コンテンダーですよね。ただチャンピオンのキャムラン・アバソフもいえばロシア人、マゴメダリエフにアブデュラエフ、ロシア人だらけですよ。手塚に勝ったムラット・ラマザノフもいるし。ロシア人以外はマグワイアぐらいじゃないですか。あとはサッポと。

マッチメイクする方も、もうちょっと考えないといけないですよね(笑)。逆にいえばロシア人を一つ崩せば、日本人もウェルター級レギュラー枠になれるかもしれない。実はチャンスかもしれないですよ。タイトル・コンテンダーになるには」

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