【ONE113 Inside the Matrix02】キム・キュソン戦へ、若松佑弥─02─「失神させるより、嫌倒れさせる」
【写真】多くの人が前編の後半から、今回の前半を読んでいると吹き出すだろう──何を言っているんだ(笑)と。しかし、若松の言葉はそこからどんどん胸に響くようになるはずだ(C)KEISUKE TAKAZAWA
6日(金・現地時間)に中継されるONE113「Inside the Matrix II」。同大会でキム・キュソンと対戦する若松佑弥インタビュー後編。
独特の感性と、語感で話す若松佑弥──そこにも笑わば笑え、開き直りの精神と苦手なことが逃げない姿勢が感じられた。
誤魔化さない、自分を全うする若松の受け答えは、微笑を浮かべつつどうしようもなく胸に響いた。
<若松佑弥インタビューPart.01はコチラから>
──料理、教習所、洗濯、給付金の申請。それら私生活に存在する試練と向かい合うことで、自分もできるという自信になりましたか。
「ハイ。自分はもう立派な大人だって……。『嫌だ』って逃げるんじゃなくて、どんどん身を粉にしてじゃないですけど、自分を犠牲にして家族を支えていかないといけないと思っています」
──料理は上手くなりましたか。
「ハイ。分量とか全然測らないで、ある程度もうできるようになりました」
──得意料理は?
「牛スジでスープを創るとかですかね」
──おお、めっちゃ美味しそうですね。圧力鍋を駆使してですか。
「ハイ。圧力鍋使っています」
──凄いじゃないですか。自分なんて、今だに昔の圧力鍋のイメージで破裂するみたいな怖さがあります。圧力鍋使えるって格好良いですね。
「ハイ(笑)」
──圧力鍋を使う時、私は家内の助けが必要になります。
「アハハハ。そうなんですよ。僕もそうだったのが、そこを『できるんだ』って強く思って使えるようになりました。書類を書くのも『俺なんて、中卒だから無理』と思っていたのが、『俺は格闘技ができるんだから、一般ピープルの奴らができることができなわけがない』って頑張るようにしました!!」
──偉いっ!! 私は給付金の申請から青色申告まで家内に任せっぱなしです。
「いやいやいや、僕も妻の力を借りて──です」
──そういうところを我慢して、それがMMAに生きるのですか。
「う~ん、やっぱり上手くいかないことばかりなんですけど、失敗を気にし過ぎてネガティブでいるよりも自分を信じる。全然ダメなスパーリングとかあっても、『俺は絶対にでいるんだ』って思えるようになりました。
マイケル・ジョーダンも試合でシュートを9000本外したそうなんです。皆、生きていると上手くいかないことばかりだし、割り切るわけじゃないですけど。前はできないと『俺はできない。ダメだ』ってなっていました。色々と考えても上手くいかない。そうすると、潰れてしまって『もういいや、好きに戦おう』とかなって。
でも今は私生活も練習も、色々と上手くいかなくてもイライラしないで『大丈夫、大丈夫』って言い聞かせてできるようになりました。これまでこうやって生きてきたのですが、今でも試合に出ることは怖いし、やりたくないです。でも、自分は戦うことでしか金を稼ぐことができないので。それは我慢してやるしかないんです」
──お子さんができると、それによって付随することで人生観すら変わったようですね。
「自分はビビりで心配性で、色々と考えちゃうんです。だから、もっと楽にできないなかって思うことはあります。でもこないだまで子供だった自分が、武蔵っていう子供を育てるようになって……。時が経つのは早すぎるので、今をしっかりと生きないといけないと思っています」
──シンガポールでの試合、武蔵君とも暫らく離れ離れですね。
「でもロックダウン(※正確には緊急事態宣言)になった時、カミさんの実家に預けて離れていたことがありますし。まぁ、試合に行くのは仕事です。子供のことはカミさんに任せて、試合に集中します。寂しいですけど、離れていることで試合に集中できるかと思います」
──ONEフライ級戦線を考えると、アドリアーノ・モライシュとデメトリウス・ジョンソンの戦いが終わった時に、勝者に挑戦できる位置にいてほしいです。
「それは……今回の試合に勝っても、もう1つ、2つは勝つ必要があると思います」
──上位勢で手を合わせていないリース・マクラーレンが、アレクシ・トイヴォネンに圧勝しました。
「強かったですね。強くなっています。マクラーレンに負けていないっていうのを見せるには、今回の試合で普通に圧倒して勝つしかないです。全ての局面で圧倒して、触らせないでパンチで嫌倒れするぐらいにしたいです。失神させるより、嫌倒れですね」
──意識を途絶えさせるのでなく、心を折ると。
「ハイ、『こいつのパンチ、対策立てて練習してきたのと全然違う』って思わせて、嫌倒れ……心を折って圧倒したいです」
──失神させるよりも、完勝かもしれないですね。
「練習だとMMAグローブでガチで殴り合うことないでしょうし。バンテージを嵌めたMMAグローブで、メチャクチャ速いスピードでガンガン殴っていたら、『もう早く終わらせてくれて』って思ってくるはずなので。それでも韓国人選手は気持ちが強いと思うので、それを潰すぐらいの勢いで全てをぶつけます」
──ズバリ作戦としては。
「狙いは中に入ってジャブをガンガン当てて、インサイド・ロー。カーフも蹴ってから、右ストレートを入ようと思います。そこでガードを固めてくると、もう思い切り連打で……ワンツーでガードの上からでも叩き折るつもりで戦います。死にいくぐらいでの気持ちでやります!!」
■視聴方法(予定)
11月6日(金・日本時間)
午後9時30分~ ABEMA格闘チャンネル
午後9時30分~ONE App
毎週木曜、26時05分~テレビ東京「格闘王誕生! ONE Championship」
■ONE113 Inside the Matrix2対戦カード
<ONE世界ウェルター級(※83.9キロ)選手権試合/5分5R>
[王者] キャムラン・アバソフ(キルギス)
[挑戦者]ジェイムス・ナカシマ(米国)
<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
ティモフィ・ナシューヒン(ロシア)
ピーター・バウシュト(オランダ)
<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
キム・キュソン(韓国)
若松佑弥(日本)
<ムエタイ59キロ契約/3分3R>
ロッキー・オグデン(豪州)
ヨゼフ・ラシリ(イタリア)
<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
エコ・ロニ・サプトラ(インドネシア)
ラモン・ゴンザレス(フィリピン)
<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
プリシーラ・ガオール(インドネシア)
モン・ボー(中国)