【Pancrase318】堀江に勝利し、ISAOへの挑戦権を獲得──中島太一─01─「俺、よく勝てたな(笑)」
【写真】笑顔が途切れることはなかったメインカード終了直後の中島 (C)MMAPLANET
27日(日)に東京都江東区のスタジオコーストで開催されたPancrase318-Beyond317-のセミで、中島太一が堀江圭功との激闘を制し、フェザー級KOPであるISAOへの挑戦権を手にした。
本来は8月23日に組まれていた試合は、大会当日の中止という事態が勃発し1カ月遅れで組まれた。レスリングを強化し、打撃との融合を進めてきた堀江に対し、組み勝負──ボディロックを軸に試合を組み立てようとした中島。結果的に両者とも、自分のやるべきことを完遂でいなかったが──一進一退の攻防の末、判定勝ちを収めたのは中島だった。
ソーシャルディスタンス、他の陣営の選手がいない試合後の控室で中島に堀江戦を振り返ってもらい、これからについて尋ねた。
──足を氷で冷やしていますが、カーフですか。
「カーフも効きましたが、自分が蹴った時にも痛めてしまいました」
──とはいえ、堀江選手のプレッシャーにも下がることがなかったです。
「ロシア人に比べると、全然怖くないです(笑)。日本人って外国人選手への苦手意識ってあると思うんです。僕もそうだったし、圧力や怖さが違うんで。日本で外国人選手と戦ってもソレを感じるし、アッチに行ってもそうですし。ロシアでの経験はデカいです」
──当日計量で70キロというのは、どうでしたか。
「普段がこれぐらいで、僕はフェザー級の中でも小さいほうだと思います。だから当日計量の方が体重差は少なくなるし、こっちのほうが良いです。ほぼナチュラルで戦えて体調も良かったですしね」
──青木真也選手が堀江選手のフィジカルは日本のフェザー級で一番かもという話を実はしてくれたことがあったんです。
「えっ、そうなんですか。ハハハハ、青木さんは僕のこともフィジカルが強いと言っていてくれていたのですが……、堀江君の方が強いと思っていたということですか」
(セコンドを務めた)八隅孝平 俺にも、言っていたよ(笑)。青木は物差しが凄く上で、それだけ体感してきたから。だからよく見ているよ。
「じゃあ、僕よりも堀江君が強いと思っていたってことですよね」
──フィジカルは、という話を私にはしてくれました。
「なんだよ、なんで青木さん……言ってくれないんだよ……」
八隅 そりゃ言わないよ。堀江君と練習しているんだし。そう思っていたのは分かっていたけど、俺も中島君にそれは伝えないでいたわけだし。
「えぇ、でも青木さん……」
八隅 中島君は頑張ることができるから、そこに持っていけることができるかどうかって言っていたよ。
「練習だったら、アッチの方が強いんだ……」
八隅 だって江藤(公洋)君よりレスリングが強いって。
「嘘でしょ!!」
八隅 そんな情報は試合前に中島君の耳に入れるわけないし。
「聞かなくて良かったですよ。俺、よく勝てたな(笑)」
八隅 やっていることが間違っていなかったから。
──とにかく下がらなかったという印象が強いです。そのせいか、堀江選手もリズムを狂わせていたようにも見えました。
「まず思った以上に距離が近かったです。イメージではもっと遠いところから、グっと出てくるので。そういうスパーリングをしてきたのですが、近くてビックリしました。『えっ』と思ったけど、僕は近い方が戦いやすいので。近いボクシングが得意なので、堀江選手の動きも近い方が見ることができましたね。
遠い方が怖かったです。堀江選手がテイクダウンを合わせられるのが嫌で飛び込まないで戦ったのか。そこは分からないですけど、僕としては近い方がやりやすかったです」
──尻もちをつかせたのは1度、バックに回り込みかけたのも1度。ケージに詰めてから堀江選手も防御が固かったです。
「組み力は強かったです。ワキをすくわれて返してきたり、練習であんな風にされたことはなかったです。ただし、ビックリするほどでもなく想定内の強さでした。それにしても初回の3-0で堀江選手っていうのは分からないです。どう思いますか?」
──実はですね、自分の場合は写真を撮影している時はまるで試合の見方が違っていて、局面を追い過ぎて競り合いはどちらかっていうのは分からないことが多いんです。ただし、裁定基準がダメージの次にインパクトだと、テイクダウンを奪えない組みや押し込みは評価されなかったかもしれないですね。
「撮影のときは、判定とか頭に入らないのですか?」
──記事を書いているときより、頭に入らないのは事実です。記事は結果論で目の前にあることを追うのですが、撮影の場合は次の動きを予想をしてシャッターを押すので頭の働きが違うと思います。だから、フェイクとかに引っ掛かって、手も足も出ていないときの写真が多くて(笑)。
「へぇ、そういうもんなんですね。フェイントに引っ掛かってくれるんだ(笑)」
──逆に見えるときは見えるんです。KOパンチとか、蹴りも見えると撮影できます。そういうことでいうと、今夜の試合では中島選手の攻撃でもパンチからテイクダウンというのは見えていたのですが、組みに行った姿勢からのオーバーハンド、アレは撮れなかった。つまり見えていない。そういう攻撃があると、撮影中でも驚きます。
「うわぁ、そう言ってもらえると嬉しいです。高島さんを引っかけたってことですね(笑)。嬉しいわぁ。実は8月23日の時点で、あの攻撃はできていなかったです。打撃を見せてテイクダウン、そのことに集中していました。でも、当日に試合が中止になって準備期間が1カ月増えた。そんな時にRIZINでBraveの竿本(樹生)選手が使っていたのを見て、『コレ、練習していなかったな』となったんです。だから、この試合が延びた期間で練習してきた流れだったんです」
<この項、続く>