この星の格闘技を追いかける

【Grachan45】岩﨑ヒロユキ代表自ら斬り込む──獅庵インタビュー「母親が亡くなる以上に怖いものはない」

【写真】 この時、獅庵の胸に去来していたものは……(C) MMAPLANET

9月20日(日)に東京都大田区産業プラザPIOで開催されるGrachan45。半年ぶりのイベントとなる同大会ではGRANDウェルター級選手権試合=桜井隆多✖長岡弘樹とともに、堀友彦が返上したバンタム級王座を賭けて伊藤空也と獅庵が対戦することが決まっている。

糸東流空手出身、打撃の勢いを誰もが認めていた獅庵だが、その打撃が荒くなり気味で一時期は黒星を重ねた。心機一転グラチャンに転じ、階級も変え再出発を図る裏で、彼は大切な存在を亡くしていた。

オフィシャルから、岩﨑ヒロユキ代表自らが聞き手を務めた獅庵インタビューをここで紹介したい。
Special Thanks to GRACHAN & Mr.Hiroyuki Iwasaki


──昨年12月大会でグラチャン初参戦しましたが、オファー来た時はどのよう心境でしたか。

「そうですね。最初、坂巻選手でオファーが来たときは、なかなか強い相手を当ててくるなと言う印象でした。強い選手ですし、正直苦手なタイプだったのでビビってはいました」

──ビビっていた?

「初参戦の時は様子見の選手かなと思ってはいたのですが……坂巻選手でしたので(苦笑)。

──私たちとしてはベルト狙いたいと聞いていたので、最初から強い相手のマッチメイクを組んで即戦力として考えていたんです。そもそも中山巧代表も苦手なタイプだなという話はしていましたね。ただし、ここを抜けたら新しい光が見えるんじゃないか──そんな話にもなりました。結果、勝利して中山代表も喜んでいたのではないでしょうか。

「はい。それまでは打撃にこだわって喧嘩みたいに、パンチを振り回すだけで戦って来たのが、あの試合では練習通りの戦い方が出来たので。冷静に戦えました」

──試合のオファーを出した時期は、色々大変だったと聞きました。

「ハイ。2019年9月ぐらいでした。最初の予定の選手から坂巻選手に変更になって、ちょうどその頃、闘病生活が続いていた母が亡くなった時期で。精神的にも落ちてしまい、試合を断ろうかなと思いましたが、今まで親元を離れて大阪に出てきてやっていて、母親が亡くなったからと試合を断るのもどうかと思って。

──お母様は獅庵選手が格闘技をしていることを心配していましたか。

「心配はしていたと思いましたし、辞めてほしかったかと思います。けど、その言葉は1度として辞めて欲しいと言われたことはなかったです。

だから、勝った時は自然と涙がこぼれてきました……。試合中に冷静になれたのも、母親が亡くなる以上に怖いものはない──そんな気持ちで試合に挑んでいたからだと思います。だからこそ、一皮むけて成長につながった気がします」

──次の試合に向けて、現在は誰と練習していますか。

「鍵山選手とか、平日は手塚君(第3第GRACHANバンタム級王者)とも練習していて、ドミネートされまくっています(笑)」

──獅庵選手は空手ベースで、デビュー当時から「天才現れる!」的な期待されていたと思いますが中々良い結果に恵まれませんでした。

「そうですね。当時は減量苦と練習環境があまり整っていませんでした」

──大阪でパンクラス✖ DEEPの対抗戦で、神龍誠選手と試合し敗北。あの時の黒星はキャリアアップに影響を与えたのではないかと。

「今更ですが、試合の1週間前の練習で右耳の鼓膜が破れて手術する、しないの話という状態でした。減量も試合当日に100グラムが落ちなくて……。走って何とか落として、メンタル的にも辛かったです。何より減量が辛かった。もちろん神龍選手は凄く強い選手で活躍もされていますので、それは敗因にはなりませんが。

──その後、フライ級からバンタム級に階級変えましたね。

「階級をあげて自分自身のスピードは遅くなりましたが、フライ級の時は身体に力もあまり入らずフワフワしていたので、下半身に力が入る感じが変わり良い感じです」

──フィジカル的にもバンタム級用に身体を作っている感じでしょうか。

「そうですね。1階級あげたのでフィジカル強化と持ち味のスピードと瞬発力を活かせる戦い方をしたいと考えています。正直、今までにないくらい、精度は上がってきてる感じがします」

──伊藤選手の印象は?

「元々1階級上の階級から落としてきた選手ですよね。しっかり勝ってきている選手なのと。体幹が強そうです」

──タイトル戦後ですが、チャンピオンになると大きい舞台に出ていきたいですか。

「そうですね。出たいですね。盛り上げる自信はあります。日本でも海外でも。ただどこの舞台でも自分のやることは変わりませんし、誰が見ても『アイツ凄いな!』って思ってもらう試合する自信はあるので。それが獅庵の良さと思っていますので、どこでも戦います!」

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