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【ONE】活動再開、ONEアスリートの今─02─ビビアーノ・フェルナンデス<後編>「40歳は40歳!!」

【写真】人生は限りがあるというのは、外から自分を見た場合。自分自身が生きている間を全てと捉えると、ビビアーノのように人生は無限と考えることができるのだろうか(C)MMAPLANET

31日(金・現地時間)にタイのバンコクで活動を再開するONEチャンピオンシップ。5カ月振りのイベント再開を前に、世界各地で非常事態を経験してきたONEアスリートたちは何を想い、どう過ごしてきたのかを尋ねるシリーズ。ONEアスリートの今、今回はビビアーノ・フェルナンデス・インタビュー後編をお届けしたい。

2度のONE世界バンタム級王座獲得で、通算8度の防衛を果たしたビビアーノは、そのONEの再開にあたりモチベーションが左右することはないと断言した。達観した感させあるビビアーノは今、どのように考えて生きているのか。

<ビビアーノ・フェルナンデス インタビューPart.01はコチラから>


──ところでONEチャンピオンシップも7月31日のバンコクから活動を再開させます。この知らせを聞いて、新たなモチベーションを得ることができたのではないでしょうか。

「僕は常にモチベーションを持って生きてきた。大会が再開されることは良いニュースだけど、それによってモチベーションを左右されるほど、モチベーションを持たない人生は送って来なかったよ。

自分の試合が決まれば、その日に戦う。そのことに対してモチベーションは必要ない。その時が来れば戦うだけで、それが幸せなことなんだ」

──キャリアの終盤にきて、自ら王者に君臨するプロモーションの活動がストップなどビビアーノにも予想もできなかったと思いますが、再開のニュースを聞いても特に勢いづくことはないのですね。

「僕はONEチャンピオンシップのチャンピオンだ。MMAの世界王者なんだ。どれだけの間、チャンピオンだったと思う? ずっとベルトを守る立場にいる。9度もタイトルを防衛した。今もチャレンジャーが出てくるのを待つだけだ。イベントが開かれ、防衛戦が決まるのを待つ身なんだよ。大会がないことで焦りなんてないし、再開されるからといって勢いづくこともない。

キャリアの終盤……そう40歳だ。だからって、何もできない。年齢は重ねるだけで、減らすことはできないからね。ファイトはファイト、そして40歳は40歳。人生は長い、ファイトも人生のなかででは一時のモノ。試合を軸に2、3カ月後を考えても、どうなるってモノじゃないんだ。試合だけじゃない、人間は何があっても生き続けるのだから。僕が生きている期間、それは僕にとって永遠なんだ。

ビビアーノという人間が存在する時間は、本人にとって無限だ。ライフはインフィニティなんだよ。来月、試合があるなら戦う。来週でも、戦う。でも、そんな状況じゃないから、機会が巡ってくるのを待つだけだよ。バンクーバーから飛行機に乗って、海外へ行くことができない。だから待たないといけない。誰もCOVID19の行方は分からないんだから」

──確かにその通りですね。

「今、確実に分かっていることは……誰もこの先のことは分からないということだけなんだ。この先、UFCで誰も命を落とす人が出なくて、死者の数が減っていくことを望む。それが、人類の前進を意味することになる。

ONEがイベントを開くことも前進だ。ただし、タイで大会が開かれるならタイ人、タイに住んでいる選手だけの大会になる。仮に日本で大会が開かれるのなら、日本人だけのイベントになる。フィリピンなら、フィリピン人だけ。カナダなら、カナダに住んでいるファイターだけが戦うイベントになる。それが現状に則した、ベストな大会運営だと僕は思っている」

──ところでカナダ在住のブラジル人として、母国の状況をどのように感じていますか。

「ブラジルは色々なことが起こっている。生きていくということは学びの連続で、その姿勢を持たなければならない。ブラジルは大変な状況だけど、そのなかで手洗い、うがいをして、やたらとスキンシップをしない──その現状を皆が学ぶ必要がある。

ブラジルの皆は気持ちの良い人間ばかりだけど、現状においても無頓着がところがあるからね。もっとね、秩序を持たないといけないんだ、今は。皆が謙虚に、これからの世代のことを考えなければならないと思う。それには今、自分自身、ストトリートをもっとクリーンにするという意識は欠かせない。

僕はずっと良い人間になり続けたいと思っている。ここで終わりというのはないんだ。人としてずっと、成長し続けたい」

──ビビアーノ、今日はありがとうございました。再会できる日が訪れるまで、ビビアーノが言ってくれたことを胸に刻むようにします。

「ホント、日本の皆も気を付けて生きてほしい。いつも言っているけど、日本の皆を知ることで、僕は精神的に成長できた。ONEが掲げている謙虚さ、尊敬心、思いやり、自分を律することというのを僕は日本で学ぶことができた。また日本で皆に会いたいと思っている。ありがとう」

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