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【UFC251】ロシアの猛者ボガトフと対戦するレオ・サントス─02─「マイ・ワールド、柔術に──」

【写真】気が付けば11連勝、そして大きな舞台が与えられていないレオ・サントス。自らの柔術への信頼は絶対だ (C)Zuffa/UFC

7月12日(日・現地時間)、UAEはアブダビのヤス島に建設されたファイトアイランドで開催されるUFC251で、無敗のロシアン=ロマン・ボガトフと対戦するレオ・サントス・インタビュー後編。

気が付けば40歳、レオ・サントスは国難──いや惑星難といえる状況下で、金網に入ることが楽しみでしょうがないと言い切った。

<レオ・サントス インタビューPart.01はコチラから>


──ダナがファイトアイランドの計画を口にしたとき、『何をありえない、その場しのぎのことを言っているんだ』と正直なところ思っていました。

「ホント、ソレをやり遂げてしまって(笑)。僕もファイトアイランドの話を聞いたときはクレイジーだと思っていたよ。マナブ、フ〇ッ〇ン・ガイが、ファ〇キ〇・クレイジーなことをしちゃったんだ。アハハハハハ。で、今の気持ちはただダナ・ホワイトに感謝しているよ」

──とはいえ、対戦相手のロマン・ボガトフはキャリア10連勝で無敗、ロシアのM-1チャンピオン。どう考えても、相当な力の持ち主かと。

「確かにタフな相手だよ。無敗のサンボ・レスラー(※実際はレスリング・ベースのMMAファイターで、ロシアのアマMMAで結果を残しプロに転向した)だ。そして、僕との試合で彼は初めて黒星を経験するんだ。そんな機会を得ることができて、凄く嬉しいよ。アハハハ。とにかく僕がオクタゴンの中ですべきことは変わらない。初めて敗北を辛さを味わってもらうよ(笑)」

──ボガトフはウェルラウンダーですが、テイクダウンからパウンド、そしてサブミッションで勝ち星を積み上げてきました。

「今や誰もがウェルラウンダーだよ。それでも彼は僕をテイクダウンしたくはないだろう。グラウンドは僕のホームだ。その部分では、少なからずとも彼に対して自信がある。僕がやるべきことは変わらないよ。マイ・ワールド、柔術に彼を引き入れることだ。そしてハイレベル柔術を身をもって知ってもらう。もちろんファイトだから、何が起こるかは分からない。でも自信はあるよ」

──しかし、ホイラー・グレイシーをムンジアル決勝で追い込んだティーン・エイジャーも、気が付けば40歳になりました。

「いいかい? 僕の2020年はずっと家にいて少しもアクティブじゃなかった。何も起きないままだから、まだ39歳のままなんだよ。アハハハ」

──最高ですね、その考え方は(笑)。

「でもホイラーと戦ってから21年か……思えば、本当に長い間、最高の旅を続けてきたよね」

──シャオリン・ヒベイロ、レオ・ヴィエイラ、そしてマーシオ・フェイトーザ。レオと共に私に競技ブラジリアン柔術の凄さを見せてくれたメンバーは、皆一戦から身を引いて何年も経ちます。もちろん年齢が一番下だったことはありますが、レオ・サントスは未だに金網のなかで戦っている。何がレオをそうさせているのでしょうか。

「なぜだろうね……。凄く難しい質問だよ。正直、多くの人が僕に引退について尋ねてくるよ。でも、僕には答えようがない。だって自分でもただ楽しくて、好きで戦い続けてきているから。

きっと、そこは年齢じゃないんだよ。気の持ち方だ。練習に向かう時から、僕はしっかりと心の準備をしてきた。ノヴァウニオンには若くてハングリーな選手が揃っている。そういう若い連中は練習で、本気になって僕を仕留めに掛ってくるんだ。アイツらは容赦がないよ。アハハハハ。

僕はノヴァウニオンの若いファイターたちと同じレベルでスパーリングに臨まないといけない。自分の試合の前に、彼らに簡単に追い越されないように努めている。その方が僕にとっては大切になってきているんだ。

彼らにパンチを貰い続け、柔術で仕留められるようになったら──それこそ僕が身を引く時だろう。でも、まだそんなことない。皆との練習も試合も楽しんでいるよ。

シャオリンやレオ・ヴィエイラ、マーシンには彼らの人生があって、選択がある。だから彼らが早々に一線から身を引いた理由は分からない。彼らと僕を比べる必要もないし。今でも僕は自分のアカデミーも持っていない。ただ練習しているだけでね(笑)」

──レオ・サントスがアカデミーを開ければ、指導を受けたい人間はいくらでもいるはずです。

「実は米国でアカデミーを開く話もあるんだ。でも、COVID19でこれからどうなるかは分からない。確かなことは、僕は自分のキャリアを楽しんでいたいんだ。来年になると、試合に向けての練習や減量に耐えられなくなるかもしれない。そうなれば引退だよ。

でも今、世の中がこんな風になって、僕らの国は特に酷い状況になっているなかで、僕自身も感染することに恐怖を感じつつ……試合に向けて練習すること、ファイトアイランドで戦うことが楽しみでしょうがないんだ。

『レオ・サントスはもう年寄だ』とか、『絶対にチャンピオンになれない』という声も聞こえてくるよ。でも、気にならないんだ。そんな声なんてケージのなかで戦うことの楽しみと比較すれば何でもないから。戦って、金を受け取って、家に戻る。アハハハハ。凄く楽しいよ」

──そして、実際に現状で11連勝中でMMAファイターとしても17勝3敗という素晴らしいレコードを残しています。

「僕のMMAファイターのキャリアは、修斗でのタカノリ・ゴミ戦から始まった。デビュー戦がリアル・サムライとの試合だった。実はUFCには何度も、タカノリ・ゴミと戦いたいとリクエストしていたけど実現しなかった」

──今でも覚えていますが、あのデビュー戦後にレオもデデも判定に不満そうでしたね。

「今では納得しているよ。あの試合は僕の負けだ。だから、強くなった僕がタカノイ・ゴミともう一度戦いたかったんだ。戦極ではチャンスがあったのにね……」

──それは敢えて聞きますが、納得できない負けがあったということですか(笑)。

「アハハハ。カズノリ・ヨコタ戦だね。あの試合は負けていない。それは今でも思っている。でも、もう気にしていないけどね(笑)」

──ドローのジャッジがマストを選ぶと、プロモーターの顔色が窺うのだろうと私も思いましたね。1票がレオ、2票がイーブンのマストで横田選手に。なら格闘技の強さを測るうえで、イーブン&マストより1票の方に重きを置くべきだと。

「もう10年以上も昔の試合だよ。それをそんな風に言ってくれて、ありがとう」

──あの試合を落としていなければレオの連勝は17で驚異的ですからね。

「アハハハハ。本当だ!! 次の試合でも勝てるようにベストを尽くすよ。そして、また日本に行きたい。僕の声を日本の皆に届けてくれて、ありがとう」

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