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【UFC ESPN12】大勝、佐藤天に訊く──これから─02─「誰と戦いたいとかは考えていない」

【写真】写真はベガスのスーパーマーケットでの佐藤。感染予防は、地元に戻っても欠かせない (C)ON THE ROAD MANAGEMENT

27日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで開催されたUFC ESPN12「Poirier vs Hooker」でジェイソン・ウッドを破った佐藤天インタビュー後編。

48秒の戦いの中で、考え、イメージしてきたことを実行しKO勝ちした佐藤は、拠点となるフロリダに戻った。いち早く経済活動を再開させ、ジムでのチーム練習が可能になった彼の地だが、今や再びCOVID19が猛威を振るうようになっている。

そんな地元で佐藤は日本のMMA界では考えられないようなバックアップを受け、気持ちを切らすことなく次戦を見据えていた。

<佐藤天インタビューPart.01はコチラから>


──今回、無観客大会を始めて経験しました。

「雰囲気は違いましたけど、試合の入りの時点では空気の硬さを感じました。それで自分自身はフワッとしている感覚もありました。でも試合が始まったら、関係なく戦えましたね。

ただファンの歓声によって選手が頑張れることがあるのは絶対なので、言ってもしょうがないですが──一番はお客さんが入っているなかで、歓声を受けて戦いたいです。

今回はKO勝ちできて凄く嬉しかったのですが、試合後の空気は微妙で。静かだから、なんか騒げなかったです(笑)」

──勝利者インタビューで英語が凄く上達していましたね。

「そうですか? ありがとうございます(笑)。興奮してしまって聞かれていることは分かっていたのですが、途中から言葉には出せなくなりました(笑)」

──いや素晴らしいです。インタビューとか、なかなか委縮してしまって英語で話すのが恥ずかしくなったりするじゃないですか。

「そこはチームに色々な国の人間がいて、発音もアクセントも皆が違いますしね。スペイン語やポルトガル語圏の人間が、平気で間違えても英語でコミュニケーションを取っていますし。自分も間違えて良いから、積極的にどんどん話そうという姿勢を学ばしてもらいました。

それに外国人が英語を間違えても、誰も気にしないでしょうし。だから、どんどん話そうって思うようになれましたね」

──いやぁ、その開き直りというか強心臓は大きな武器ですね。

「アハハハ」

──ところでフロリダに戻ったとのことですが、経済活動が再開し感染者が大幅に増えていますね。

「そうなんですよね。チームメイトも体調が悪くなると、すぐに検査を受けていて、これまで陰性だったのですが……。これからはどうなるのか、本当に分からないですからね。フロリダはヤバイですね。

陽性でも無症状というケースが本当に多いみたいですし、これからはPCR検査を受けて練習をするようになっていくのかなと思います」

──チーム名にもなっているサンフォード……、サンフォード・ヘルスは遠隔治療の最大手で、4月には1日に1600人以上が利用するようになったと記事で読んだことがあります。

「病院の数も多いようですし、来月(※7月)からはケガをして手術が必要になったり、疾患があってもサポートしてもらえるようになるようです。ドクターの派遣や、離れた病院に行く必要があるならフライトも用意してくれるという話も聞いています」

──それは凄い話ですね。

「だからPCRもチームの皆はやることになりますし、ケガで手術が必要になっても費用も掛からないようになっていくようです」

──いやぁ、もう最高の後援部隊が控えているようなモノですね。ここまでフロリダは一足先に経済活動を再開したことで、UFCに出場している選手を見ても確実にアドバンテージがありました。

「ハイ。自分もこの間の練習で、ロックダウン前から調子が落ちたことはなかったです」

──ただし、今では州全体で感染者が増えている。そのなかでCOVID19だけでなく他の治療や疾患に対して、手厚いサポートがあるということは、サンフォードMMAで練習するアドバンテージは測りしれないですね。

「確かに他の州の選手よりも、フロリダのジムの選手はコンディションが良かったと思います。そんななかで僕は家とジムの往復だけだったのですが、街の雰囲気は経済活動再開とともに『じょう大丈夫』みたいな空気になっていたのは確かです。ビーチにどんどん人が集まって、そういう感じでしたしね。本当に気を付けないといけないです。

またロックダウンではないですが、規制緩和をしていたのが再強化されるようですが、そんなかでサンフォード・ヘルスのバックアップは、大きな強みになります。それにUFCからのオファーにも応えられない選手もまだいますし、状況的に今はチャンスだと思っています」

──この大勝を受けて、次の試合の時期や対戦相手に関してはどれぐらいの選手と戦いたいという気持ちがありますか。

「すぐに戦えますというのはUFCにも伝えています。とりあえずヘンリーがフロリダに戻って来たから、また話をして決めたいですね。僕自身はすぐに練習できる状態です。ファイトアイランドでも決まれば、行きます。だから、今回と同じように気持ちを切らさず、練習を続けようと思います。

相手に関しては、1度名前が挙がったティム・ミーンズは格上ですし興味はあります。ただ、誰と戦いたいとかは基本的に考えていないです。もう、話があれば戦うという感じで」

──今、ベラル・モハメッドと戦ったらどうなると思っていますか。

「もちろん、もう1回やったら勝つつもりでいます(笑)。今からすれば、去年の9月に彼と試合をしたのですが、夏にサンフォードMMAに合流したばかりで、環境に馴染めていなくて迷いながら作ってしまったと思います。それもあって足が動かなくなったり、頭も堅かった。

あの時と比べると、ずっと頭も柔らかくオープンになったので、感覚的にも良くなっていますし、ああいう試合にはならないです」

──まだまだ通常のUFCではないですし、だからといって今年の2月以前のような状況に戻るにはどれほど時間が掛かるか分からないです。だからこそ、チャンスが転がっているという見方ができるかと。

「やっぱり練習できない選手は多く、万全でなくても試合を受けるようなこともあるみたいですしね。僕は与えられたチャンスをしっかりと生かすだけです。ケガがあれば考える必要がありますが、少し休んでまた戦える状態をすぐに創ること。それが現状で最も必要なことで、ベストな選択です。

時期、相手ではなく、自分を創る。そしてこの環境が今回の結果が繋がったので、次もそうしたいですね」

──ともあれ色々とあったファイトウィークですし、少し気持ちの方を休ませてあげてください。

「まぁ貴重な経験をさせてもらいました。試合前から良い経験ができると思っていたので、そういう気持ちでいることができたのも良かったのでしょうし。これからも同じようにやっていきたいですね」

──さすが強心臓、強い胃の持ち主です。

「アハハハ、試合後は焼肉を3時間ぐらい食い続けていました(笑)」

──胃が強いのは、強い人間の証です(笑)。次の試合、さらに期待しています。

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