【Shooto2020#03】草魂か月見草か、手塚基伸が安藤達也と対戦。コントラストMMAの行方は──
【写真】MMAファイターとして、正反対にいる手塚と安藤──だが、年齢は3歳ほどしか違わない(C)MMAPLANET
24日(月)、Sustainより3月29日(日)に東京都文京区の後楽園ホールで開催されるプロ修斗公式戦で手塚基伸と安藤達也のバンタム級戦が組まれることが発表されている。
修斗世界フェザー級選手権試合=チャンピオン斎藤裕✖挑戦者デュアン・ヴァンヘルフォートが行われる同大会で、激戦区バンタム級のサバイバルマッチが決定した。
まさに今日──25日(火)に大阪市鶴見区の横堤に自らのジム=シークレットベースドミネートの道場開きを迎える手塚。国内主要MMA大会をほぼ網羅してきた、彼の格闘家人生は15年を過ぎ、昨年6月から参戦するようになったプロ修斗で現在3連勝中だ。
打撃&スクランブル全盛の現代MMAにあって、下になることも辞さないグラップル主体の戦い方は、世界的にはほぼ絶滅危惧種といっても過言でない。
対する安藤は大学レスリングから米国修行を経て、MMAデビューした典型的なレスリングの強いストライカーだ。いってみると相手と殴る、倒すという点において安藤は手塚よりもずっと本能に従って動くことができるに違いない。
対して、手塚の相手を仕留めるという動きは長年の練習で培ったモノ。長い年月を積み重ね、決して強者でない人間が勝てる術を身に着けてきた。とはいっても、グラップリングを跳ね返す体力と打撃の破壊力を持つ相手との戦いは、手塚にとって鬼門と言えるのも事実だ。その努力の結晶を木っ端みじんにできるだけの力を安藤は有している
テイクダウン防御の長けたレスラーがパンチを使いこなすということは、手塚にとって高い城壁から大砲を打ち込まれるようなもの。大砲を避けて、城壁までたどり着いてもここからの攻略も簡単ではない。
そこを磨いてきた手塚にとって、上を取ってからもまた用意ではない。というよりも、ここからが現代MMAがグラップラーにとって最大の難所となっている。今やMMAは寝技でトップをとっても、上半身をしっかりと抑えてコントロールしようものなら──ブレイクが掛かる。かといって勢いのあるパンチを落とそうとすれば、スペースができて下の選手はスクランブルに持ち込める。
短距離とはいわずとも、障害物のある中距離トラックのような戦いといえるMMAにあって、手塚のMMAは重しを背負って長距離を走りつつ、矢を打つもの。ただし、手塚の矢=肩固めは、抑え込みと絞めの融合技で──どのタイミングでも試合を終わらせることが可能だ。
昨年9月に岡田遼の持つ環太平洋王座に挑戦して連勝は5で途絶えたといっても、そこはチャンピオンとドロー──。最大激戦区のトップである安藤と、32歳にしてキャリア55戦目を迎える手塚の何もかも対照的なコントラストMMA、こういう対決こそMMAの妙が見られる可能性が高い。