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【Special】月刊、青木真也のこの一番:番外編─コールドウェル✖堀口恭司「誰もができる手法でない」

Caldwell【写真】青木らしいコールドウェル✖堀口恭司論、いや堀口恭司論が聞かれた(C)BELLATOR & MMAPLANET

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。そんな青木が選んだ5月の一番、番外編は14日にニューヨーク州ニューヨークのMSGで開催されるBellator22で組まれたダリオン・コールドウェル✖堀口恭司について語ってもらった。


──5月の月刊青木、青木選手の自らの試合があった月はここで当人に試合を振り返ってもらうのが恒例となっています。

「ハイ」

──ただし、今回はファイト&ライフの6月23日に売りで、青木選手が自ら「あの腕十字が極まらなかったのか?」を実演してくれるという記事が掲載されるので、これ以上我々の間であの試合を振り返るのもどうなのかと。

「いやぁ、酷な取材……リクエストですよ(苦笑)。受けますけどね」

──本当に感謝しています。そこでここでは青木選手にダリオン・コールドウェル✖堀口恭司戦について話を伺いたいと思います。

「あぁ……そこに来ますか」

──RIZINでコールドウェルに勝利した堀口選手が、コールドウェルの持つBellator世界バンタム級王座に米国で挑戦する。これは凄いことではないかと、そして青木選手がどう捉えているのかを教えてほしいと思いました。

「凄いことなんだろうけど……別の世界観、別の国の話にしか見えなくて。凄いんだろうけど、あまり伝わってこないんですよね」

──別の世界、国だからこそ金字塔ではないでしょうか。あのマジソン・スクエア・ガーデンで日本人がベラトール王座に挑戦するというのは。しかも、ベラトール配下でない堀口選手が。

「MSGかぁ……ごめんなさい、そこは……NYとかラスベガスってことに僕はあまりこないんですよ」

──MSGも、ですか。サルバドル・サンチェスが最後の防衛戦を行った──という部分で、私は個人的に異様な思い入れがあるのかもしれませんが……。

「あぁ、ボクシングですね。僕はアメリカのボクシングが何でもないし。プロレスで──、プロレスでもWWEじゃない。頂点が新日本プロレスだったんですよ……憧れたモノが」

──でもMSGシリーズやMSGタッグリーグ戦もありましたが……。

「古い(笑)。オリンピック・オーデトリアムとか、あのあたりなんです(笑)。ただ、堀口選手は役者として完全に一つ越えましたよね」

──そういう部分と同時に、今の堀口選手の強さをどのように捉えていますか。

「だからこそ2回目がどうなるのかってことですよね。オッズがどうなるのか、気になりますね」

──米国のファンがどう見るのか? 前回一本勝ちした堀口選手か、ケージという舞台で戦うコールドウェルか。堀口選手はロープという不安な場所でありながら、ウィザードでコールドウェルにバックに回らせなかった。なかなかできないことではないかと。

「凄いことですよね。それでコールドウェルが、最後は疲れてしまったわけですからね。自分が攻めていながら。凄いです。それがケージになると、コールドウェルはもっと武器があるかもしれないし。で、オッズという信頼感をどこまで堀口選手が得ることができているのか。

前に勝っているのに、コールドウェルにつくのか。そこが気になりますね。堀口選手は完全にアスリートで、格闘技の本質を行っているんですよ」

──それはどういう意味ですか。

「強いから、できる。言い方は悪いけど、強いからできるだけ。北岡さんが良く言っている言葉ですけど……堀口選手は常軌を逸したことをしていますよ、強いから。だから……、これも言い方が悪いけど、誰がインタビューをやっても同じだと思うんです」

──……。鋭いです。堀口恭司という選手は、言葉で何かを掘り下げる必要などなく、戦っていることが全てなのかとUFC時代に取材をさせてもらいながら感じていたことです。

「ですよね。誰が聞いても内容が同じです」

──UFCのプレビュー番組でタレントの中村アンさんが堀口選手にインタビューをしていて、「俺もこれぐらいしか聞くことができていない」って思いました(苦笑)。

「だと思いますよ(笑)。強いんだから。だってインタビューで自分をさらけ出す必要がないですからね。出さないですよ、自分を。だから怖いんです。強さだけを求めているから、言葉は要らない。UFCの選手って、そういうこと多くないですか」

──う~ん、UFCは伝えられた方がそうで、もう仕事して取材をこなす選手も多いですし。ただし、ジムなどで話を聞くと、やはり格闘技好きが伝わってくることも多かったと思います。

「そうか、そういうインタビューがUFCではなくて……。日本的な聞き方がないですね、向こうでは。凄くキレーな受け答えに終始するような感じですもんね。それは面白くないですよね。

堀口選手はそっちで、強いから。ただし、それこそ誰もができる手法でない。強さだけで、ここまで来た。だからATTとか、マイク・ブラウンとかが合ってさらに強くなったかと。マイク・ブラウンと組んで強くなる日本人、その手法は普通はないです」

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