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【ONE73】10カ月振りの試合、イブ・タン戦へ──安藤晃司─01─「イニチアチブを握る試合では……」

Ando【写真】インタビューでも実に誠実に丁寧に一つ一つの質問に応える。一足飛びのなさが、こういうところにも出ている安藤だ (C)MMAPLANET

23 日(土・現地時間)、中華人民共和国マカオ特別行政区のザ・スタジオシティ・イベントセンターでONE73「Pinnacle of Power」が開催される。

同大会に日本から安藤晃司が10カ月振りにサークルケージに登場し、イブ・タンと戦う。Road FC、Legend FC、そしてONEといち早くアジアを目指し、唯一無二といって過言でないMMAファイターを歩んできた。

そんな安藤の1日をameba TVが制作するドキュメンタリー番組= ONE DAY が追った。そしてMMAPLANETではジム経営&プロフェッショナルファイターと二足の草鞋を履くが故の苦労と、そこを乗り越えて来た工夫について尋ねた。


──安藤選手は自らの城であるNEVERQUITEで練習することが殆どだと思いますが、イブ・タン戦に向けてはいかがでしょうか。

「ほぼ100パーセント、ここでやっていますね。ジムワークやスパーリング以外に、午前中にラントレを家の近くの階段で1時間ほどやるぐらいで。ウェイトも器具が揃っているので、ここでできますからね」

──今日のジムの若い選手との練習を見させていただいたのですが、練習相手を育てるだけでなく、ミットの持ち手も育てているように見えました。

Padding「そうですね。ミットを持つのが上手いと、打撃も上手いと絶対に思います。持ったことがないだけで、感覚とか相手の動きとか掴めるので、打撃が上手い人でミットが下手な人はいないと思います。なので、僕の感覚を若い子に理解してもらうためだけじゃなくて、ミットを僕が持ち、彼らに持ってもらうことで伝えていくことができれば思っています。

正直、彼らとはまだガチガチのスパーリングはできないですからね。そして今はISAO選手が眼窩底骨折で打撃のスパーリングはできないのですが、HEARTSの江藤(公洋)君やUファイルキャンプの濱岸(正幸)さんが毎週金曜日に来てくれて。濱岸さんは仕事終わりに月曜日の夜まで練習相手を務めてくれています」

──そんなお世話になっている人を週に2度も人間サンドバッグにしているのですか(笑)。

「違いますよ(笑)。月曜日は組み中心の練習相手をしてくれて……その人間サンドバッグはやめてください(苦笑)。でも、本当に濱岸さんと江藤君には助けてもらっています。それとPFLに出ることが決まった川名(英生)君も、家も仕事場も遠いのに出稽古に来てくれています。そういう意味ではスパーリングは、集中してしっかりと5Rや6Rできています。

それと今日のようなウチの若い選手と練習していますが、試合前は彼らへの指導というよりも、やられて覚えてくれという感じになってしまいますけどね(苦笑)」

──いや、でも随分と安藤選手の考えが伝わるマスやミット打ちだったと思います。

「結局は選手それぞれの持ち味があるので、自分のやり方を全て事細かに指導してもしょうがないと思うので。自分も細かく教えてもらっても、アジャストできないということが以前にありました。

ただ、肝となる部分を教えることができればと思います。で、彼らが自分でアジャストしてくれればと。僕は彼らになったことはないし、彼らの動きは分からないですからね。彼らもダメ出しをしても何がダメか分からないでしょうしね。打撃は、人それぞれの感覚がありますからね」

──安藤選手が打ってこいと叱咤し、そこで懸命にプレッシャーを打ち勝って打つ。でも、カウンターだって飛んでくる。そこで一言、二言のアドバイスが理に適っていたと思いました。

「ありがとうございます(笑)。マスでやると遠慮するけど、じゃあ対戦相手に遠慮するのかってことですから」

──そこも自らの経験に戻づいた指導方法なのでしょうか。

「いや……僕は結構、遠慮しない方だったので(苦笑)。慧舟會でも『安藤は……』と思っている先輩はいると思います(笑)。練習になると先輩も後輩もないって考えでしたからね。まぁウチの若い子も4、5人ほどプロになったので、頑張ってついてきて欲しいですね」

──ジムを開いて、1年9カ月でそこまで来ましたか。

「9月で僕の名義になって2年なのですが、それ以前から来ていた子もいますので。ジムの方も最初は会員が20人ぐらいだったのが、今はなんとか増えてきました。それでも、ジム経営の皆がそうなんしょうけど、毎日が不安ですけど(笑)」

──ファイターとの両立は簡単ではないと思います。ジムを開くと、どうしても試合から遠ざかることが増えますし。

「両立というかセットですね。どちらかを手を抜くということは、できない性格なので。試合に出る以上、追い込まないと……ただ体重を作ってケージに入ることはできないです」

──ジムを開いてから年に1度という試合間隔になってしまっています。それはブランクとして捉えることができるかと思うのですが。

「影響はあると思います。ティモフィ(ナシューヒン)戦も、僕のなかではリズム的に悪くなかったのですが、崩せている感覚で戦ってしまって。被弾せず、テイクダウンしているからという感じで戦うと、やはりONEという場ではジャッジの支持を得ることはできない。その感覚を思い出せなかったという部分ではブランクもあるのかと。

実力が落ちたとかは全くないです。パワーもスタミナも数値的に上がっているし、技術的にも落ちていない。ただ、感覚のズレがあり、ハファエル・ヌネス戦やゾロ(ソロバベル・モレイラ)戦とは感覚が違っていた部分はあると思います」

──正式発表はなかったのですが、もともとこの試合は5月26日に予定されていた上海大会、そして16日の北京に変わり、さらに23日のマカオ大会となった経緯があります。

「(苦笑)。上海は前に渡航前日にキャンセルがあって、その苦い思い出があるので、マネージャーには何度も大丈夫ですかって尋ねていました。今回はまぁ流れたのはかなり早目に分かったので、まぁ良かったです。

それでも試合で僕が道場を空けるというのは、誰かに代行してもらったり、閉めるというスケジュールの管理に関係しているので、そこはやっぱり厳しいです。選手は弱い立場なので、あまり強くは言えないですが、シンガポールやフィリピンだとまずイベントはなくならない。だから中国でなく……というのは、ありますね(苦笑)」

──そういうなかでイブ・タンという対戦相手にはどのような印象を持っていますか。

「ONEで成長した選手だと思います」

──Legend FCからONEという安藤選手と同じキャリアの積み方をしています。

「何回か同じイベントで戦っていますしね。正直、レジェンドの時はそんなにっていう選手だったんですけど、ONEに出るようになって、マレーシア系のニュージーランド人ということで、ナショナルスターになり力をつけたと思います。ONEの敷いたレールに上手く乗り、結果を残していますよね。

エドゥアルド・フォラヤンと遜色ない試合をしていますし、ひけを取った試合ではなかった。そういう意味ではしっかりとした実力のある選手です」

──瞬発力が上がったように見受けられます。一つ一つの動きが速くなったような。

「そうですね。ONEというフィールドもあるので、上手く戦ってこっちがイニシアチブを握るという戦い方をしてしまうと、まぁジャッジは僕を支持しないので。正直、アリエル・セクストンとの試合もう~んと思いましたし」

──ジャッジがイブ・タン贔屓だと。

Tan vs Sexton「セクストンの戦い方も雑でしたが、僕はセクストンが勝ったと思いました。あれでイブ・タンにつくのであれば、パンチを少し当ててテイクダウンを取ってイニシアチブを握るという試合では、僕の手が挙げられることはないとは思っています。

だからといって行程を飛ばしてフィニッシュする選手でもないので、全てドミネイトしていくしかないですね」

<この項、続く

■ONE73対戦カード

<ONE世界フライ級王座統一戦 (※61.2キロ)/5分5R>
[正規王者]アドリアーノ・モライシュ(ブラジル)
[暫定王者]ゲヘ・エウスタキーオ(フィリピン)

<ONE世界女子ストロー級選手権試合(※56.7キロ)/5分5R>
[王者]シィォン・ヂンナン(中国)
[挑戦者]ラウラ・バリン(アルゼンチン)

<67キロ契約ムエタイ/3分3R>
ペットモラコット・ウォー・サングラパイ(タイ)
ファブリシ・フェアテックス・デラノン(ギアナ)

<ライト級(※※77.1キロキロ)/5分5R>
イブ・タン(ニュージーランド)
安藤晃司(日本)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
ジャダンバ・ナラントンガラグ(モンゴル)
エドゥアルド・ケリー(フィリピン)

<ムエタイ・フライ級/3分3R>
レジラ・プーケットトップチーム(タイ)
ソク・ティ(カンボジア)

<キックボクシング・ヘビー級/3分3R>
アラン・ンガラニ(香港)
タリック・カブアベス(オランダ)

<ムエタイ・フライ級/3分3R>
ルイ・ボテーリョ(ポルトガル)
小笠原裕典(日本)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
リー・カイウェン(中国)
ロディアン・メンチャベス(フィリピン)

<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
マ・ハオビン(中国)
ダニー・カンガド(フィリピン)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
マリオ・サティア・ウィラワン(インドネシア)
リン・サロス(カンボジア)

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