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【ONE73】10カ月振りの試合、イブ・タン戦へ──安藤晃司─02─「格闘技は嘘なくやっていきたい」

Ando【写真】安藤の視線の先で、NEVERQUITの若い選手たちがスパーリングを行っている。これが彼の格闘道だ(C)MMAPLANET

23日(土・現地時間)、中華人民共和国マカオ特別行政区ザ・スタジオシティ・イベントセンターで開催されるONE73「Pinnacle of Power」で、イブ・タンと10カ月振りの実戦に挑む安藤晃司。

安藤の1日をameba TVが制作するドキュメンタリー番組= ONE DAY が追った。MMAPLANETでは引き続きジム経営&プロフェッショナルファイターとして安藤の話を聞き、ONEで戦ううえで知っておくべき点をレクチャーしてもらった。

<安藤晃司インタビューPart.01はコチラから>


──安藤選手はあれだけ打撃の圧力があるのに、打撃でイニシアチブを取るのではなくテイクダウン勝負というファイトもします。それが全局面でということなのでしょうか。

「打撃でいけるならいきたいです。ただ、ナシューヒンとかって打ち合ってこない。打ち合ってくれない。僕はロングレンジでなくミドルからショートで、彼も同じレンジです。ゾロもそうだし、レジェンド時代で言えばロブ・ヒル、それにジャダンバ(ナラントンガラグ)もそうですね。それなのに、そのレンジで打ち合ってくれない。

特にジャダンバやナシューヒンは一発強いパンチを打って、それで離れる。ナシューヒンとの試合は下がっているから判定で負けたと指摘されたことがありましたが、下がっているのはナシューヒンです。僕が圧力を掛けている」

──つまり一発バンと打って、離れた方が印象点を稼げてしまっていると。

「ハイ、その通りです。特に一発だけの攻撃力の高い選手は有利だと思います」

──レンジが合ったのはロジャー・フエルタ戦ですか。

「あの試合は距離が合いました。フエルタはミドルからショートで打ち合うので、僕からテイクダウンを仕掛けることはなかったです。彼と違い、出てバンと打って下がる選手と戦うと、ボクシングのように12Rある戦いだと、プレッシャーを掛けていれば良いのですが、MMAではそうでないのでテイクダウンにいく必要が出てきます」

──本来、テイクダウンからも強いですが、しっかり削ろうと思うと、ONEではいつブレイクが掛かるか分からないというのもありますね。

「テイクダウンをして抑え続けることはできますが、レフェリーが試合を動かすことを前提しているので、初回にアクションが掛かるような試合運びを見せると、それ以降はせっかくテイクダウンを奪っても、そこから試合を動かさないと悪い印象を残してしまうようになります」

──「ゴー・トゥ・フィニッシュ」という声は怖いですよね。

「あれは焦ります。そうなるとパウンドを打ちにいき、スペースを与えて立ち上がられるリスクが上がってしまう」

──ジャッジの印象点を得るためには、上体を起こして勢いのあるパンチを打ち込む必要が出て来る。そうするとスクランブルに持ち込まれやすい……。

「逆にテイクダウンされた方はしがみつき、立ち上がることだけを考えれば良くなります」

──そうなると、先ほど言われたようにテイクダウンから先に進めない。「ゴー・トゥ・フィニッシュ」という声が掛かる。そのうえ、テイクダウンはレスリングでファイトではないという低評価まであります。そういうなかで先輩、岡見選手が4月のディエゴ・リマ戦で見せたコントロールの連続はお手本になりませんか。

「岡見さんは本当に凄いです。もう吹っ切れているというか……。と同時に、岡見さんの組み力だからこそ可能になってきます。あの組み力の強さはあり得ないレベルです」

──同じことはできない?

「う~ん(苦笑)。岡見さんと比較すると、打撃からテイクダウン、グラウンド・コントールがまだ巧く繋げられていないです」

──なるほど。あとONEは大会によってブレイクのタイミングが違う。そこも怖いですね。国によってなのか、グラウンドが続く場合と、そうでないケースが極端すぎるぐらいあるかと思います。

「試合によって違いますよね。あと、基本ストップは遅いですよね」

──タイトル戦などは、自分たちの陣営の判断で止めることを推奨しています。レフェリーのストップではなく。そういうなかで今、日本ではONEの影響力が増しています。新しい選手も多く契約し、アベマティーヴィーでの配信があって、脚光の浴び方が違ってきています。

「正直な話、新しい選手に注目が集まるでしょうね(笑)。ただファイターである限り、自分の強さは証明したいです」

──アジアでやってきた先駆者としても?

「いえ、アジアでやってきてこれで注目されるようになって、嬉しいとかっていう気持ちも特にないですし。ただ、ONEは条件面でも考えてくれていますし、僕がジムの運営があるので試合を受けないでいても、そこも許容もしてくれました。試合がないという話が広まっていましたが、僕の場合はそういう背景もあってのことです。

ショートノーティスでのオファーを受ける覚悟があれば、契約は消化されていくはずです。僕はジム経営とファイターとして歩行しているので、両足で歩まないと動けないんですよ。

ファイターとしてアガったとは思っていないです。ただ33歳になり、考えることもあります。コンスタントに試合が組まれないのは、僕の都合でもあるし、何があっても戦うならちゃんとしたコンディションで臨みたいので。色々と苦労はありますが、僕はそれでも生きていく上でやりたいことをやっている」

──やりたいことをやるのは大切というか、素晴らしいです。それで食っていけるなら。

「実は昨年の暮れに母が癌で他界しました。8月の5日にナシューヒンと試合をして、6日に帰国。そして11日だったか、父親から連絡がきて『オカンが入院した』と。それまで普通に働いていて、月に一回の血液検査だって受けていたし。それなのに末期癌、ステージ4だったんです」

──……。

「そこで寿命は3カ月と聞かされたのですが、ほぼその通り12月の19日に亡くなりました。だからといって、次の試合を母親のために戦うとか言うつもりはないです。母には天国があるならゆっくり休んで欲しいだけで。試合は自分のために戦います。と同時に、母が亡くなってから最初の試合ですし、思うところはあります。

何より母の件で、誰もが明日にでも余命宣告があるかもしれないということを知りました。母は63歳でしたし、今の高齢化社会だと死を直接見つめることはなかったと思います。入院しても家に戻って来られると思っていたはずです。

だからといっても試合内容が変わるとか、そういうことはないです。ないですが、母の死を通して気持ちの変化は多少はありました。

だからこそ、悔いなくやりたい。僕は何事に関しても清廉潔白な人間とは言わないですけど、生きていくうえで格闘技は嘘なくやっていきたい。ジムのことでも、指導でも。妥協なく練習もやっていきたいと思っています」

■ONE73対戦カード

<ONE世界フライ級王座統一戦 (※61.2キロ)/5分5R>
[正規王者]アドリアーノ・モライシュ(ブラジル)
[暫定王者]ゲヘ・エウスタキーオ(フィリピン)

<ONE世界女子ストロー級選手権試合(※56.7キロ)/5分5R>
[王者]シィォン・ヂンナン(中国)
[挑戦者]ラウラ・バリン(アルゼンチン)

<67キロ契約ムエタイ/3分3R>
ペットモラコット・ウォー・サングラパイ(タイ)
ファブリシ・フェアテックス・デラノン(ギアナ)

<ライト級(※※77.1キロキロ)/5分5R>
イブ・タン(ニュージーランド)
安藤晃司(日本)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
ジャダンバ・ナラントンガラグ(モンゴル)
エドゥアルド・ケリー(フィリピン)

<ムエタイ・フライ級/3分3R>
レジラ・プーケットトップチーム(タイ)
ソク・ティ(カンボジア)

<キックボクシング・ヘビー級/3分3R>
アラン・ンガラニ(香港)
タリック・カブアベス(オランダ)

<ムエタイ・フライ級/3分3R>
ルイ・ボテーリョ(ポルトガル)
小笠原裕典(日本)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
リー・カイウェン(中国)
ロディアン・メンチャベス(フィリピン)

<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
マ・ハオビン(中国)
ダニー・カンガド(フィリピン)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
マリオ・サティア・ウィラワン(インドネシア)
リン・サロス(カンボジア)

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