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【ONE】青木真也<03>「信頼というモノを他人に求めてはいない」。「僕は歪なんです」

Shinya Aoki【写真】青木ワールドを突き進んだ今回のインタビュー。折り返し地点を迎えた (C)MMAPLANET

青木真也ロングインタビュー第3弾。前回のインタビューで怖いモノがないと語った青木に、その真意を尋ねると──彼が持つ独特の感性に満ちた言葉が発せられた。もはやMMAファイターへのインタビューの域を越えつつある青木の話はどこまで発展していくのか。

<青木真也インタビューPart.02はコチラから>


──怖いモノがないというのは、生きていく上でということですか。

「2年ぐらい前かな、Numberのインタビューで本田圭佑が『金がなくなっても怖くありません』って言っていて。僕は信じられなかったんです。なんで、そんなこと言えるのかって。でも、今は怖くない」

──無一文になることが?

「ハイ。嫁さんと離婚して、子供と全財産を向こうに持っていかれても怖くない。青木真也でいれば、飯が食える。10年やってきて、今、無一文になってもまた自分が食っていける分ぐらいはなんとでもなる。そういう部分も含めて怖さがないんです」

──私が思う青木選手の特異性は、お金が無くなることを引き合いに出すのに奥さんや子供さんも自分の前からいなくなることを平気で口にできる点です。私は家内や子供たちが自分の前からいなくなることの方が怖いですから。

「マジですか?」

──金銭云々よりも、家族を失う方がずっと怖いですよ。

「僕はそれ違うな。嫁にも話していて、『あなたにはあなたの人生がある。子供には子供の人生がある。僕には僕の人生がある』って言っています。だから、極論をいえば好きにしろって思っていますよ。

子供の学費は全部用意するし、家族を保つための金は全部出す。でも、嫁は嫁の人生を生きるべきだから、好きにすれば良いと思う」

──奥様には奥様の人生がある。お子さんにはお子さんの人生はある。それは十分に理解していますが、皆がそれぞれ幸せになるために家族があるという考え方の方がハッピーではないですか。

「それは家族という単位を大切にしているだけですよ。それ以外の利害関係とか関わり方を見ると、やっぱり人って離れていくもの。また、近くなることもあるけど、基本は離れていく。

何が良いとか悪いではなくて、僕は信頼というモノを他人に求めてはいないから」

──……。青木選手はそうだと思います。11月のフォラヤン戦直後にインタビューに応じてくれる。これを信頼関係という人がいるのですが、そんなものじゃない(笑)。

「信頼できるから話すというのは、僕にはないですね。仕事としては信頼していますよ。だから話します。でも、それが人間としての信頼というのではない。ましてや、友達だから話すなんてことは絶対にないですし。

仕事として信頼関係は必要です。つくづく思うのは、僕は歪なんですよ。僕は歪だから、他のファイターが言っていることは理解できないです」

──う~ん、どんどん格闘技から話が離れていく、それを求める読者もいるでしょうが──少し、軌道修正させてください。さきほど、ONEに負けない条件を出してくれるなら戦うと言っていましたが、今よりファイトマネーが下がってまで戦いたいプロモーションはないということですよね?

「ない。ホントにないです。大問題ですよね、それは(笑)。今は本当に良いポジションでやれているんです。

僕は警察官の時に金の心配はないけど、遣り甲斐がないという苦しさを経験しました。そして、金がなくて遣り甲斐がある辛さも知っているんです。

だから今の悩みがあり、そこから逃れて違う方へ行った時に別の悩みがあることは分かっている(笑)」

──もうお金はあるから、金なんて関係なく戦いたいという想いがあったり、あるいはコナー・マクレガーのパンチをかわしてバックに回りチョークを極めて、もっと金持ちになりたい。そんな気持ちがないわけですよね。

「よく、そんな風なことは言われますよ。でもコイツに勝ちたいって思って格闘技をやってきたことはないんですよ。ベルトを巻きたいから格闘技をやるとか。それを皆は持っているんですよね……」

──持っているでしょうね。だから、青木選手はよくMMAを続けることができているなって正直、思います。

「ねぇ、ただ格闘技が好きなんですよねぇ」

──そういう青木選手の言葉って、以前は他の人間と違ったことを言っておくという意志の下で発していると思っていたんですよね。

「えぇ? そう思われていたんだぁ!!」

──思っていましたねぇ(笑)。でも、最近は本音なんだろうなと思いますし、言っていることが右往左往しなくなってきたと感じています。

「弱冠、格闘家として左なんです」

──何が右で、何が左か分からないですよ(笑)。

「極左は北岡さん。北岡さんは左翼」

──う~ん、どういうことでしょうか。

「北岡さんは常に自分の正義、自分の世界を貫く。で、僕は自分があるけど弱冠、社会を見るからリベラル。右はもう業界に合わせる感じで。

でもMMAや格闘技は色々な軸があって、右が強さこそというUFCの世界観だと左がRIZINになり、そこの左は北岡さんじゃない。いずれによせ、僕は自分の幸せを見つけましょうっていう人じゃないですか?」

この項、続く

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