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【UFN92】生き様。川尻達也<03>「こいつらより俺の方が強いのに──なんて思いながら生きたくない」

Tatsuya Kawajiri【写真】真剣な話題ではあったが、実はインタビュー中の川尻は非常に穏やかな表情をしている場面が多かった(C)MMAPLANET

UFN92におけるカブ・スワンソン戦で、敗れた川尻達也インタビュー第3弾。


色々な想いは錯綜するが、結果が覆らないのは事実。だからこそ、UFCで戦っていきたい。川尻達也の生き様、UFCに拘る生き方を最後にお伝えしたい。
<川尻達也インタビューPart.01はコチラから>
<川尻達也インタビューPart.02はコチラから>

──落ちるかもしれない……を乗り越えて、その後の反則のヒザ、初回の裁定……。全てを飲み込んだうえでのブログでの所信表明だったわけですね。試合中も生き様、あの反論も生き様だったと思います。あの執念は。

「何の足しになるのかも分からないですが、あのまま黙って終わらせたくなかった。終わりだとしても、何か言わないと。どっちにしろ納得できないけですけど……このまま終わってしまったら……。だから、何かアクションを起こしたかったんです。

微妙な判定でも隆多さんも、山田さんも『1Rが取られることはない』って言ってくれていたし。帰国してから岩瀬(茂俊)さんも僕が有利かと思っていたって言っていましたしね」

──ポイント換算でいえば、寝技でのヒザ蹴りでカブ・スワンソンにペナルティがつかなかったので、勝利を手にするには非常に厳しいとあの時に思いました。ダメージだけ受けたことになってしまうので。

「アレも痛かったですね。やっぱりUFCはアメリカの大会で僕らは日本人ですし、色んなことを考えてしまいますね。根本的に僕だけでなく、日本が舐められているって感じはしますね」

──そして日本人には役割があって、黙って大人しく相手の言うことを聞くという……。ところで、もう練習は再開しているのでしょうか。

「ハイ。正直なことをいえば気持ちは入っていないです(苦笑)。でも、やるべきことを何とかやっている。ダメージもあるので、8月中はあまりハードにできないというのもありますけどね」

──でも、唇が腫れていますが……。

「これは軽くぶつかっただけです(笑)。昔は試合後も3日休めば、すぐに試合前と同じ練習に戻れていたのが、なかなかもうマックスに戻り辛い。時間が掛かってしまうようになりました。年なのか、海外で戦うことに疲れているのか。多分、年だと思いますがなかなか持っていけないです」

──年齢とともにエネルギーを燃やすことは、なかなか大変になってきます。自分も怒ることも少なくなったと感じます。

「最近、丸くなりましたよね(笑)。そうですよね、怒るのもそうだし何でもエネルギーが必要だし」

──そのようななかで、UFCとの契約に関してはリリースされる恐怖はやはりついて回っていると思います。

「相当あります。結果が出ていない。『リリースはない』と言われていないという事実がある限り、綱渡りの状態でしょう。次の試合のオファーがないのですから」

──リリースされてしまった後のことを考えることは?

「そうなっても多分ファイターは辞めないと思うので、自分を一番評価してくれる場所で戦っていきます。これで食っていける限りは。食っていけないなら、別のことを始めないといけないです。当たり前のことだと思います。

ただし、このままじゃ納得いかないしUFCに残りたいです。正直、もう大人しくしているつもりはないので。『てめぇ、見ておけよ、UFCの野郎め』って感じですね」

──本当に誰もがその想いをぶつける機会が川尻選手に廻って来ることを期待しています。4回、5回とは言わないので、せめてあと1度だけでも……。

「ホントは勝ってニューヨーク大会出場をアピールしたかったし……。日本大会も今年はないようですけど……」

──でも、PRチームも盛り上げようとしているので自分たちも──そこは朗報を待つばかりって感じですね。川尻選手には何の慰めにもならないかと思いますが、本当に良いモノを見せ続けさせてもらって、感謝の気持ちでいっぱいです。

「試合前に公言していた……生き様っていうものは見せられたと思います。けど、それで終わりにしたくないですね。まだ物語は続くというところを見せたいし、このままでは本当に終われないです。

『あぁ、やっぱり通用しなかったんだな』ってある程度諦めがあれば別の新しい道に進むことができるけど、『俺、全然通用しているし、勝ってるじゃん!! 世界5位に勝っているじゃん』っていう状況でリリースされると……。そこからUFCを見ても『なんかやっているけど、こいつらより俺の方が強いのに』なんて思いながら生きていきたくないですから。

だから、このままで終わらせたくないです」

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