この星の格闘技を追いかける

【JBJJF】第1回東日本キッズ柔術選手権へ向け、X-TREME EBINA柳澤代表&子供たちに意気込みを聞く

X-TREME JJ KIDs【写真】X-TREME EBINA、キッズクラスの面々と柳澤代表(C)TSUBASA ITO

22日(日)、都内・台東リバーサイドスポーツセンターにおいて「第4回東日本柔術選手権&第1回東日本キッズ選手権&第5回全日本ノーギ柔術選手権」が開催される。記念すべき第1回大会へ8人のキッズファイターを送り込むX-TREME EBINAの柳澤哲裕代表に、大会への意気込みやキッズクラスを立ち上げた経緯、指導哲学、柔術の未来について語ってもらった。
Text by Tsubasa Ito

KIDs厚木駅から徒歩7分。夜になれば静寂が訪れるのどかな住宅街に、X-TREME EBINAはある。煌々と立ち込める明かりや道場の外からでも伝わる熱気は、周囲の景観とは異彩を放っていた。キッズクラスの時間が近づき、道着を着用した子どもたちがゾロゾロと集まってくる。

そんな光景から、この道場が地域に根差している印象を受けた。2011年よりブラジリアン柔術専門道場として活動を開始した柳澤代表が、キッズクラスを開設したのは2012年。現在は5歳から小学6年生まで、22名のキッズファイターが所属している。

「最初は別の先生がこの場所で子ども柔道教室をやっていたんですが、諸事情で続けることができなくなってしまったんです。その時間も空いているし、せっかく子どもが何人かいたので柔術でよかったらできますよという話をしたのが始まりです。結局2人くらいしか残らなかったんですけど、そこから宣伝を始めたら柔道よりも反応がよかったんです。駅前やターミナル駅の近くにあるわけではないですし、ローカルな道場なので、看板やチラシを見て興味を持ってもらって、学校などの口コミで道場生が増えていった感じですね」

この日の練習はマット運動から始まり、受け身、スパーリング、帯を使ったサーキットトレーニングという流れ。どの練習も、和気あいあいとした雰囲気の中で進んでいくのが印象的だった。終始、笑顔が絶えない子どもたちの姿を見ていると、柔術を心から楽しんでいるのが伝わってくる。

「僕はとにかく長く続けてほしいんです。寝技はやればやるほど強くなれますから。もちろん厳しいこともやりますけど、道場に来るのは楽しいというイメージを持ってもらいたいですね。その中でどんどん技を覚えて、試合で勝てるようになればいいなと思います。今日も最後に帯を使った縄跳びのようなことをしましたが、どちらかと言うとレクリエーションの延長というイメージでやっています。子どもたちの意識がどんどん高まって、試合で勝つためにこうしたいという要望が出てきた時は、週1回の選手クラスで大人でもよく使うような技を練習しています」

基本的な練習内容は大人とさほど変わらないが、子どもは集中力が長く続かないため、15分区切りで休憩を入れ、一度リセットをする時間を設けている。柔術の技は複雑で難解なものも多く、子どもが理解するのは難しいように感じるが、そうした技を覚えさせる時も柳澤代表なりの工夫があるという。

「技の中にポイントはたくさんありますが、細かいことを教えても正直わからないので、自分が心がけているのはワン、ツー、スリーで完結することです。こうして、こうして、こう返しましょうというように。子どもはスリーステップくらいでないと覚えられないので、最初はできるだけ簡潔に、噛み砕いて教えています。試合になると、大人はどうしても余計な駆け引きをしたり、自分が得意なほうにいってしまいがちですが、子どもはまっさらな状態なので、教わった技を素直に使いますし、正直な動きをするんです。そういう意味で、変なことは教えられないですね。噛み砕いて教えますが、ちゃんとした技術を教えなければいけないという意識は持っています」

技術面で言えば、X-TREME EBINAの特色として挙げられるのが、スイープに代表される下からの攻めを重視していることだ。この日も東日本キッズ選手権に出場する選手を中心に、ハーフガードの状態から仕掛けるスパーリングが行なわれていた。

「子どものうちは腹筋や首が強くないので下から攻撃をするのは難しいですし、どうしても上が有利になりがちなんです。マウントを取られたりすると、反撃できずにやられてしまうケースも多く見られます。でも、大人になると下からの攻めが得意なほうが圧倒的に勝つ確率も高くなるので、子どものうちから寝技の面倒な部分を覚えさせて、下からさばいて極めることを鍛えていきたいなと思います」

目先の勝利よりも将来を重視したスタイルと言えるが、道着メーカー・DUMAU主催のキッズ大会で2年連続団体優勝をはたすなど、X-TREME EBINAは着実に実績を重ねている。第1回東日本キッズ選手権にも8人の選手が出場する予定だ。子どもの競技人口が増加の一途をたどる中、夏の全日本キッズ選手権に次ぐ存在として、この大会が誕生した意義は大きい。

「連盟さんが主催する大会に、うちの道場からこれだけ多くの選手が出場するのは初めてです。今までは競技志向が強い1人か2人が出ていたんですけど、今回はオープンに募集をかける形に変わりましたので、これはチャンスだなと。キッズクラスのある道場の立場からすると、そうした大会が増えるのはありがたいですね。連盟さんの主催する大会はとくに権威があるので、できれば東日本キッズ選手権でも団体入賞を狙いたいと思います」

大会に出場する大山悠輔くん(小学5年生。灰帯)は「黄帯になるのが今の目標です。柔術は楽しくて、大好きなものです。東日本キッズ選手権で優勝したいです」と気合を入れる。女子ジュニア黄/橙帯フェザー級にエントリーしている内藤一葉ちゃん(小学6年生。黄帯)は「ここにはキッズの女子が4人いるので、仲間ができてうれしいです。将来は黒帯になって、世界選手権で優勝したいです」と夢を語った。こうした将来有望な金の卵が増えていく先に、日本柔術界の未来があると柳澤代表は語る。

【写真】柳澤代表は柔術歴13年、パラエストラ新潟で柔術を始め、神奈川に移ってからX-TREME柔術アカデミーの所属となった(C)TSUBASYA ITO

【写真】柳澤代表は柔術歴13年、パラエストラ新潟で柔術を始め、神奈川に移ってからX-TREME柔術アカデミーの所属となった(C)TSUBASYA ITO

「おそらく他の道場の先生方も考えられていることだと思いますが、世界レベルの大会になると子どもの頃から柔術をやっている選手が多いので、小さい頃から始めていかないと世界標準にはならないと思います。

ASJJFの大会に出ている日系ブラジル人のなかでは中学生の子が青帯を取って、大人のトーナメントに出て優勝している選手が何人もいるんです。やはり、前倒しをしていかないと世界とまともに戦えないと思いますし、日本でも若い黒帯の選手が増えればさらにレベルも上がるはずなので、まさにこれからだと思います。その流れにうちの道場も乗っていきたいですね」

PR
PR

関連記事

Arzalet

Road FC43

Movie