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【Special】中村拓己が語るVTJ1st(02)――3つの国際戦

2012.12.21

Mamoru

【写真】間合い――距離感が重要になるのはマモル×モナヒューばかりでなく、全試合に当てはまる。ただし、リーチ+身長で劣るマモルにとっては、特に大切であり、また職人として腕の見せ所にもなる注目点だ (C) MMAPLANET

24日(月)、東京・代々木競技場第2体育館で開催される「VTJ 1st」。ケージ&ユニファイドMMAルールを用い、北米とのスケールとなる大会の見どころを、VTJ 1stのTV解説を務める中村拓己に訊いた。その第2回は国際マッチ3試合の見どころを語って貰った。

中村拓己が語るVTJ 1st第一弾はコチラから

「弘中邦佳選手とカルロ・プラターに関して、プラターはUFC戦績は公式結果こそ1勝2敗ですが、事実上反則勝ちとなったエリック・シウバ戦も事実上は敗北。直前までUFCで戦っているけど、決して芳しくない結果に終わっている選手。

日本で5連勝中の弘中選手は、修斗で世界タイトルを獲って、それ以前にUFC、CAGE FORCEで戦って来ている選手なので、プラターにチャレンジする試合とは捉えていません。スタイル的にもプラターはギロチンが得意で、関節技も取りに行くタイプなので、試合自体も動きのあるモノになると思います」

――プラターはなんとなくドナルド・セラーニに顔が似ていますよね。

「試合もムエタイ+柔術ですしね(笑)。ルタリーブリ・チックなところもありますし」

――弘中選手も何とか、UFCに戻りたいという意識を今も強く持っています。

「ジョヴァニ・ジニスと戦った時から、スタイルが変わったと本人も言っていますけど、力をつかわず相手をコントロールするという戦い方が、これまでの短所を消したような気がします。練習でも、本当に体にダメージが残らないモノにしている。

相手を自分の型にはめるのではなくコントロールする。ジニス戦もそういう戦い方ができていたようなので、36歳になって見つけたスタイルで海外の選手とどこまでやれるのか。

その部分を本人も重点を置いているようなので、キャリアの集大成に入りつつある弘中選手が見つけた新しいスタイルが、プラター相手に、ケージという舞台でぶつけて、どのような試合になるのかに注目しています」

――弘中選手と同様にベテラン、UFCという舞台で戦った経験はないマモル選手は、ケージとムエタイという部分に着眼してきたファイターです。そのマモル選手とダレル・モナヒューに関して、どのような点に注目していますか。

「マモル選手に関しては、今もUFCのトップで戦える実力の持ち主だと思っています。そして、この試合も勿論UFCというものを見据えての参戦でしょうし。

ただ、モナヒューは厳しい相手だと思います。UFCに出ていてもおかしくないファイターと、UFCに出てほしい日本人の対戦。勝負論があり、先に繋がる試合。日本人が絶対に勝って欲しいと願うファイトです」

――モナヒューは今のUFCに出ている選手にも当てはまるパターンで、寝技を試合で見せることはほとんどないけど、しっかりとデキる。そんなファイターではないかと。

「フォルミーガと対戦した時にバックを許して負けた。あの試合は、マモル選手の階級の選手なら皆がチェックしている。ディフェンス能力、やられない力の高さは疑いようがないので、バックを取られたケースでどう対応していくか。

そして防御能力の高さは攻撃に生かして、ジャッジに好印象を与えることができるか。勝負はそこにかかってくるのではないでしょうか。米国のMMAファイターが、打撃体型というのか細身で手足が長い。

そこで倒れずに打撃を入れるスタイルを基盤とするのが主流になりつつあるなか、そういう選手を相手にマモル選手がいかに自分の間合いを作れるのか。距離の測り方などは、凄く気になります」

――距離の測り方といえば、イアン・ラブランドと戦う堀口恭司の試合も、リングとケージで如何にステップが変わってくるのか興味深いですね。

「堀口選手に関しては、チェレンジマッチのような要素もあると思っています。初めての国際戦、初めての金網、初めての北米バンタム級、新たらしい要素だらけの試合で、彼のポテンシャルがどこまであるのかを確認するような試合でもあるかと思います。

外国人選手は少々殴られてもビビらない。殴られても前に出てくる。立ち技の試合でも、外国人選手と戦って打ち勝てないとジリ貧になってくるケースもあります」

――パンチのある本格的なレスラーという対戦相手は、あまり日本では経験できていないですね。

「過去のデータ的にみても、井上学選手、上田将勝選手に苦戦を強いられたという印象は残っているので、アメリカン・レスラーでパンチ力がある、そしてリーチが長い選手と相対した時に、堀口選手のスタイルがどこまで通じるのか」

――その苦戦があったからこそ、そこからの成長に期待できる試合ではないでしょうか。

(この項、続く)

■VTJ1st決定対戦カード

<135ポンド契約/5分3R>
佐藤ルミナ(日本)
所英男(日本)

<155ポンド契約/5分3R>
弘中邦佳(日本)
カーロ・プラター(米国)

<125ポンド契約/5分3R>
マモル(日本)
ダレル・モナヒュー(米国)

<135ポンド契約/5分3R>
堀口恭司(日本)
イアン・ラブランド(米国)

<115ポンド契約/5分2R>
藤井 惠(日本)
V.V.Mei(日本)

<136ポンド契約/5分3R>
リオン武(日本)
大沢ケンジ(日本)

<177ポンド契約/5分3R>
中村K太郎(日本)
鈴木信達(日本)

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