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【UFC248】史上最高──魂の戦いは、ジャン・ウェイリがヨアナ・イェンジェチックに競り勝つ

<UFC世界女子ストロー級選手権試合/5分5R>
ジャン・ウェイリ(中国)
Def.2-1:48-47.48-47.47-48
ヨアナ・イェンジェチック(ポーランド)

まずジャン・ウェイリがジャブ、ヨアナがローを繰り出す。ローを蹴り合い、ジャン・ウェイリのローにヨアナがパンチを合わせる。右を見せたヨアナが、距離を詰めてローを狙うとジャン・ウェイリが左右のフックを打っていく。パンチの打ち合いから、最後に右ローを蹴るヨアナだが、ジャン・ウェイリは次の局面で踏み込んで右をヒットさせる。

笑顔を見せるヨアナはパンチの届く距離でも徹底して右ローを蹴っていく。ジャン・ウェイリは素早い踏み込みからワンツー、離れてサイドキック、さらにローから距離を詰めてワンツーを続ける。ヨアナも近い距離でワンツーを放つが、パンチはチャンピオンのパワーが上回っているか。近距離でのパンチの交換から右ローを入れたジャン・ウェイリは、右ストレートをヒット。さらにヨアナの蹴りをキャッチしてパンチを入れたジャン・ウェイリは、リリースとともにローを蹴り、パンチを3発纏める。パンチの回転で圧され気味のヨアナは、タイムアップ後に右を一発当ててしまった。

2R、打たれ強いということでなく、打たれることがヨアナより強そうなジャン・ウェイリは、右を被弾しローでバランスを崩す。その直後にワンツーで前に出て、近距離でパンチを打ち合う。右で前に出る王者がダブルレッグへ。ヒザを入れたヨアナがケージにチャンピオンを押し込む。ボディロックから足を掛けていくジャン・ウェイリ、ヒザをボディに入れるヨアナは、エルボーを2つ打たれて離れる。

ジャン・ウェイリは右ストレートを当て、それでも前に出てきたヨアナの顔面をもう一度右のカウンターで打ち抜く。効かされたヨアナは組みで崩され、パウンドを受けながらも立ち上がると、正面での打ち合いで打ち負けるシーンが増えてくる。ジャン・ウェイリの左ミドルに右を当てたヨアナは、直後にワンツーを受けローに右を合わされる。ローを効かすことができなければ、厳しいようにも見えるヨアナだが、右ローに左ハイを合わせ、動きが止まったジャン・ウェイリにテイクダウンを仕掛ける。ここでモロに頭突きを受けたチャンピオンだが、ボディロックからテイクダウンを奪い試合をリードした。

3R、接近戦で左フックを入れたジャン・ウェイリ。ヨアナも右ミドルハイを返し、左ストレートを当てる。サウスポーにスイッチし左の精度が上がったヨアナは、動きがやや落ちてきたジャン・ウェイリに左からの蹴りとパンチで流れを掴む。サウスポーに戸惑い、右が空を切る場面が増えたジャン・ウェイリとは対照的に、ヨアナは蹴りもパンチも精度が上がる。

組んでいったジャン・ウェイリは大内、小外でヨアナを崩す。そのたびに即スタンドに戻るヨアナは右ミドルを蹴られ、蹴り足を掴まれてパンチを額に受け倒される。ここもすぐにスタンド戦に戻るが、ヨアナの額に大きなたんこぶができている。ジャン・ウェイリのワンツーに左を合わせたヨアナは、間合いを掴み左ミドルを入れる。集中力が切れたように間を空けるようになったジャン・ウェイリ、ヨアナがラウンドを1つ取り返した。

4R、サウスポーを続けるヨアナは左を入れ、右ハイ、頭が揺れるようになったチャンピオン。ジャン・ウェイリはオーソに戻したヨアナと左フックの相打ちから左を入れる。ヨアナはヒザを返し、ジャン・ウェイリはヒザに思い切り左フックを振るっていく。ヨアナがボディから左フック、さらに左ハイをオーソから放っていく。疲れが目立ってきたジャン・ウェイリは、左フックを打ち合い、右をヒットさせる。続けてワンツーの右を被弾したヨアナだが、勢いが落ちることなくエルボーを打ち込んで組みつく。

体を入れ替えたジャン・ウェイリは、再度体を入れ替えたヨアナと近距離でパンチを打ち合い、離れてから左をヒットされる。オーソでも左が当たるようになったヨアナが右ハイへ。着地後にジャン・ウェイリが右を放ち時間に。コーナーに戻る際に強気のヨアナが、おでこを気にする素振りを見せた。

この回を取った者が勝利に近づく最終回、ハグから両者は戦いを再開させる。ジャン・ウェイリの右、ヨアナの左が顔面を捉える。近距離で思い切りパンチを振るう両者、ヨアナのロー、左ミドルが決まる。ローを蹴り合い、右を入れたヨアナに対し、ジャン・ウェイリの左フックが顔面を完全に捉える。

この一発で動きが落ちたヨアナは、もう一発左を被弾する。サウスポーに構えたヨアナは、鼻が折れたか。ワンツーを入れ、左を当てたジャン・ウェイリが勢いを増して前に出て右を当てる。ヨアナも左を返すが、ジャン・ウェイリが右から左をヒット。たまらずクリンチに持ち込んだヨアナが、すぐに離れる。

凄まじい戦いを続ける両者、ヨアナが左フック、左ハイを放つ。蹴り足を掴んだジャン・ウェイリが右を入れ、逆に蹴っていく。その蹴り足を掴もうとするヨアナ。最後の30秒になっても、互いの戦意に陰りは見えずジャン・ウェイリが右を2発入れ、スピニングバックフィストに空振りする。ならばとスピニングバックフィストを打ち返したヨアナ、直後に史上最高の女子ストロー級の一戦はタイムアップを迎えた。

1、2、5Rをチャンピオンが取ったようにも見えるが、ジャッジの裁定は──スプリットでジャン・ウェイリに。コールに涙を見せたチャンピオンは「コロナウィルスの問題のなか、ここに来られて皆に感謝している。とにかくここにきて、勝てた。皆で戦えばコロナウィルスにも勝てる。今、私の国は大変な状況だけど、皆で戦って皆で勝つ」と話し、「トラッシュトークなんていらない、マーシャルアーチストがここにいた。尊敬しあって戦ったのよ。若い才能を持っている皆が、私たち2人のチャンピオンの試合を見てくれた。良いテキストブックになったはず」と言葉を続けた。

一方「3Rに頭に攻撃を受けて、それから十分に動けなくなった。でも、良かったわ。チャンピオンにおめでとうと言いたい。良い試合ができて、私はハッピーよ」と大きく額を腫らしたヨアナはコメントした。


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