【UFC248】アデサニャがロメロに判定勝ちも……館内のブーイングは鳴りやまず
<UFC世界ミドル級選手権試合/5分5R>
イスラエル・アデサニャ(ニュージーランド)
Def.3-0:49-46.48-47.48-47
ヨエル・ロメロ(キューバ)
しっかりとガードを固め、動かないロメロ。無暗に突っ込めないアデサニャ、45秒が過ぎようやく両者が動き始める。90秒が過ぎ、アデサニャが左ローを届かせる。互いに左に回り、遠い距離で奇妙な動きを見せるロメロはどう見ても不気味だ。それでもベガスのファンは容赦なくブーイングを送り、両者に戦いを促す。
3分、アデサニャが右ハイを見せる。続く踏み込み、ロメロが左を当てる。この一発に最大限の警戒が必要なアデサニャが左ロー、残り1分を切りロメロが左ハイ、右ロー、ジャンプしてミドルを蹴る。ロメロの左以降、最後までパンチの交換がない初回が終わり、場内はブーイングに包まれた。
2R、アデサニャの前進に再びロメロが左を合わす。アデサニャがサウスポーにスイッチして左ハイ、オーソに戻し右前蹴りから右ハイを繰り出す。右カーフを入れたアデサニャは、サウスポーで左アウトサイドローを蹴る。チャンピオンは構えを変えて、単発の蹴り、パンチを繰り出す。完全カウンター狙いのロメロは、右ローから左を入れて組みつき、後方から左フックを纏める。
急ぎ距離を取り直したアデサニャは右ハイ、ロメロはローに左を合わせようとする。アデサニャは左ロー、直後に左ハイを蹴っていく。この回も終了とともにブーイングが起こった。
3R、距離を詰めに来たかと思ったロメロが、下がって距離を取り直す。アデサニャのハイをかわし、左ロングを振るうロメロは失笑必死の前転しながらの蹴りを繰り出す。一発で全てが決まるパワーの持ち主のチャレンジャーだが、誰もがここまで受動態の動きに徹するとは予想できなかったに違いない。
しかも意味不明に映る動きが多く、いかがわしさを際立たせてしまう。そのロメロが左を振るって前に出てバランスを崩す。左ミドルを入れたロメロは、時折り見せる片ヒザをマットに一瞬着けるという動きを繰り出す。アデサニャが左ミドルを蹴り込み、前蹴りを顔面に伸ばす。前に出たロメロは、ケージにまで下がったアデサニャサにサークリングを許し、ジャブを被弾する。アデサニャの左ハイがロメロの顔面をかすめタイムアップ。ブーイングが収まらないメインとなった。
4R開始前にレフェリーの忠告を受ける両者。不敵な笑みを浮かべるロメロだが、試合中にこの不敵さを見せてほしいところだ。そのロメロが左ミドルから左を振るう。アデサニャは左ロー、ロメロは届かい距離で思い切り左を空振りする。アデサニャが左ロー&左ハイを繰り出す。と、アイポークがあったとロメロが大きくアピールし試合が中断する。
ドクターチェック後に試合は再開され、ロメロが直後にダブルレッグを決める。殴りを選択してアデサニャを断たせたロメロは、ここからまた待ちの姿勢でその場跳びを繰り返す。アデサニャは右ストレートを当て、ロメロの左オーバーハンドを2度かわす。もう一度左をかわしたアデサニャの左ローで、ロメロの体がよれる。ダブルをスプロールされた直後にフックを振るうロメロは、右ハイをダックでかわし試合は最終回へ。
5R、距離は縮まらずチャンピオンが左ローを蹴る。1分が過ぎ、ローに左を合わせようとしたロメロがフックを振るって前に出る。組みながら左を狙ったロメロはローで右足を効かされたようだ。アデサニャが左ジャブを当て、ロメロの左を体をのけ反らしてよける。ようやく右ジャブを見せるようになったロメロは、蹴り足を掴んで突っ込む。突進、パンチを回ってかわすチャンピオンが、左ハイを繰り出す。両手を広げ、戦えとアピールするロメロ──何を今さらという感じだが、この回は左の出す数は多い。そしてロメロが前に出てくると、アデサニャはカウンター狙いでかわす動きを繰り返す。
終了間際に距離を詰めた挑戦者に対し、アデサニャがキャンパスに手をつけて蹴りを見せる。胸を叩き、「来い」とアピールするロメロ。そして試合終了と同時に、両者が何から言い合った。
アピールよりファイトが見たかったロメロは、ケージサイドのパウロ・コスタと口論までしてしまう始末だ。裁定は3-0でアデサニャに。防衛に成功した王者にもブーイングが浴びせられ、「俺のローでアイツの足はあんなことになっている。アイツは踊っているだけだった。俺はダンスはしたくなかった。ヤツは1分戦い、2分休むということを繰り返した」と不満気な表情を浮かべた。
対してロメロは「これは俺の勝利だ。一つ質問がある。俺たちはウォリアーがここで見たいんだ。皆は戦いが見たい。だから、ここに来るんだろ。チャンピオンがあんな風に戦うなんて。俺は戦いたかった。打撃の交換がしたかった。皆はPPVでこんな試合を見たいわけじゃない。皆は一生懸命に働いて、PPVを買っている。それはファイトを見たいからだ」と──自分がどのような試合をしたのか、まるで理解できていない意味不明のコメントだった。