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【PFL2019#10】タフマッチ制したナタン・シュルチがライト級2連覇、マイク・タイソンにベルト巻かれる

<ライト級決勝/5分5R>
ナタン・シュルチ(ブラジル)
Def.3-0:49-44.49-46.49-47
ロイック・ラジャボフ(タジキスタン)

パーマーに続き連覇を狙うシュルチもまた、PFLになって負けしらずのファイターだ。対するラジャボフはローから右フックを放ち、さらに右オーバーハンド、アッパーと積極的に前に出る。右に回り距離を取り直したシュルチの前蹴りにも、ラジャボフの手数は減らずに左ストレートから左ローを決める。左フック、左ストレートに右を交えて手数、精度でもシュルチを上回るラジャボフだが、ローから右フックを受けて動きが止まる。

そのままケージに押し込みテイクダウンを決めたシュルチは、左腕を差してくるとダースを仕掛ける。自ら技を解き、バックに回ろうとしたシュルチだったが、ラジャボフはスタンドに戻り逆に右フックを打ちこむ。シュルチはカーフキック、ラジャボフがジャブから右ストレートを入れると、右ハンドをヒットさせる。さらに右アッパーを決めたラジャボフはダウンを喫しポイントは失っただろうが、流れとしては悪くない形で初回を終えた。

2R、互いに構えを変えるスタンド戦、前に出てパンチを当てるのはラジャボフだ。右ミドルからワンツーを入れ、続いて右ストレートを決めたラジャボフに対し、シュルチは組んでバックに回りテイクダウンを決める。背中に乗ろうとしたシュルチを前方に落としたラジャボフが、左を2発決めローを蹴られても左を続ける。シュルチはダブルレッグを決めるも、ブリッジからスクランブルに持ち込みスタンドに戻ったラジャボフが、ボディにヒザ、パンチを入れる。右アッパー&左フックを当てたラジャボフが、右アッパー2発、さらに3発、4発と突き上げる。シュルチも打たれ強さを見せ、クリンチ戦に持ちこむが左フック、右フックをラジャボフが放っていく。

デカゴン中央に戻り、パンチを続けるラジャボフは右ボディ、さらにアッパー、ショートフックを繰り出す。さすがに攻め疲れの感もあるラジャボフだが、頭を押さえてヒザ蹴り、ダブルレッグを切って右フックを当て、ヒザを見舞う。シュルチもヒザを返したが、シングルからバックを許し手投げ捨てられるようにテイクダウンを決められ2Rが終わった。

絶対的な攻勢に出たラジャボフだが、攻め疲れによるスタミナに不安が残るなか、3Rがスタート。左ボディを入れ、右フックを当てたラジャボフ。そのままパンチを続けるが、シュルチも異様なタフ振りを発揮し、ダブルレッグをスプロールして右アッパーを打ち返す。接近戦の殴り合いは、ラジャボフが手数で上回り右アッパーをヒットする。

シュルチは左を返し、右ローからワンツーを入れる。手数で盛り返してきたシュルチが、左をヒットし右ローを蹴り下ろす。ラジャボフが右オーバーハンドを空振りし、組みに行く。離れたシュルチは左フックを打ち抜く。クリンチでボディショット、ヒザを見せたラジャボフに対し、シュルチはローで姿勢を崩すことに成功する。組んでケージまでシュルチをドライブしたラジャボフは、倒しきれず明らかにガスアウトの兆候が見られる。

と、クリンチの状態で右ローを蹴られ、崩れたラジャボフはダブルレッグを切られ、起き上ったところでローで尻もちをつかされる。そのままマウントを取ったシュルチは、絶対的に優位な精神状況でチャンピオンシップラウンドを迎えることとなった。

4R、ラジャボフはダブルを切られ、クリンチ合戦でバックを許しそうになる。離れて左を伸ばすラジャボフは、足を蹴られたくサウスポーで構える。オーソに戻したところで、ローで再び倒れマウントを許したラジャボフは肩固めを仕掛けられそうになりながら、懸命に腰を押していく。

ついに右腕を差してスタンドに戻ったラジャボフだが、右を蹴られると動きが止まる。シュルチはテイクダウン狙いを2度切ると、引き込んだラジャボフが3度目のマウント奪取。残り2分、ハーフに戻されパス狙いのシュルチにラジャボフがキムラを仕掛ける。防いだシュルチは、スクランブルにラジャボフを誘い込みギロチンへ。頭を抜いたラジャボフは首を抱えるが、効果はなく下のままでラウンド終了となった。

最終回、ラジャボフはサウスポーで構え前蹴りから左ストレートで前に出る。ならばと右足にもローを入れるシュルチは、組まれてバックを許すが前方にラジャボフを落とす。試合はスタンドに戻ると、ラジャボフがアッパー、ボディフックを打ちこむ。続くテイクダウン狙いは、右腕を差したラジャボフが、シュルチのウィザーを組み勝ちトップを取ると同時にサイドで抑え込む。

体を捻り、足を戻したシュルチがオーバーフック&スイープを決めて上を取り返す。ラジャボフも即スクランブルに持ち込み、ヘッドロックからバックを伺う。ヒザと手をマットについて顔面へのヒザ蹴りを防いでいたシュルチは、背中に乗られそうになると前方に落とし、トップを取る。残り40秒、スクランブルを許さず両足を抱えてトップを維持したラジャボフに対し、ラジャボフは前転からスクランブルを狙う。これをすかしたシュルチは、一人で回転したラジャボフからマウントを奪いタイムアップに。

初回、4R、5Rは取ったことが予想されるシュルチだが、ダウンを奪った初回と序盤は圧された最終回がどのように判断されるのかは、神のみぞ知るといった状況だ。結果、3-0で連覇を決めたシュルチはマイク・タイソンにベルトを巻かれ、チームメイトに感謝の言葉を送り、「僕は貧しい街の貧しい家庭で育った。神に、家族に感謝している」と話した。


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