【ONE】12月度・大沢ケンジ勝手にランキング─01─「リータオにミアドが勝ったことが驚き」
【写真】11月一番のアップセットを起こしたジェレミー・ミアド(C)
Abema TVで突如発表されたONE Championship非公認・大沢ケンジ監修非公式ランキング。
昨日、2019年度12月1日付のONE Championship非公認・大沢ケンジ監修非公式ランキングが発表された。団体発表ではないからこそ、システマチックでなく多分にエモーショナルなランク変動が見られる勝手にランキング。
11月に開催されたマニラ、ペキン、シンガポール大会の結果を踏まえてランキングの動きの理由──まずストロー級からバンタム級の3階級──を大沢氏に説明してもらった。
──ONEの戦いをより分かり易くするために制定された大沢ケンジ勝手にランキング。大沢さんにその変動理由を伺い、よりファンにONEファイターに親しみを抱いてもらいたいと思います。まずは大きく変化があったストロー級からお願いします。
【ストロー級】
C ジョシュア・パシオ(フィリピン)→
1 猿田 洋祐(日本)↑
2 レネ・カタラン(フィリピン)↓
3 内藤 のび太(日本)↑
4 鈴木 隼人(日本)↓
5 アレックス・シウバ(ブラジル)↑
6 ジェレミー・ミアド(フィリピン)↑
7 デェダムロン・ソーアミュアイシルチョーク(タイ)↑
8 ミャオ・リータオ(中国)↓
9 リト・エディワン(フィリピン)↓
10ロビン・カタラン(フィリピン)↑
「まずタイトルマッチで負けたカタランが落ちて、猿田が1位になった。そこはまぁ順当なんですけど、ビックリしたのがミャオ・リータオの敗北です。リータオはここから上がってくる選手だと読んでいたんです。僕……というか、ウチの猿田陣営としてはリータオの評価が高くて、これはチャンピオンシップまでに対戦した方が良いなって思うぐらいに」
──リータオのどこが高評価の要因だったのですか。
「フィジカルです(笑)。僧帽筋が凄くて。それと打撃でガンガン来て、テイクダウンもフィジカルで耐えるところがあったので。猿田が倒しても立たれると嫌だなって思っていました。そのリータオにミアドが勝ったことが驚きです。リータオが勝つ前提でいたので」
──それが全く正しい見立てだったと思います。
「だってリータオはポンシリとデェダムロンを圧倒しているんですよ。それでミアドはポンシリに負けていて。だから、まさか……です。ミアドの打撃は思っていた以上にヤバいですね。確かに以前もデェダムロンをパンチでKOしたりしているので、そこそこは認識していたんです。でもテイクダウンされてもずっと下にいる選手だった。それが今回の試合ではリータオを極めそうになったり、勝ち方も良かったので圏外から一気のジャンピングアップで6位ですね。
その反動というか、影響を受けてリト・エディワンは8位から9位に下がったのですが、ヤツは強い。リト・フルスイングですよ(笑)」
──……(苦笑)。その他でいえばロビン・カタランが10位にランクインしました。
「グスタボ・バラルトにあのKO勝ちですからね。アジアの打撃はレベルが高い。UFCよりも打撃だけだとレベルが高い選手が多い。ただしレスリングは低い。そしてレスリングの比重が高くないので、UFCの選手もONEに来ると簡単じゃないと思いますよ。10月の試合ですが、ジョン・リネケルもUFCから来てムイン・ガフロフに苦戦しましたしね。
やっぱり東南アジアは散打系の選手も多くて、ムエタイの周辺国ということもありパンチとキックを合わせた打撃力は高いです」
──そうは言っても、五輪レスラーのバラルトにあのハイキックが入るかと。
「あれはもうフライ級のユースタキオのバックキックと並ぶベストKOです。あんなに首が太いバラルトが倒れるとは思えなかったですが、凄い倒れ方をしましたね。あのインパクトでロビン・カタランを10位にランクしました」
──では続いてフライ級の順位変動について、お願いします。
【フライ級】
C アンドリアーノ・モライシュ(ブラジル)→
1 デメトリウス・ジョンソン(米国)→
2 カイラット・アクメトフ(カザフスタン)→
3 ダニー・キンガド(フィリピン)→
4 リース・マクラーレン(豪州)→
5 和田竜光(日本)→
6 ジェヘ・ユースタキオ(フィリピン)↑
7 若松佑弥(日本)↓
8 ジアーニ・スッパ(マレーシア)→
9 チャン・ロタナ(カンボジア)→
10 キム・デファン(韓国)→
「トップどころに動きはなかったですが、ユースタキオが強いなと。
この1カ月でユースタキオが勝った。だからランクが上がって、若松選手が1つ下がった。シンプルにそういうことです」
──押忍。ではバンタム級はストロー級に続き変動がありました。まずブルーノ・プッチに勝った上久保選手が1つ上がっています。
【バンタム級】
C ビビアーノ・フェルナンデス(ブラジル)→
1 ケビン・ベリンゴン(フィリピン)→
2 ジョン・リネケル(ブラジル)→
3 ユサップ・サーデュラエフ(ロシア)↑
4 ムイン・ガフロフ(タジキスタン)→
5 佐藤将光(日本)→
6 マーク・アベラルド(ニュージーランド)↑
7 竹中大地(日本)↓
8 上久保周哉(日本)↑
9 レアンドロ・イッサ(ブラジル)↓
10 トロイ・ウォーセン(米国)↑
あとは言い辛いのですが、上久保選手の戦い方はONE向きではないです。ラウンドごとのマストだったら勝てます。でも、ONEの一発でひっくり返る裁定だと、上久保選手のバランスを崩さないように殴るパウンドは評価され辛いというのがあります」
──ヒザを随分と使えていたと思うのですが。
「あれはプッチだから、入ったので。あれだけ抑え込んでいても打撃を一発もらえばひっくり返る。それにトップ5どころと戦ってああいう試合ができるのか。やってみないと分からないですが、僕の目線でいえば凄く難しいと思っています」
──竹中選手が3位から7位に落ちました。
「そこなんですよねぇ……。ここは難しいところで。3位から7位というのは、大きいですね(苦笑)。竹中選手もその持っている力が……練習での強さを試合で出せてないというか……。
竹中君から試合後に『解説の目線でどう思われましたか?』とメッセージが来たんです。そこでも期待を込めて言わせてもらったのですが、競り負けしている……相手が元気なときに元気に勝負して、相手が休みたいときに一緒に休んでいる。攻撃するリズムが、相手に合致している感があるんですよね。
イッサの時も感じたのですが、ユーサップが休んでいるんだから、ここで行けば良いじゃんと思うことがあって。正々堂々としすぎているかなって(笑)。それでもランキングではアベラルドの上でも良いけど……ここは逆でも良かったですね……ユースタキオに勝っている若松選手が彼の下になっているのだから……アベラルドに負けていても竹中選手が上でも良かったかな……しまったな……」
──その生々しさも大沢ランキングの魅力です(笑)。
「う~ん、まぁ佐藤選手が5位にいるランキングですしね。ハファエル・シウバに勝つって凄いことなんです。でも、大沢の勝手にランキング……ちょっと置きに行っちゃったんですね。佐藤選手がユーサップより上でも良かったのに……」
──先ほどから反省の弁が多いです(笑)。
「ほら、高島さんからもう遅い時間にランキングの変更お願いしますって連絡がきて……あれからすぐにやっちゃったから(笑)。電話を切ってからすぐに」
──ダハハハ。
「やっちゃいましたねぇ(笑)」
──気を取り直して、10位のトロイ・ウォーセンはどのような評価ですか。「ここはリー・カイウェンと迷ったところなんです。
リー・カイウェンはレスリングも強いし、殴れる。ただし相手が今回はランク外だったので……ウォーセンを10位にランクインさせました。
それに見るからにヤバイ強さです。Evolveのアシスタント・コーチで。いやぁ、リー・カイウェンもいますしバンタム級は良い選手が多いですね。
上久保選手が勝っても1つしか上がらないというのは、そういうことなんですよ。バンタム級は息苦しい、いるだけで息苦しい。だから見ていて楽しいです」
<この項、続く>