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【ONE102】絶対に負けられないミートサティート戦へ、内藤のび太─01─「ヤバイです。これはヤバい」

Nobita【写真】一見、香港の雑居ビルのような雰囲気を持つビルのレンタルスペースで取材は行われた(C)MMAPLANET

8日(金・現地時間)にフィリピンはマニラのMOAアリーナで開催されるONE102「Masters of Fate」で内藤のび太がポンシリ・ミートサティートと対戦する。

元ONE世界ストロー級王者も1年前にジョシュア・パシオに敗れベルトを手放すと、今年の3月にルネ・カタランにショッキングな初回TKO負けを喫した。5月にライバル=アレックス・シウバとの3戦目を判定勝ちしたのび太は、現状を『首の皮が一枚つながった』と表現した。

ミートサティート戦を9日後に控えた──のび太は渋谷で取材すると、やや磁場が狂ったような彼がいた。


──試合の前の週なのに渋谷までご足労いただき、申し訳ありません。ONEの計量方法だと、まだまだしっかりと練習している時期かと思うのですが。

「いえいえいえ。練習の方は来週の月曜日にマニラに向かうので、今週中はしっかりとできます。水抜きなしだと、ナチュラルに近い状態なので普通の練習がずっとできます」

──のび太選手はONEの世界チャンピオンになって以来、取材の度に『強い選手がやってくると、僕なんて……』というネガティブな言葉を続けてきたのですが、「何を言っているんだ」と思っていたら、それが現実に近い形の1年になってしまいました。

「言った通りになりました。ONEの力もあって、日本の強い選手が集まってきましたから。これだけ多いと楽しいですけど、また減っていくとは思います。そうなった時に僕の立場はどうなっていくのか」

──5月のアレックス・シウバ戦の前にも伺ったのですが、レネ・カタランに敗れた試合はやはりショックが大きかったです。チーム・ラカイ以外のフィリピン人選手にのび太選手に負けるというのは……。あのテイクダウンを切って、打撃を入れるという戦いをラカイ以外の選手が実践したという点において。

(C)ONE

(C)ONE

「負け惜しみではないですが、僕が弱かっただけです。

あの戦いが、全員に通用するとは思っていないです。僕がヒザをもらってしまったということで」

──あのう……さきほどから、首の回りや頭の後ろを掻いていてAbema TV用のピンマイクに手が当たっていないですか……。

「えっ、あぁスミマセン」

──もういい加減、取材に慣れても良い頃かと思うのですが(苦笑)。

「慣れないッス。この場所でやる取材は初めてですし。初めてのところはダメなんです」

──ダハハハ。勘弁してください。やはり柏まで行かないとまずかったですね(笑)。

「いや、どこでも構いません。どこへも行きます(笑)。ちょっと首の回りが痒かっただけなので」

──では話をカタラン戦に戻しましょう。のび太選手としてはやはり組んで倒す。そこがMMAファイターとして生命線です。それができなかったのは、あの日の調子が悪かったのか。

「僕はそう思いたいです。でも完全にテイクダウンを切られるぐらいヒザをもらったので、その想定ができていなかったです。細かいところからヒザが出てきて、頭をカットしてしまったので。でも、これから僕と戦う選手はああいう戦い方をしてきますよね。それをやらせてしまいましたね」

Nobita vs Alex──それでもアレックス・シウバに競り勝ちました。もともと、このタイミングで3度目かという試合ではありましたが。

「負けたあとだったので、僕に断る権利はなかったです。受けるしかないので、死に物狂いで受けたのですが……結局、ああいう試合になってしまって」

──追い込みを掛けられているかのようなマッチアップでした。

「ホントにあそこで負けると3連敗だったので、本当に首の皮一枚つながったという感じです。もっと圧倒したかったのですが、寝技も強いですしお互いの手の内が分かっていますからね」

──5Rより3Rの方がシウバは戦いやすいかと感じました。

「そう思われることが、僕の弱点です。3Rで動ける相手にしっかり極めることができないと、僕は勝てなくなる。それを痛感しました。負けているとは思わないですが、勝っているとも言い切れない。判定でシウバについてもしょうがない内容ですし。精一杯やりましたが、確実なモノにはできなかったですから。難しいですね。それでも本当にスプリットでも残ることができたので、あの勝利を生かさないといけないですね」

──この5カ月間で、どのような点に力を入れてきましたか。

「チャンスがあれば畳みかけないといけない。ジックリやってきたのを変えないといけないとダメだと。僕の戦いはジョギングみたいな感じで、でもダッシュする必要もあるし、緩急をつけないと勝てないです」

──のび太選手の試合をマラソンの例えると、引き離されないよう追い続けてトラック勝負でした。それを自分が途中で引き離しに掛るような戦いに変わると、スタミナ配分も違ってくることが予想されます。

「ハイ、完全に違ったスタミナだと思います。僕も消耗するだろうし怖いですが、そこを試さないといけないです。なかなか体に染みついたものなので、変わらないかもしれないですけど、そこは試さないとしょうがないです。練習でもポジションを取って固まらないようにしていますが……なかなか難しいです」

──それはパラエストラ千葉ネットワークで、話し合って対策しているような形ですか。

「鶴屋さんがいるときは『そこは殴れ』、『動かないダメだ』というアドバイスをもらっています」

──しかし千葉ネットワークの充実ぶりはすさまじいですね。

「いや、本当に皆が逞しいです。色々と吸収していて、それを教えてもらったり」

──この試合に向けてもチームで取り組んできたのでしょうか。

「いえ、そういうのはないのですが仙三さんにちょっとだけ教わったり。仙三さんにボクシングを習ったり、黒澤(亮平)君や征矢(貴)君もそうですね。パンチの打ち方を教わっています。僕は下手くそなんですが、それでも教わって少しでも良くなりたいと思っています」

──パンチでいえば一番身近な弟の頌貴選手にアドバイスをもらうことはないでしょうか。

「弟には聞かないです!! アハハハ。弟には聞かないですね」

──なぜですか。

「なぜかは分からないです。まぁ、こうかなって言ったりはしますけど……。向こうはサウスポーだし、ちょっと違いますしね。でも、この間のONEウォリアーの試合を見て『アレ、意外に凄いな。打撃当てるな』と思って」

──アハハハ。頌貴選手はのび太選手から何も言葉は掛けてもらっていないと言っていましたよ。

「そういうことを取材で言うじゃないですか!! だから、僕もないです。いや、おかしいですけどね……そんなことはないです。セコンドに就いてもらいますし……」

──こういうことを言って良いのか分かりかねるのですが、のび太選手のインタビューの受け答えは一時期はとても落ち着いてきたのにまた修斗の頃に逆戻りしていないですか。

「いえ、この渋谷がいけないんです……。渋谷が……」

──ずっと首を掻き続けていますし……。

「えっ? マジっすか。ヤバイ……良くない……マジですか? ヤバイです。これはヤバいです、無意識でやってしまっているので」

<この項、続く

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