【UFN162】アスクレンに勝利─デミアン・マイア「三角、オモプラッタ、ヒール─ずっと磨いてきたモノ」
【写真】マタレオン・ポーズをとってくれたマイア。とにかく、格好良い(C)MMAPLANET
26日(土・現地時間)にシンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されたUFN on ESPN+20: UFN162。
そのメインでデミアン・マイアがベン・アスクレンをRNCで破った。試合終了後、囲み会見でマイアが何を語ったのか、ここで伝えたい(※要約)。
──おめでとうございます。作戦は打撃を多用することだったのですか。
「ベン・アスクレンは偉大なレスラーであり、グラップラーだからいつもとは違うアプローチで戦った。彼を相手にテイクダウンして寝技に持ち込むのは簡単なことではない。だから、すぐにグラップリングに持ち込むのではく打撃を使って、彼を動かせてテイクダウンに持ち込めるよう……そのギャップを埋めるのが今日の作戦だったんだ。もちろん、テイクダウンを彼が狙ってきて下になった時は、ボトムゲームから一本を狙おうと思っていた」
──ただし、アスクレンのクリンチアッパーももらいカットをしました。
「確かにパンチは貰った。アゴを引いてアッパー対策をしろというコーナーの指示もあった。ただ、彼のパンチをもらっても何もダメージはなかったんだ。これなら、このまま戦えると思った」
──自分のレンジで戦えたということですか。
「そうだね。僕のレンジで戦えたね。アスクレンはまっすぐ前に出てくるから。ボクシング・コーチから、『ボクシングは拳を当てるものだが、そのために足で戦う必要がある』という教えを受けて、十分にステップの練習をしてきた。そのステップからパンチを当て、テイクダウンを仕掛ける……あるいは防ぐという動きにつながるからね。そういう意味でも、凄く神経を使ったよ」
──アスクレンはこれで2連敗、その強さへの幻想が薄れたような気もします。
「う~ん、いや彼は本当に強いよ。前回の敗北は、彼の力を査定する材料にはならないよ。そうだね、僕は37試合戦ってきて……本当は18歳の時にどこも記録に載っていないバーリトゥードを戦って勝っているから38試合だけど(笑)。とにかく、僕も浮き沈みはあった……MMAはポーカーのようなもの。最高のゲームプランを持っていても、運が必要だ。マスヴィダルの勝利がラッキーだったとは言わない。彼はしっかりとした力を持っているから。ただ、あのヒザが試合開始直後に当たるには運も必要だよね。
今夜の試合に関してはアスクレンはいつもテイクダウンして勝ってきたけど、僕は下でも十分に戦えるからスタイルマッチアップとして彼は不利だった。僕は人生の大部分でガードゲームを磨いてきた。そうだね、ベン・アスクレンは今でもUFCウェルター級の多くのファイターに勝てる力を持っていると思う。とても打たれ強いしね」
──アスクレンはテイクダウンだけでなく、トップコントロールにも自信を持っていましたが、今日は2度もスイープを決めました。
「トップコントロールは本当に素晴らしかったよ。でも、彼は僕のガードワークはハーフガードからスイープだけを警戒していたみたいだ。MMAでよく使っていたからね。
そして、あのポジションを潰す強さをアスクレンは持っている。オーバーフックでポジションをキープするのが本当に上手い。だから今日の試合は、これまでとは違うボトムゲームを心掛けた。だからこそ、ハーフガードから彼の得意な場所で戦って体力を消耗することを避けて三角絞め、オモプラッタ、そしてヒールフックを仕掛けた。僕がずっと柔術で磨いていたテクニックだ。MMAではトップゲームを続けてきたから、そこを皆が見落としていたんだよ」
──それにしてもデミアンのヒールフックには驚かされました。
「僕らはノーギの試合もあるし、ずっとヒールフックのトレーニングをしてきたよ。そして僕はADCCのチャンピオンだ。IBJJFの一番大きな間違いは、ノーギワールドからヒールフックを排除したことだよ。
道着があるなら分かる。抜け出せないし、ケガをする可能性も高くなる。でも、ノーギなら十分に防ぐことができる技なんだよ。IBJJFもノーギの時はADCCのようにヒールフックを使用できるようにすべきだ。
特に黒帯ではね。今、ヒールフックは新しい時代を迎え色々な仕掛けが存在する。そういうことを学ぶことは本当に楽しいよ。もともと白帯のときから、僕はずっとヒールフックの練習をしてきた。ただ、道着の柔術の試合では使えないから練習時特定のようにね。そしてADCCで使えるようになった。IBJJFも考え直す時が来たと思う」
──そのヒールフックからのスイープでトップ、そしてマウント、バックマウントと流れるような動きで一本勝ちできました。アスクレンが背中をつけ、また背中を向けたことは驚きましたか。
「う~ん、そんなことないよ。そうなるように戦ったから。彼は殴られるのが嫌で、背中を見せたんだ。スピンして逃げようとしてね」
──UFCで最も多くの勝利を手にしたブラジル人選手になりました。
「そうだね(笑)。UFCではセラーニについで、2番目だ。セラーニが23勝で、僕が22勝。次はヒールフックで勝って、セラーニに追いつきたいね(笑)。22勝という結果には満足している。また、ここから勝利を重ねてタイトルを狙いたい気持ちもあるけど、そのチャンスがなければキャリアに終止符をうつ時になるだろう……」
──……。シンガポールのファンが、デミアンを力いっぱいサポートしていました。
「それこそブラジリアン柔術が世界中に広まった証だね。柔術を愛する人々が僕を後押ししてくれる。
プライスレス、何事にも代えられない……12年前からUFCで戦ってきて、僕はずっと自分のスタイルを貫けている。それは世界中のどこにもブラジリアン柔術のソサイエティがあるからだよ。かけがえのないモノだと思っている」